児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

17年前の交際で懲戒免職 中学教諭を佐賀県教委

 地方の教育委員会の感覚では、高校生との結婚前提以外の交際を正当化するのはなかなか難しいようです。
 教育委員会は、不祥事の「噂が広まる」というのを重要視するようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060210-00000203-kyodo-soci
元女子高生の同僚の男性が昨年7月に教諭に謝罪を求め、9月に県教委にも連絡したことから発覚。県教委は教諭に諭旨免職を打診したが断られ、懲戒免職にした。
共同通信) - 2月10日18時43分更新

時効という概念はないのでしょうか?

税理士懲戒処分取消請求控訴事件
東京高等裁判所判決昭和47年10月30日
 懲戒権が時効によつて消滅するものでないことは、一般に認められるところである。また、昭和四一年三月二四日付をもつてなされた本件懲戒処分は、控訴人の行なつた前記のような行為の性質、態様、時期その他の事情に鑑みるときは、著るしく時宜を失したものとはいえないし、内容的に被控訴人の懲戒権の裁量の範囲を逸脱したものともいえない。なお、懲戒権については、刑罰権に関する公訴時効を類推適用することは、その性質・目的の相違に鑑み、許されないものというべきであり、弁護士法の懲戒に関する除斥期間の規定も、その規定を欠く税理士の懲戒については類推適用の余地はないものと解する。したがつて、控訴人の三および四の主張も理由がない。

↓ やっぱり信義則で制限されそうですね。忘れた頃に不意打ちというのは問題があります。

労働契約上の地位確認等請求控訴事件
東京高等裁判所判決平成13年9月12日

2) 企業が懲戒権を行使する目的は,企業秩序維持のためであるから,懲戒権の行使は,事件発生から時間が経過せず,企業秩序の維持もしくは回復のために必要な時期にされるべきである。すなわち,事件発生から相当な時間が経過した時点での懲戒権行使は,企業秩序維持という目的が伴わないものとなり,正当性が失われる。また,企業の懲戒権行使は,労働者に対する不利益処分であるから,企業側が,時間の経過により証拠が散逸し,労働者側が不利益を被るおそれが生じた時点で,懲戒権を行使するのは,信義則違反・権利濫用であって無効である。
 

(2) 控訴人の主張(2)について
 引用した原判決が説示するとおり,(1)被控訴人は,谷口暴力事件に関し,控訴人の処分をいたずらに長期間放置していたとはいえないこと,(2)控訴人が谷口製造課長代理に対して行った暴行の態様は,必ずしも具体的には明らかではないものの,控訴人自身,谷口製造課長代理のベルトや襟首を20ないし30秒間つかんだ事実は認めており,谷口製造課長代理が負傷した事実を併せ考慮すると,控訴人が谷口製造課長代理に対して暴行を加えた疑いは否定できないこと,(3)控訴人自身が認めている行為自体,就業時間中に自己の所属部署を離れ,管理職に対して有形力を行使するというものであり,企業内秩序を乱す行為として懲戒処分の対象になりうる行為であると解されることを考慮すると,被控訴人が平成12年5月の時点で控訴人に対する懲戒処分を検討したことが不当であるとは言えない。

東京地方裁判所判決平成2年4月6日
労働判例561号21頁
 被告は、原告の右行為をもって、被告の従業員としての適格性を欠くと主張する。しかし、右行為は、本件解雇より一七年近く前の行為であるから、その翌年に同種の暴行事件である後記(2)の行為があるとはいえ、右行為をもって、本件解雇の時点において、「社員として勤務させるのに適当でないと認められるとき」に該当すると認めることはできない。

 しかし、原告の右行為は、本件解雇より約六年も前の行為であり、右行為をもって、原告が本件解雇時点において、社員としての適格性を欠くものと認めることはできない。

大阪地方裁判所決定平成5年9月27日
労働判例643号37頁
現に債務者はこの問題を一年以上経過した平成四年一一月の賞罰委員会において初めて問題とし、懲戒の対象となるような出来事と認識していなかったこと、他の患者にどの程度影響を与えたか疑わしいこと、その当否は措いて診療受付時間の変更を債務者が組合の同意なく実施した翌日であり、債権者の憤情も理解できぬではないこと、金銅は債務者理事であって第三者ではないことなどに照らして、就業規則一六条二項の職場規律を乱した場合、或は、一七条二項の診療所の名誉信用を失墜させた場合に該当するということはできない。

参考文献
美濃部・行政法撮要5版上372頁
中村・公務員懲戒法174頁
峯村・公務員労働関係法56頁