児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

大阪弁護士会の相談窓口

 最近、飛び込みの電話相談で、「弁護士会の相談窓口へ掛け直して下さい」とお答えすることが多いので、弁護士会サイトから引用しておきます。
   どないしたらええねん
   どこにそうだんしたらええねん
などという、ベタベタな大阪弁には地域的に違和感がありますが、とりあえず弁護士会に相談してください。

最初から法律問題だとわかっていたら弁護士なんでしょうけど、そこを見きわめるのが弁護士なので、相談事をするときには、弁護士会も頭に入れといて欲しいわけです。

http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04.html
▼総合法律相談センター
http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04/03.html
 さまざまな法律問題についての相談窓口(原則有料)です。お電話でご予約のうえおこしください。市民法律センター(大阪市北区)のほか、なんば、堺、岸和田にもあります。
 また、市民法律センターでは、相手方との交渉や訴訟等の手続きを弁護士に依頼されたい方への弁護士紹介も行っています。

▼民事紛争処理センター
http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04/02.html
 民事に関するさまざまな紛争を「示談あっせん」や「仲裁」により、迅速・適正かつ低額な費用で解決するために設置されたものです。中立的な立場の示談あっせん人が、双方の言い分をよく聞いて、解決へと導きます。申立手数料、成立手数料が必要です。

▼高齢者・障害者総合支援センター
http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04/himawari.html
 高齢者や障害者の方々のために法律に関するさまざまな支援を行っています。法律相談は市民法律センター内で行っていますので、ご予約のうえお越しください。また、出張相談や電話相談も行っています。

▼法律相談所一覧
http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04/04.html
 当会の法律相談センターや、当会から弁護士を派遣している大阪府下の自治体などの相談所です。受付方法など、詳しくは各相談所へ直接お問合せください。

▼無料電話相談
http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04/01.html
 ご相談内容を限定した電話相談です。相談日・時間等をお確かめのうえお電話ください。

▼市民窓口
http://www.osakaben.or.jp/main/donaisho/04/05.html
 弁護士の業務に対する要望や苦情をお伺いする窓口です。ご自身の依頼している弁護士に対するものでも、相手方の弁護士に対するものでも構いません。お電話でご予約ください。

県立高校教諭による児童買春罪2罪の論告・求刑


朝から、堺市ドメインで児童買春事件の判例を懸命に検索されていますが、心配しなくても、被害者複数になると公判請求される。

 で、
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040921#p13
のつづき。
 教員の児童買春事件もパターンですよ。刑事学的に顕著な犯罪類型。

 コピペしていいですよ>>担当検事殿
 弁護人は情状面でこう言われることを予想して、情状立証を行う。

 しかし、検事はこれでもかこれでもかと被告人を糾弾して、まるで死刑を求刑するような言葉を並べていますが、そうではない。これで「求刑1年6月」。
 起訴は2件、余罪100件でも、懲戒免職されるし、取調には素直に応じるしというと、これくらいの求刑なんでしょうか?
 むしろ、被害児童の被害の程度に重点を置いて、被害が重ければ重い求刑、被害が軽いとか、示談したとかいう場合には軽い求刑というメリハリを付けてほしいところです。

第1 事実関係
本件各公訴事実は,当公判廷で取り調べられた関係各証拠により,その証明は十分である。
第2 情状関係
1犯行態様が悪質である。
本件は,被告人が,当時 歳及び 歳の児童に対償を与えて性交し,児童買春を行った事案であるが,被告人は,インターネットシステムを利用して自ら会員登録を行い,不特定多数の少女らと交情し合い,性的欲求のおもむくまま,児童をラブホテルに連れ込み,口淫させ,性交していたばかりか,その際,児童の裸体,児童との性交の状況をポラロイドカメラやビデオカメラで撮影して,児童のわいせつな写真や映像を記録化し,自己の性的欲求を一層充足させていたものであって,その犯行態様は,児童の健全な成長とその名誉を著しく害するものにほかならず,まことに悪質である。

2 常習的犯行である。
被告人は,平成6年ころから,児童買春行為を繰り返し,買春の相手とした児童の数は100名にも上るものであって,自己の性欲の赴くままに敢行されたその犯行動機に何ら酌量の余地がないことはもとより,規範意織の鈍麻した常習的犯行というのほかはない。
3 教育者にあるまじき犯行であり,教育界に対する社会の信頼を失わせる犯行である。
被告人は,本件犯行当時,県立高校の教師であったものであり,成長期にある高校生に対し,社会の有為な形成者として必要な資質を養わせ,個性に応じて将来の進路を決定させるなど,社会について広く深い理解と健全な判断力を養い,人格の確立に努めることを責務とする者であったものである。

教育を通して生徒を健全育成し,良織のある社会人に成長させる立場にありながら,被告人は,自己の性的欲求を充足させるため,18歳に満たない児童に対し,対償を供与する約束をして性交することを繰り返し,児童に対する性的搾取及び性的虐待を行い,児童の権利を著しく侵害し心身に有害な影響を与えていたものであって,被告人の犯行は,高校教師という立場を全く否定する,絶対にあってはならない行為という.ほかはなく,教育界に対する社会的信用を著しく失墜させる犯行であり,その社会に与えた影響は大きいものがある。
第3求刑
以上,諸般の情状を考慮し,相当法条を適用の上,被告人を
  懲役1年6月
に処するを相当と思料する。

毎日新聞 援助交際シリーズ

和田記者の連載が続いています。
原因論、そろそろ考えないとだめですよね。

9月6日 「援助交際」への支援 精神科医香山リカさんに聞く(下)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/aitakute/news/20040906org00m100050000c.html

8月30日 「援助交際」への支援 精神科医香山リカさんに聞く(上)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/aitakute/news/20040829org00m100006000c.html

8月24日 [夢ひらくとき]第4回「援助交際」 何でも話し合える人なら
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/aitakute/news/20040823org00m100125000c.html

8月17日 [夢ひらくとき]第3回「援助交際」 優等生でいられなくなった
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/aitakute/news/20040813org00m100086000c.html

8月10日 [夢ひらくとき]第2回「援助交際」 見捨てられ不安
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/aitakute/news/20040810org00m100002000c.html

 愛知県警と富山県警の方へ

 別に犯行声明じゃありません。
 LOGを見ると、電子データの児童ポルノ判例を必至で検索されていますが、御苦労様だと思うので、奥村弁護士はたまたま、愛知の事件も富山の事件もやってないので、問題点を教えてあげます。

 警視庁と愛知県警が、自宅サーバーに陳列用の児童ポルノデータを保存していたのを「保管罪」で逮捕したのは、「所持罪」に改めるべきだと考えています。擬律が違います。略式命令の簡裁判事は気付かなくても、みっともないです。
 東京の事件は公判請求されているので、結果に注目しています。

 名古屋簡裁には児童ポルノのメール送信を「頒布罪」とした前科があります。名古屋地裁では「陳列罪」とされました。どっちもおかしいです。新法の提供罪なんですよね。
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/040414pornomail.htm
 なんか、愛知県だけ、児童ポルノ法が曲がっているような印象です。ネットの問題なんですが。
 奥村弁護士としては、大阪高裁と東京高裁に続いて、いずれ名古屋でも資料積んでやっとかなあかんのかなと思います。事件が来ないけど。
 この法律はあまり擬律の問題を詰めていないのでいないので、論点は幾らでも出てくるのですが、名古屋のローカルルールは認めない。


 富山県警は提供罪の検挙が報道されています。
 そもそも「提供」の定義もないのに、どう処理されるかに注目しています。 

 管理者がメールで投稿を受けて、管理して掲載するというのであれば、管理者が公然陳列罪の正犯で、投稿者は提供罪とさらに公然陳列罪の従犯もありうるところ。
 画像掲示板の事案であれば、投稿者は公然陳列罪の正犯で、掲示板管理者も公然陳列罪の正犯というのが判例(東京高裁平成16年6月23日 公刊物未掲載、被告人上告 弁護人奥村弁護士)です。但し、同様の行為について新潟では公然陳列罪幇助として処罰されています。
 上告事件の弁護人としてどういう事案がどういう擬律で処理されるかに注目しています。
なお、東京高裁平成16年6月23日については、近日本がでる予定です。弁護人自ら、東京高裁を弁護する理屈を考えて、自滅しています。

 富山県警、新法に積極的。
   女子高校生の裸を撮影した会社員逮捕 砺波署
http://www.kitanippon.co.jp/cgi-bin/news.cgi?id=A100#0007

日本企業は金払いがよい

●2004.09.22 第1回企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会 議事要旨
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/downloadfiles/infosecgov_summary_1.pdf

米国と比較して、我が国では情報漏洩を起こした企業が被害者に対してすぐにお金を払う傾向があるので、これをベースに計算することは慎重に考えるべきである。また、被害額算定に損害賠償を含めるとするならば、現在まで損害賠償の判例は少なく、また事案によって相違が大きいという問題を認識しておくべきである。

児童ポルノ公然陳列罪の実行の着手時期・間接正犯の可否

 被告人が開設した画像掲示板に、他人が児童ポルノを投稿した場合ですが、投稿がないかぎり、児童ポルノ公然陳列罪は完成しないから、共犯(幇助)か間接正犯しかない。
 間接正犯だとすると被利用者を道具として支配していないとだめなんですが、果たして、掲示板管理者は投稿者を支配しているといえるか?
 投稿者が、画像掲示板を見ると必ず児童ポルノを投稿する人で、そういう人の存在を知っていないかぎり、無理なんじゃないか。
 じゃ、被利用者との連絡がない以上、共犯としても、幇助しかないよね。

 原判決は、一定目的をもって、画像掲示板を開設した時点で着手を認めている

2当裁判所の基本的な判断
(1)本件で問題とされているのは,児童ポルノの陳列であるが,陳列行為の対象となるのは,前記のような児童ポルノ画像が記憶・蔵置された状態の本件ディスクアレイであると解される。
(2)原審以来被告人の行為の作為・不作為性も問題とされているが,被告人の本罪に直接関係する行為は,本件掲示板を開設して,原判示のとおり,不特定多数の者に本件児童ポルノ画像を送信させて本件ディスクアレイに記憶・蔵置させながら,これを放置して公然陳列したことである。そして,本罪の犯罪行為は,厳密には,前記サーバーコンピュータによる本件ディスクアレイの陳列であって,その犯行場所も同所ということになる。したがって,この陳列行為が作為犯であることは明らかである。そして,原判示の被告人の管理運営行為は,この陳列行為を開始させてそれを継続させる行為に当たり,これも陳列行為の一部を構成する行為と解される。この行為の主要部分が作為犯であることも明らかである。確かに,被告人が,本件児童ポルノ画像を削除するなど陳列行為を終了させる行為に出なかった不作為も,陳列行為という犯罪行為の一環をなすものとして,その犯罪行為に含まれていると解されるが,それは,陳列行為を続けることのいわば裏返し的な行為をとらえたものにすぎないものと解される。なお,更に付言すると,被告人は,児童ポルノ画像を本件ディスクアレイに記憶・蔵置させてはいないが,前記のように,金銭的な利益提供をするなど,より強い程度のものではなかったとはいえ,本件掲示板を開設して前記のように前記送信を暗に悠憑・利用していたのである。この行為は,陳列行為そのものではないから,開設行為以外の点は原判決の犯罪事実にも記載されていないが,陳列行為の前段階をなす陳列行為と密接不可分な関係にある行為であるから,これも広くは陳列行為の一部をなすものと解される。そして,これが作為犯であることは明らかである。
(3)被告人の故意は,前記認定から明らかなように未必的な故意であって,本件陳列行為開始時点からあったと認定でき,この点の原判決の判断は正当である。

 しかし、「陳列」とは、(不特定多数の者に)認識しうる状態に置くことと解するのが判例であるところ、本件のように他人の投稿を待つ場合には、掲示板開設時から投稿直前までは、児童ポルノ画像は影も形もないのであるから、開設行為をもって、実行の着手と解することは不合理である。

2 判例
(1)大審院大正 7年11月16日
 しかも、掲示板開設行為を実行行為とすると、第三者の行為を介する点で、間接正犯となるが、間接正犯の場合の実行の着手時期については、被利用者を基準とするのが判例であり、原判決は判例違反も明白である。
【文献種別】 判決/大審院(上告審)
【判決年月日】 大正 7年11月16日*1
【事件番号】 大正7年(れ)第2891号
【事件名】 殺人未遂ノ件
第一法規提供判示事項】
1. 毒薬混入の砂糖を小包郵便に付したときは、名宛人がこれを受領した時において、右毒物を飲食することができる状態においたものであり、毒殺行為の着手があったということができる。

(2)名古屋高裁S41.3.10
 名古屋高裁S41.3.10で陳列罪の客体となりえないとされた「未現像フィルム」以前の段階である。
 仮に本件画像掲示板が「児童ポルノ専用掲示板」であったとしても、掲示板を設けるというのは、従来型の陳列行為でいえば、児童ポルノ専門映画館を開設・維持しただけであって、それだけでは陳列罪の実行の着手は認められない。
 原判決は名古屋高裁S41.3.10にも違反する。

(3)大阪高等裁平成11年8月26日
 大阪高裁H11は本件のようなサーバー蔵置型の公然陳列の場合、「陳列罪が既遂に達した時期は、被告人が、わいせつ画像データを記憶・蔵置させたハードディスクをホストコンピューターの管理機能に取り込み、会員による右データへのアクセスが可能な状態にした時点」で着手を認めるものと解される。
 原判決はこの点でこの判例にも違反する。
阪高裁H11は、会員からの投稿を受け付ける掲示板型の公然陳列について、「会員をしてハードディスク内にアップロードさせたわいせつ画像データについても、これらを会員に閲覧させ収益を上げるという自らの用途に資する目的で、ハードディスクに蔵置させ続け、会員がいつでもアクセス、ダウンロードして閲覧することが可能な状態にしつつ、これを積極的に管理していたものと認められるから、被告人は、右わいせつ画像データ全部について、わいせつ物公然陳述罪の責任を免れない」としており、他人が投稿した画像についえては、積極的な管理を要件として、公然陳列罪が成立しているとしているが、本件では、投稿後の積極的管理行為は全くないから、原判決はこの点でこの判例にも違反する。

 大阪地裁H11.3.19のいう実行行為は、サーバーへの送信行為であって、これが国内で行われているから日本刑法が適用されるという。サイト開設行為は実行行為ではない。

 児童ポルノ法では、陳列目的所持・製造・運搬罪などが処罰されているが、これは、「陳列」という児童ポルノ罪の保護法益の侵害が顕著である行為(頂点・本丸的行為)に至る準備行為を処罰して、一連の行為を網羅的に処罰するものである。
 ところで、7条の規定からもわかるように、陳列に先だつ行為については、製造・所持・運搬等が予定されているが、本件のように、掲示板の開設という陳列(仮に児童ポルノが陳列されることを目論んでいたとしても)を予想した行為の時点で陳列罪の実行の着手を認めると、製造・所持・運搬等はずべて陳列罪に包摂されることになり、存在意義が無くなる。
 また、製造・所持・運搬等はずべて陳列罪に包摂されることは、製造→所持→陳列という児童ポルノ罪のフルコースを辿った場合に陳列罪のみ1罪が成立することになり、東京高裁H15.6.4の罪数判断とも抵触する。


 さらに、原判決は、投稿者が正犯として処罰されることと、掲示板管理者も正犯となることは矛盾しないとする。

(2)所論は,要するに,①本件児童ポルノの陳列は,被告人の行為とは無関係に,本件掲示板を閲覧した者が児童ポルノ画像を送信して本件掲示板に貼付したものであるから,被告人の行為と児童ポルノ画像が本件掲示板に掲載されていることとの間には因果関係がなく,児童ポルノ公然陳列罪が成立することはないのに,これが成立するとした原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認ないし法令適用の誤りがある(控訴理由第11),②被告人が,本件掲示板を閲覧した者が児童ポルノ画像を送信し,本件掲示板に貼付することを予想することは困難であった上,被告人がc国内に居住してからは,その通信事情や被告人が本件掲示板に掲載された児童ポルノ画像を削除するのに必要なパスワードを亡失したことにより,画像削除の可能性(作為可能性)は失われたのに,これがあるとした原判決には判決に影響を及ばすことの明らかな事実誤認がある(控訴理由第12),と主張する。
 しかし,①前記説示のとおり,被告人は,本件掲示板開設に当たり,これを閲覧した者が児童ポルノ画像を送信し,本件画像掲示板に貼付することを予想した上で,自らの利益のために,それでも構わないとしてこれを容認し,更にはこれを暗に慫慂し,利用していたのであるから,被告人の行為と本件児童ポルノ公然陳列との間に因果関係があるのは明らかである。所論は,当裁判所とは異なる見解を前提とするものであるから,採用できない。
 ②被告人は,本件掲示板を閲覧した者が児童ポルノ画像を送信し,本件画像掲示板に貼付することを予想していたものであって,所論はその前提を欠く上,所論に照らしても,被告人がc国内に居住後,児童ポルノ画像を削除する可能性が失われたといえないことも明らかである。所論は失当である。
 論旨は理由がない。

 しかし、本件は、投稿者を被利用者とする間接正犯であるところ、判例によれば、故意犯を利用する場合には、「会社の代表者が使用人Cに命じて同人を自己の手足として判示米を自ら運搬輸送した」というような完全な支配関係が要件とされている

      食糧管理法違反被告事件
【事件番号】最高裁判所第1小法廷判決/昭和25年(れ)第96号
【判決日付】昭和25年7月6日

 本件において、仮に「被告人は,本件掲示板開設に当たり,これを閲覧した者が児童ポルノ画像を送信し,本件画像掲示板に貼付することを予想した上で,自らの利益のために,それでも構わないとしてこれを容認し,更にはこれを暗に慫慂し,利用していた」という事情があったとしても、投稿者とは全く連絡がないのであるから、判例にいうような支配関係は認められない。

 さらに、最高裁h9.10.30*2遠藤裁判官の意見によれば、被利用者が情を知った後は、道具性が失われるから利用者の責任は未遂になるという。

 本件では、そもそも、投稿者は、規範的障害を乗りこえてあえて児童ポルノ陳列行為を行っているのであるから、道具性は全くなく、被告人の行為を正犯と認めることは出来ない。
 原判決には判例違反があるから原判決は破棄を免れない。

「ウイニー」で画像をダウンロード、ネットのオークション利用しCD−R販売。

http://www.sankei.co.jp/news/sokuhou/sokuhou.html#22:45

 話題のwinnyにからめるところが、愛知県警広報上手ですね。winnyでdlして販売した事例は沖縄県警にもありますよ。沖縄県警も頑張っている。広報は下手だが。

 これもwinnyの弊害なんですが、児童ポルノとか名誉毀損とか個人情報の場合は、半永久的に個人的法益が害されますから、著作権侵害より深刻だと思いますね。

 児童ポルノのdlは違法は違法だと思うんですが(処罰されたことはありませんが)、購入者、オークションにアクセスできるんなら、winnyもできるわけだから、タダで入手できたはずです。買って初めて気付くのかもしれませんが。
 有体物を移動させて、しかも対価を得ようとすると、あちこちアシがつくわけですよ。

 たくさんの児童ポルノファイルがwinnyで流れ続けているところから、ちょっと汲み出して販売した。新たな法益侵害は少ないと言えないでしょうか?那覇地裁。即日結審ですが。