児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

最近の女性に対する暴力に関する専門調査会

 こういう議論とはお構いなく、児童ポルノの被害者なんて「包括」評価されてますけど。

http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/siryo/bo35-2.pdf
「女性に対する暴力に関する施策の基本的な方向についての中間整理」に対する意見募集の結果(概要)
1 女性に対する暴力を根絶するための基盤づくり
◯ 女性に対する暴力の予防のためには、若年層の啓発が不可欠であり、子どもの頃からの人権尊重や男女平等の教育(ジェンダー教育も含む。)が必要。学校等で予防プログラムを実施すべき(デートDV 等も)。文部科学省との連携を図ってもらいたい。
◯ 背景には、女性に対する偏見、差別、性役割の押し付けが解消されていないことがある(「強姦神話」を含む)。積極的な広報啓発活動を実施してもらいたい。
◯ 女性に対する暴力に関する施策の積極的な推進を求める(十分な予算措置も必要)。
◯ 職務として被害者に直接接する人として、医師、医療関係者、職能集団(助産師、保健師など)、調停委員、調査官、司法関係者、裁判所・法務局等の受付窓口職員などもおり、二次的被害が生じたケースもある。これらの人の研修機会の拡充を求める。
◯ 女性への暴力(売春・性の商品化を含む)を助長する各種メディア(インターネット、つり革広告も含む)への規制・指導が必要。
◯ 加害者教育も効果的。執行猶予付き判決で加害者更生プログラムを受講させるなどすべき。
◯ 中間整理を支持する、賛成する。
◯ 予防啓発プログラムの積極的な開発・実施を。
◯ 加害者の厳罰化を求める。
◯ 被害者のケアについては、公立のセンターの相談体制や民間団体の知見、専門能力が活かせるよう、連携やケア体制の充実を明記する。
◯ 女性に対する暴力の予防のためには、社会教育、地域教育も必要(自治会などへのDV 研修の義務付けも)。
◯ 被害者(制度利用者)の苦情を収集、分析し、施策と体制の見直しにフィードバックすることは、被害の防止と回復に有効・適切。
◯ 男女賃金の是正、年金の世帯単位の給付などの個が尊重される制度・政策も暴力根絶のために必要である。
◯ 性的マイノリティや外国人女性、障害者女性についても記載、広報・周知する。
◯ 女性に対する暴力の問題を包括的に規定する「女性に対する暴力防止法」等新設すべき。
◯ 身体的暴力だけでなく、心理的、社会的、経済的抑圧は外部から見えにくいが、被害が長期にわたり、適切な対応が必要。
◯ 男性がパワーを持たないといけないという教育が男性の暴力の一因。男性の縛りをなくす教育を進めるべき。
◯ リストラや就職難などの社会的要因なども女性に対する暴力をひろげ、潜在化させている。
◯ 欲望のコントロールについて、心理学の分野を含む指導が必要。
従軍慰安婦の問題も記載を。
◯ 捜査、行政、司法等の関係機関においてDVや性犯罪に関する専門部署を確立すべき。
◯ 性暴力について全国的な正確なデータの把握に努めるべき。
◯ カウンセラーが不足しており、その育成に努めるべき。


3 性犯罪への対策の推進
○ 自治体、医療機関、司法、警察での対応において、二次被害が見られる。研修の充実や女性担当者の配置などが必要。
○ 背景に女性蔑視がある。また、健康な性の認識が不可欠。人権擁護の強化、人権教育、性教育、啓発活動等を進めるべき。
○ 成人雑誌がコンビニで売られていることや、インターネット上でのポルノ画像のやり取り、出会い系サイトの存在などが背景にある。実態を把握した上で、規制が必要。
○ 性犯罪対策の一層の推進、加害者に対する厳正な処罰を求める。
○ 被害者に対する長期的支援(心理的援助を含む。)を行う体制の整備、専門家の養成などを進めてもらいたい。また、被害者支援を行う民間団体の活動に対する助成を行ってもらいたい。
強姦罪の暴行・脅迫の要件を削除して、女性の性的な自己決定権を侵害する又は被害者の意思に反する行為とするよう改正すべき。
強姦罪の法定刑引き上げは一応の評価はできるが、強盗罪と比べて刑の下限が低いことは問題である。
○ マスコミの性犯罪報道は被害者の人権に配慮したものである必要。ガイドラインを設けるなどして、チェックする必要。
○ 和姦の保護年齢(12 歳)について、婚姻年齢や児童福祉法対象年齢を踏まえて、引き上げを。
○ 被害者が報復をおそれずに被害を打ち明けられるようにするには、被害者の安全確保や環境の整備等が必要。
○ 性犯罪の発生や再犯のメカニズムを分析すべき。
○ 子供の性暴力の被害は潜在化している。子どもに対する性暴力の被害者救済に力を注ぐべき。
○ 盗撮の撮影、盗撮ビデオの編集、販売を行う者に対する厳罰、取締りを。
○ 性犯罪の証拠採取はどの医療機関でも可能なようにしてもらいたい。
○ 日本は児童ポルノの発信地になっている。厳正な対応を。
○ 「女性の人権を尊重する啓発活動」、「学校において氾濫する情報の中から有益情報を取捨選択できるような教育を推進」とあるが、現場にある者として、もう少し具体的に記述してもらいたい。
○ 性的自由の侵害の観点から性暴力防止法を制定する必要がある。
○ 未成年者の被害について、刑事事件の告訴期限を大幅に延長すべき。
○ 未成年者の保護義務や安全保障義務のある者が犯罪を犯した場合の加重処罰を規定すべき。
○ 児童に対する性的虐待のケアが行える人材を育成すべき。
○ 犯罪を未然に防ぐための対策も盛り込むべき。
○ 犯罪の分野から女児のカテゴリーを独立させるべき。
強姦罪親告罪ではなく、事実認定に基づく告発罪とすることを検討すべき。
4 売買春への対策の推進
◯ 女性のみが処罰され、買春男性を罰しない「売春防止法」を改正すべき。
◯ 日本は児童買春に鈍感との指摘がある。国家的な問題と受け止め、しっかりと対策をとってもらいたい。
◯ 背景に性の商品化の風潮があり、これを食い止めるべき。
◯ 買春を厳しく罰するべき。
◯ 買春問題に関する啓発活動をしていく必要がある。
◯ 売買春は、女性の人権侵害の最たるものであり、男女共同参画局も担当になってもらいたい。
◯ 「児童買春・ポルノ処罰法」や「出会い系サイト規制法」で少女が処罰対象になっていることを改めてもらいたい。
◯ 売春は強制によらない場合もあり、暴力には含まれない。海外の女性は自ら出稼ぎに来るケースもある。搾取に該当するもの等だけを取り締まればよい。
◯ 「売春防止法」を改正し、被害者の権利保障や人権確立を規定するとともに、中長期の被害者の自立支援に関して婦人保護施設での生活保護の適用を制度化するべき。
◯ 自分を大切にする性教育に取り組んでもらいたい。
◯ 「売買春への対策の推進」を「買春への対策の推進」とすべき。