公訴事実の同一性を認めるけど、免訴の主張は権利濫用だというのです。
5 一事不再理の効力の及ぶ範囲につき,訴訟の具体的事実経過に基づき.権利の濫用として判断を示したものであり,今後の執務の参考になると思われ紹介した次第である。
なお.本件は.被告人が上告中である。
(注)「かすがい現象」とは. 甲罪と乙罪が併合罪の関係にあるとき.甲罪と丙罪が科刑上一罪.また乙罪と丙罪が科刑上ー罪の関係にあるとき. 甲罪と乙罪が科刑上ー罪になることをいう(前回雅英・刑法総論講義第3版480頁参照)。つまり.本件では .甲罪( 窃盗)と丙罪(建造物侵入)が科刑上一罪となり。
また.乙罪(非現住建造物等放火)と丙罪(建造物侵入)が科刑上一罪となるので. 甲罪 (窃盗)と乙罪(非現住建造物等放火)も科刑上一罪となる。
(法務総合研究所教官小沢正明)