児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

13歳未満の者に反復継続してわいせつ+撮影行為した場合は、判例では、科刑上一罪ですよね。

 休日の警察署で生活安全のおまわりさんに罪数処理を聞かれたので、説明しました。

児童A(7歳)に対して
1/1 わいせつ行為(+撮影)
2/1 わいせつ行為(+撮影)
3/1 わいせつ行為(+撮影)
し、もって、13歳未満の者にわいせつな行為をするとともに、児童ポルノを製造した

という事案。時々ありますよね。
 従来通り、3項製造罪を立てなければ3罪併合罪ですよね。処断刑期の上限は15年。

 最近、児童ポルノ罪を立件せよという号令というか、世論というか、流行があって、3項製造罪を立てることがあります。

 ところが、同一児童に対する数回の製造罪は包括一罪というのが判例です。これは東京高裁H17.12.26を初めとして多数ある。
 だから、

児童A(7歳)に対して
1/1 撮影
2/1 撮影
3/1 撮影
し、もって、児童ポルノを製造した

は包括一罪。

 そんでもって、撮影行為もわいせつ行為だから

わいせつ行為(+撮影)

は、観念的競合ですよね。仙台高裁H21.3.3なんて、不機嫌そうに観念的競合としていますよね。
 じゃあ、

児童A(7歳)に対して
1/1 わいせつ行為(+撮影)
2/1 わいせつ行為(+撮影)
3/1 わいせつ行為(+撮影)
し、もって、13歳未満の者にわいせつな行為をするとともに、児童ポルノを製造した

は、3項製造罪が包括一罪で、強制わいせつ罪と3項製造罪は観念的競合だから、かすがい現象で、科刑上一罪ですよね。処断刑期の上限は10年。児童ポルノ罪のおかげで上限は軽くなる。

 質問者のおまわりさんはこの結論に納得されませんでした。
 学者はこれでいいというのですが、実務感覚としては、これ、おかしいですよね。奥村はおかしいと思うのでおかしいと主張してるんですよ。でも、裁判所はこれでいいというのです。