児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)」

  被害児童支援の推進
はいいことだと思います。
 そのためには、捜査初期段階で、捜査情報を支援団体に流せる根拠条文があった方がいいですね。
 「人の生命又は身体を害する罪に当たる行為」の場合は、「犯罪被害者等早期援助団体」が支援に当たるんですが、福祉犯は扱わないのです。

http://www.pref.fukui.jp/kouaniinkai/kaigiroku09/0908/090821.html
(1)「児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)」の策定
 県警察から、『児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)』の策定趣旨について、「現在、インターネット上には大量の児童ポルノが流出し、ファイル共有ソフトを通じて不特定多数の者が容易に閲覧又は売買できる状況にある。また、被害児童の約1割が小学生以下であるなど低年齢化している現状にあり、国民からは、特にインターネット上の児童ポルノ事案に対する対策強化を求める声が高まるとともに、国際的にも日本の責任ある対応が求められている情勢にある。このような危機的な状況の下、要請に的確に対応するため、児童ポルノ事犯の取締りを効果的に推進するとともに、流通防止対策及び被害児童支援を推進し、もって児童ポルノを根絶させ被害児童の人権を回復するための『児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)』を策定した。」旨の説明があり、審議の結果、次の重点推進事項のとおり実施することを決定した。

  【重点推進事項】
   ① 取締りの推進
    ○ 「児童ポルノ根絶ふくいネットワーク」の新規構築等、取締り態勢の強化
    ○ 取締りに精通するための専門的な捜査員の育成
    ○ 児童ポルノ愛好者グループの徹底検挙
    ○ 積極的な事件広報の実施
    ○ 捜査員や部外者に対する賞揚の実施

   ② 流通防止対策の推進
    ○ サイト管理者に対する指導・警告等、流通防止に関する指導等の徹底
    ○ 県警ホームページ、各種広報紙等を活用した広報啓発活動の実施

   ③ 被害児童支援の推進
    ○ 児童保護医療機関ネットワークの医師等と連携したカウンセリングの実施

 また、本プログラムに基づき、県内の関係機関・団体による「児童ポルノ根絶ふくいネットワーク」連絡会を本年9月3日に開催し、情報の共有化と対策面の連携強化を図る予定である旨の説明があった。
 委員から
「『児童ポルノ根絶ふくいネットワーク』連絡会の構成メンバーについて伺いたい。」
旨の質疑があり、県警察から
「児童保護医療機関ネットワークやサポートアドバイザー、インターネットプロバイダ及びインターネットカフェ関係者、そのほか県関係者等の参画を予定している。」
旨の説明があった。また、委員から
児童ポルノ被害の現状として、実際に被害児童からの被害届出はあるのか。児童本人の被害認識の問題もあり判断が難しいのではないか。」
旨の質疑があり、県警察から
「被害届は少なく、インターネットに流出している児童ポルノの被害児童の特定が困難な状況にある。児童の多くは巧妙に騙されて被害に遭っていると考えている。」、「インターネット上での児童ポルノの氾濫ぶりは危機的状況にあり、被害児童数も計り知れず、大きな社会問題となっている。今後、所要の態勢で検挙活動や広報活動を最重点に取り組み、根絶に向けて注意喚起していかなければならないと考えている。今回のプログラムでは、まず、その基盤となるネットワーク関係者の協力を得て連絡網を構築することとしている。」
旨の説明があった。委員から
「インターネット上の児童ポルノを閲覧した場合には、違反にならないのか。」
旨の質疑があり、県警察から
児童ポルノを提供する目的で、児童ポルノを製造又は陳列したり、あるいは所持した場合には違反になるが、閲覧するだけでは違反にならない。」
と説明し、委員から
「例えば県条例等で閲覧についても規制できないのか。」
旨の質疑があり、県警察から
「インターネットの閲覧について規制をすることは、事実上困難である。また、児童ポルノであることを立証するためには、医師による鑑定や端緒情報の収集など地道な作業が必要となる。」
旨の説明があった。委員から
「我々も児童ポルノの実態を知り、認識を新たにした。このプログラム原案のとおり各種対策を積極的に推進し、児童ポルノの根絶に万全を期していただきたい。」
旨の発言があった。

犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律
(昭和五十五年五月一日法律第三十六号)
(定義)
第二条  この法律において「犯罪行為」とは、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十七条第一項本文、第三十九条第一項又は第四十一条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第三十五条又は第三十六条第一項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいう。
2  この法律において「犯罪被害」とは、犯罪行為による死亡、重傷病又は障害をいい、犯罪行為の時又はその直後における心身の被害であつてその後の死亡、重傷病又は障害の原因となり得るものを含む。
3  この法律において「犯罪被害者」とは、犯罪被害を受けた者をいう。
4  この法律において「犯罪被害等」とは、犯罪被害及び犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族が受けた心身の被害をいう。
(犯罪被害者等早期援助団体)
第二十三条  公安委員会は、犯罪被害等を早期に軽減するとともに、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援することを目的として設立された営利を目的としない法人であつて、当該都道府県の区域において次項に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申出により、同項に規定する事業を行う者(以下「犯罪被害者等早期援助団体」という。)として指定することができる。
2  犯罪被害者等早期援助団体は、次に掲げる事業を行うものとする。
一  犯罪被害者等の支援に関する広報活動及び啓発活動を行うこと。
二  犯罪被害等に関する相談に応ずること。
三  犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者が第十条第一項の規定に基づき行う裁定の申請を補助すること。
四  犯罪行為の発生後速やかに、かつ、継続的に、犯罪被害者等に対し、物品の供与又は貸与、役務の提供その他の方法により援助を行うこと。
3  犯罪被害者等を援助する者は、前項に規定する事業を行うに当たつては、第一項の指定を受けないで、公安委員会指定という文字を冠した名称を用いてはならない。
4  警察本部長等は、犯罪被害者等早期援助団体の求めに応じ、犯罪被害者等早期援助団体が第二項第二号又は第四号に掲げる事業を適正に行うために必要な限度において、犯罪被害者等早期援助団体に対し、犯罪被害者等の同意を得て、当該犯罪被害者等の氏名及び住所その他当該犯罪被害の概要に関する情報を提供することができる。
5  公安委員会は、犯罪被害者等早期援助団体の財政の状況又はその事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、犯罪被害者等早期援助団体に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
6  公安委員会は、犯罪被害者等早期援助団体が前項の規定による命令に違反したときは、第一項の指定を取り消すことができる。
7  犯罪被害者等早期援助団体の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、第二項第二号から第四号までに掲げる業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は同項各号に掲げる事業の目的以外の目的のために利用してはならない。
8  犯罪被害者等早期援助団体は、第二項に規定する業務の遂行に当たつては、関係する機関及び団体の活動の円滑な遂行に配慮して、これらの活動との調和及び連携を図らなければならない。
9  第一項の指定の手続その他犯罪被害者等早期援助団体に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14F30301000001.html
犯罪被害者等早期援助団体に関する規則
(平成十四年一月三十一日国家公安委員会規則第一号)
(情報提供)
第七条  警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長は、法第二十三条第四項 の規定により犯罪被害者等早期援助団体に対し犯罪被害者等の氏名及び住所その他犯罪被害の概要に関する情報を提供するときは、同条第二項第二号 又は第四号 に規定する事業の実施を統括管理する者又はその指定する者に対して行わなければならない。