東京高裁は正犯だと言っていたが。
名古屋地裁は幇助だと言っているが。
高部眞規子「著作権侵害の主体について」ジュリスト '06.02.15
裁判例【7】(2ちゃんねる小学館事件)のようなインターネットの掲示板の運営者については,自動公衆送信という観点では,直接侵害という構成も可能であるとの見解もあるが,著作権侵害の書き込みをした直接侵害者に侵害の手段を提供したという意味では,幇助という位置づけになる。・・・
明文規定がないままに裁判例の集積に頼るのは法的安定性を欠くとの指摘に照らし,明確にすべき点は立法によって明確にし,柔軟な解釈が求められる部分を解釈に委ねることにより,著作権の実効的保護と公正な利用の調和が可能になると思われる。
侵害する側・規制される側の表現行為の制約になるという観点がうかがわれませんね。
追記
民事的には、差し止められたりされなかったりするのに「法的安定性」というのは、やや悠長な感じがします。差し止められる側の「表現の自由」との調整の問題です。児童ポルノさえ一応は表現の自由との関係が問題になるのだから、著作権侵害の表現であっても考えてあげてほしいところです。
刑事的には、「正犯か幇助かは『法的安定性』の問題だ」なんて言わないですね。刑期が5年か2年6月かという問題です。