児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑事下級審における判例・裁判例の引用方法

 使えそうな判決書を持ってきても、検察官が不同意にすることがある。
 判例を証拠で出すには法323条3号くらいしか規定がないのだが、検察官が「別の事件であって関連性がない」なんて言う。
 上告理由として判例違反を主張するときの判例の摘示の方法(規則253)を見ると、だいたい立証の必要はないようで、判決特定事項と概要とを記載すればいいようなので、最近では、未公開の裁判例であっても、主張書面や弁論要旨で、判決を特定した上で、必要なだけ引用することにしている。本文で長々と引用すると流れがわからなくなるときは注釈に落としておく。

第三二三条[公務文書、業務文書、特信文書]
 前三条に掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。
一 戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面
二 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面
三 前二号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面

刑事訴訟法第四〇五条[上告のできる判決、上告申立理由]
 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所判例と相反する判断をしたこと。

規則第二五三条(判例の摘示)
 判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立をした場合には、上告趣意書にその判例を具体的に示さなければならない。


模範六法
1 判例を具体的に明示していないときは、上告理由として不適法である。(最判昭28・5・19刑集七━五━一〇四七)(最判昭33・2・20刑集一二━二━二六九)⇒刑訴四〇〇条(25)

2 「大正一五年九月二五日の判例」というだけでは、判例を具体的に示したものではない。(最判昭26・11・27判タ一七━五〇)

3 判例を示してあっても、原判決がいかなる趣旨で右判例に反するかの具体的説明を欠いているときは、判例違反の主張として不適法である。(最判昭29・4・6裁判集刑九四━一二五)

4 判例違反を主張する場合には、裁判所名、事件番号、裁判年月日、掲載文書名、掲載個所等を指示してその判例を具体的に示すべきである。(最決昭45・2・4判時五八八━九五)

5 裁判所名および言渡日のみを指摘するにとどまる判例違反の主張は、判例の具体的な摘示があるとはいえない。(最決昭49・3・14判時七三三━一一三)