児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強姦事件の破棄理由(量刑不当)

 出会い系で釣られた児童の帰責性は考慮されることが多いので弁護人が指摘しなければならないんですけど、それを被告人から言わせるとこういう評価になるおそれがあります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070613-00000088-jij-soci
 1審福岡地裁は被告に懲役3年4月(求刑懲役4年)、被告に同3年6月(同)を言い渡し、被告側が控訴していた。
 虎井裁判長は「被告は被害者に責任転嫁する供述に終始し、反省していると思えない」などと指摘した。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070613-00000506-yom-soci
虎井寧夫裁判長は、被告を懲役3年4月、被告を同3年6月とした1審・福岡地裁判決を支持、両被告の控訴を棄却した。

 382条の2の量刑不当で原判決を破棄した事案の量刑理由の典型は原判決後の示談・弁償です。これは有効です。

被害者の宥恕を得た 嘆願書を書いてもらった
原判決後、残りの被害者にも合計万円を弁償した
原判決後、強姦被害者に万円支払い示談
日々反省の日記
ボランティアに従事
強い更正意欲が顕著
勾留が1年3ヶ月に及んだ
弁償が進んでいる
示談が履行済みとなった

第382条の2〔同前−量刑不当・事実誤認に関する特則〕
やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる。
②第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。
③前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。第一項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。

追記
 弁護人が弁論要旨や控訴趣意書で「出会い系」を指摘するだけで考慮してくれますから、そういう裁判例を並べておけば十分で、被告人に被害者の落ち度を語らせてはいけません。
 性犯罪は重いので控訴率も高いんですが、被害弁償とか示談とか被害者の嘆願書とか有力な事情な事情がないと、破棄されません。

RKB元記者の集団強姦:控訴棄却 「責任転嫁に終始」元記者を批判−−福岡高裁 2007.06.14 毎日新聞社
 虎井裁判長はまた、北村被告については「刑事責任を軽減しようと、共犯者だけでなく被害者にも責任転嫁する供述に終始して、反省が深まっているとは認めがたい」と批判した。
両被告の弁護人とも「役割は従属的だった」「援助交際を申し込んだ被害者にも落ち度がある」などとして執行猶予付きの判決を求めていた。
 判決によると、両被告は05年11月、インターネットの出会い系サイトを利用して知り合った女子高生(当時17歳)を福岡県大野城市内のホテルに連れ込み「静かにしろ。叫んだら山に埋めるぞ」などと脅し、両手をビニールひもで縛るなどして性的暴行を加えた。

元RKB記者に二審も実刑 少女に集団強姦、福岡高裁
 判決理由で虎井寧夫(とらい・やすお)裁判長は「出会い系サイトで援助交際の申し込みをしてきた少女の弱みに付け込んだ悪質な犯行」と指摘。「少女に一定の落ち度があったとしても複数人に襲われることを予期していなかった少女の精神的な被害は大きい。犯行の経緯や態様を考慮すると一審判決の量刑は妥当だ」と述べた。
 判決によると、両被告は二〇〇五年十一月十五日夜、出会い系サイトで知り合いJR博多駅で待ち合わせた当時高校二年の女子生徒を大野城市のホテルに連れ込んで脅し、乱暴した。
共同通信社

なお、量刑理由に撮影行為があると思うんですが、起訴されていない児童ポルノ製造罪(強姦とは併合罪)だから、考慮してはならないと主張して欲しいものです。