児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

奈良県「子どもを犯罪の被害から守る条例」

 10/1施行で、ぽつぽつ相談が来ています。
 悩むくらいなら、処分するなり、自首するなり、今なら手段があると思います。「子どもポルノを持って引っ越す」というのは感心しないけれど、適用を免れます。


FAQを紹介します。

 最初に検挙されるのは、別件で捜索を受けた人、すでに把握されている購入者(別件の販売・提供犯人から買った人)だと思います。

 提供等目的所持罪と条例所持罪の関係(法条競合?)については不明ですが、一応別個に成立する(観念的競合)と考えるのが無難です。

 所持・保管は継続犯なので、施行前から所持している場合でも、施行後について適用されます。

 保管罪の場所的適用範囲については、実行行為の一部が奈良県に掛かっていれば適用される可能性があります。保管先のサーバーが実際、奈良県にあると、適用される可能性があります。

 「子ども」の認定については、被撮影者(モデル)が特定されなくても13才未満であることに合理的疑いを容れない程度に証明されれば、足ります。別の判決で認定されている必要はありません。
 
 「性欲を興奮させ又は刺激する」「衣服の全部又は一部を着けない」などの構成要件については児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の解釈(裁判例)がそのまま適用されるものと予想しています。

 親が子どもの裸体写真を持つ行為についても、一概に適法とは言えない。子どもポルノ該当性と正当理由によって具体的に判断されます。

 13条の自首による減軽免除は活用してください。

 この条例に詳しい奈良県の弁護士は知りません。

奈良県「子どもを犯罪の被害から守る条例」
子どもポルノの所持等の禁止)
第13条
何人も、正当な理由なく、子どもポルノを所持し、又は第2条第4号アからウまでのいずれかに掲げる子どもの姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管してはならない。
(禁止行為に係る通報)
第14条
2 前条の規定に違反したと認められる者を発見した者は、警察官に通報するよう努めなければならない。

第2条この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 子ども 13歳に満たない者をいう。
四 子どもポルノ
写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次のいずれかに掲げる子どもの姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
ア子どもを相手方とする又は子どもによる性交又は性交類似行為に係る子どもの姿態
イ他人が子どもの性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触る行為又は子どもが他人の性器等を触る行為に係る子どもの姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
ウ衣服の全部又は一部を着けない子どもの姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

第15条第12条又は第13条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2 第13条の規定に違反して前項の罪を犯した者が、自首したときは、同項の刑を減軽し、又は免除する。

http://www.police.pref.nara.jp/kodomojourei/050701.htm
制定の趣旨
 最近、子どもを狙った凶悪犯罪が多発しており、本県でも、平成16年11月17日に奈良市内で帰宅途中の小学1年生の女子児童が誘拐され、殺害されるという悲惨な事件が発生するなど、子どもを取り巻く治安情勢は非常に深刻な状況にあります。
 また、学校周辺や通学路等における児童の安全確保が重要視され、保護者、地域住民や学校関係者と警察官が連携した登下校時の「見守り活動」や、パトロール等の様々な防犯対策が、各地で、従来にも増して積極的に行われています。
 しかしながら、子どもが気に入るようなことを言って誘い込もうとしたり、嘘を言って近づいたりするなど「子どもに不安を与える事案」は、依然として多発しており、いつ、次の凶悪犯罪が発生するともしれません。
 そこで、子どもの安全を確保するための手立ての一つとして、この条例を制定しました。

※ 上記の行為を禁止することとしたのは、子どもを狙った「略取及び誘拐」、「強制わいせつ」、「強姦」、「逮捕及び監禁」などの重要凶悪犯罪の多くが、これらの行為をきっかけとして行われていることからです。また、(1)の規定によって、日常行われている子どもに対する挨拶や見守り活動における声かけなどと、犯罪のきっかけとして行われる行為が明確に区別されることとなります。これにより、今後、県民の皆さんには安心して積極的に子ども見守り活動をしていただくことができ、活動がより一層活性化・活発化していくものと期待します。