怖いので満員電車には乗らない派です。
迷惑条例違反罪と強制わいせつ罪は、保護法益が違うので、要件が満たされれば両方成立します。一個の行為なら観念的競合。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080323/crm0803231131001-n1.htm
痴漢に適用される法令はケースによって2つに分かれる。服の上から触れば、府迷惑防止条例違反。それがエスカレートして下着の中に手を突っ込めば、強制わいせつ容疑となり、重い処罰が待っている。
俗にこう言われていますが、運用レベルの大まかな区別にすぎず、法律上はこう分かれている訳ではありません。
着衣の上からでも強制わいせつ罪になることがあります。時々争われますが、強制わいせつ罪は重い割に定型性が緩いので、やっかいですね。
裁判例コンメンタール刑法第2巻p294
(3)着衣上からの接触
着衣の上から腎部を撫で回す行為については、判断が分かれている。
否定例は、名古屋地判昭48・9・28判時736・110で、10歳の女児を背後から抱きすくめて両膝でその両脚を挟み付けて背中・腰部・腎部を撫で回しもので、わいせつ性を具備していないとした。なお、前山福島簡判昭33・1・18は公然わいせつ非につきわいせつ性を否定したものである。
電車内や通りすがりの女性の背部に着衣の上から軽く接触する程度の行為は、公衆の面前で婦女を困惑又は著しくしゆう恥させる行為として迷惑防止条例違反に間擬される例が多いであろう。
他方、肯定した事例は、以下のとおり、いずれも態様が執ようである。前出新潟地判昭63・8・26(スカートの中に手を入れ下着の上から腎部を撫でる行為)、東京高判平13・9・18東時平13・54(逃げる女性を追いかけてスカートをめくり、下着の上から腎部及び素肌の太ももを撫で回した)、名古屋高判平15・6・2判時1834・161(3)(いずれも、住居に侵入して21歳及び14歳の被害女性をトイレ内に閉じこめ、自己の身体を女性に密着させて、女性の臀部を手で撫で回した行為)である。
合田悦三「いわゆる迷惑防止条例について」(『小林充・佐藤文哉先生 古稀祝賀刑事裁判論集 上巻』)P529
刑法犯との関係
強制わいせつ罪との関係では、条例違反の罪がこれに吸収されるという見解があるが(會田・前掲338)、筆者としては、保諸法益の性質が、強制わいせつ罪は個人法益、条例違反の罪は社会法益と異なる以上、公然わいせつ罪と強制わいせつ罪が観念的競合とされるのと同様に(大判明治43年)、理論的には観念的競合の関係に立つと解する。
(ごうだ よしみつ/束京地方裁判所判事)