児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ罪の既遂・未遂

 時々見かけるのが

被告人は、通行中の女性にわいせつ行為をしようと企て
H21.12.16 路上において、
日本花子(21)を認め、
背後から抱きつき、両乳房をもむ暴行をした上、
スカートの中に手を差し入れ下着の上から陰部弄ぼうとしたところ、
同女が抵抗したためこれを遂げなかった

という強制わいせつ未遂の事案です。
 乳房もんだ時点で、性的自由は害されているし、性的傾向も現れているので、既遂でもいいようなものですが、犯人の目的が「下着の上から陰部弄ぶ」であることを重視すると、全体として未遂になるというのです。


※既遂みたいな未遂の例

 やにわに 背後から抱きつき 転倒した同女に覆い被さるという暴行で臀部をもてあそぼうとスカート内に手を差し入れたが、同女が悲鳴で抵抗したので未遂
 スカートに手を差し入れて、未遂
 児童のズボンをさげて、陰部をデジカメで撮影しようとしたが、騒いだので強制わいせつ未遂
 座ったのを認め、いきなり背後からだきつき、ブラジャーのホック外すなどの暴行したが、抵抗され、通行人がきて、強制わいせつ罪未遂
 自己の精液をなげかけて性的興奮満たそうと企て 路上であらかじめセロファンの袋に入れて所持していた自己の精液をいきなり顔面に向け投げかけて強制わいせつしようとしたが、その左肩にかけるなどにとどまり 未遂
 わいせつ行為しようとしたが 胸触るや 逃げられて強制わいせつ罪未遂
 陰茎触らせ 露出し さわってといって手淫させようとしたが逃げ出されて未遂
 スカートに手を差しいれてパンスト引っ張ったが警察官に発見され 未遂
 スカート内手を入れて下着の上から陰部弄ぼうと 背後からスカートめくって臀部さわる暴行したが 抵抗され未遂
 いきなりスカート内に差し入れて 大腿部なであげ 押し倒す暴行を加えたが、抵抗され、未遂
 抱きついて、着衣の上から胸を触れたが 抵抗され 未遂
抱きつき胸付近触れたが、抵抗され、未遂
 背後からスカートまくり、パンスト ガードル引きずり下ろす暴行 大声で叫び 強制わいせつ罪未遂
 スカート内に差し入れて 大腿部なで回した上、 下着内に手指差し入れる等の暴行を加え、 わいせつしようとしたが 抵抗されて強制わいせつ罪未遂
 背後から口ふさぐ暴行 スカート内に差し入れて パンツの上から陰部さわる暴行をくわえたが抵抗されて、強制わいせつ罪未遂
 背部に手を差し入れてブラジャーのホックを外す暴行を加え わいせつ行為しようとしたが 大声で抵抗され未遂 準強制わいせつ罪未遂


 これは性的自由の保護としては至らないと思いますので、次の主張を用意しました。

訴因
1 被告人は児童A(3歳)をみとめ、13歳未満と知りながら、パンツを脱がせ陰部弄び、わいせつ行為をした。 
2 1の歳、所携のデジタルカメラで、陰部を露出させる姿態をとらせて、撮影して、もって、3項製造罪。

について、

 被告人は、当初から「パンツを脱がせて陰部弄び、撮影する」というわいせつ行為を企てているのだから、「パンツを脱がせて陰部弄び」の部分では、わいせつ行為は完成していない。未遂である。

 「わいせつ行為」が無限定なので、どこで既遂になるのかが、わからないんですよ。