児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「電子計算機損壊等業務妨害罪」は断念?

 これまでもウイルス被害は偽計・威力業務妨害罪でやってきたのだから、被害者さえ掴めれば、電子計算機損壊等業務妨害罪も可能ですよね。
 winny経由で感染した人は、被害申告しづらいのかもしれませんね。

http://newsflash.nifty.com/news/tk/tk__yomiuri_20080127-571-OYT1T00029.htm?ref=rss
ウイルス犯摘発 作成者を罰する法律が必要だ(読売新聞)
 コンピューターウイルスの作成者を直接罰する法律がない、という日本の深刻な現状を浮き彫りにした事件だ。
 京都府警が、コンピューターウイルスを作成した24歳の男子大学院生を逮捕した。ウイルス作成者の摘発は国内初という。
 容疑は、ウイルスにもコンピューターにも関係のない「著作権法違反」だ。問題のウイルスがパソコンに感染してデータを壊す際、人気アニメの画像を無断で表示する点に着目した。
 刑法には、ウイルスを取り締まる「電子計算機損壊等業務妨害罪」がある。ウイルスを作成し、他人のコンピューターに感染させてデータを壊して業務妨害した際に適用される。
 だが、作成と配布だけでは、この罪に問うことができない。京都府警の捜査でも、業務妨害などの事実をつかむことはできず、適用を断念した。
 今回は、なんとか著作権法違反に持ち込めたが、実のところ、ウイルス作成は野放し、ということになる。


 ウイルス作成者の逮捕例はあるようです。
 実害の方を立件されないとすると、余罪というか情状として量刑上どこまで考慮できるかということになります。

「スパイウエア」事件 ウイルス作成者のIT関連会社元社員を逮捕
2006.01.26 NHKニュース
 スパイウエアと呼ばれるコンピューターウイルスがインターネットバンキングの利用者に送りつけられ、預金が勝手に引き出されていた事件で、犯行に使われたスパイウエアを作っていたIT関連会社の元社員が警視庁に逮捕されました。
 金融機関との取り引きを狙ったスパイウエアの作成者が逮捕されたのは日本国内では初めてだということです。

スパイウエア作成者逮捕*不正アクセス容疑*預金詐取に利用か
2006.01.26 北海道新聞
 スパイウエアを使った預金詐取事件で、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは二十六日までに、電子計算機使用詐欺と不正アクセス禁止法違反の疑いで指名手配していた容疑者(31)を逮捕した。
 容疑者は容疑を認めた上で「スパイウエアは、ネット上で入手したいくつかのソフトを組み合わせて自分が開発した」と供述。スパイウエアの作成者が逮捕されたのは国内で初めて。

今日は京都で刑法学会関西部会ですが、話題にもならないと思います。