児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑事確定訴訟記録の閲覧の現場から

 東京地検から出たとこです。(日弁連の総会やっているようですが)
 奥村弁護士の手法としては、同種事案の判決書を集めてきて、量刑を予想するということをよくやります。法令適用の誤りを指摘したりするという、確定判決のあら探しも得意です。だもんで、保管検察官からは嫌がられます。
 東京地検は、判決書だけは比較的すんなり見せてくれますが、起訴状とか冒頭陳述・論告になると、ハードルが高い。まあ、判決書だけでも、見せてくれればそれなりに使えますので、東京地検の保管検察官にはお世話になっているわけです。

 ところで、刑事確定訴訟記録法というのは、「閲覧」しか認めないので、謄写は裁量というかスペシャルサービスなので、「閲覧許可・謄写不許可」となることがあります。デジカメ・スキャナー禁止。
 そうなるとどうするかというと、地検で閲覧して、一字一句メモしてくるわけです。パソコンに打ち込む人も多い。しかし、これは、法律上は「謄写」です。
 ちょっと前まではコピー機が無かったので、戸籍謄本なんかも手書きで謄写していた。

 実は、「謄写は筆写(メモ)に限り許可・コピー不可」という処分なんですね。
 まあ、奥村弁護士のように、無関係の記録から法令適用とか訴因特定を見るくらいなら、これで足りますが、量が多いと困りますね。
 隣の席では、他庁の検察事務官が、身分証明書のコピーを取られた上で、分厚い記録をパソコンで打ち込んでいました。コピーさせてやればいいのに。

 閲覧制限(4条2項)の趣旨に照らして、
  閲覧許可・謄写不許可
     ↓
  謄写は筆写(メモ)に限り許可・コピー不可
     ↓
  謄写許可(コピー可)
の違いというのは何なのか。

 謄写を許可しておいて謄写方法を制限して、足をひっぱるというのが理解できない。
 おまけに東京まで閲覧しに来たものの、あまり収穫がないと、怒りを覚えますね。

刑事確定訴訟記録法
第4条(保管記録の閲覧)
保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録に限る。次項において同じ。)を閲覧させなければならない。ただし、同条第一項ただし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。
2 保管検察官は、保管記録が刑事訴訟法第五十三条第三項に規定する事件のものである場合を除き、次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁判書を除く。)を閲覧させないものとする。ただし、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでない。
一 保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
二 保管記録に係る被告事件が終結した後三年を経過したとき。
三 保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあると認められるとき。
四 保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれがあると認められるとき。
五 保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき。
3 第一項の規定は、刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録以外の保管記録について、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合に準用する。
4 保管検察官は、保管記録を閲覧させる場合において、その保存のため適当と認めるときは、原本の閲覧が必要である場合を除き、その謄本を閲覧させることができる。