児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

研修674号「他人に譲渡する意図を秘して自己名義の預金口座を開設し,金融機関から預金通帳等の交付を受けた行為に詐欺罪を適用した事例」 松並孝二

 口座開設は銀行にとって「損害」だそうです。
 預金額が多くなると、利益も生じます。

研修674号 他人に譲渡する意図を秘して自己名義の預金口座を開設し,金融機関から預金通帳等の交付を受けた行為に詐欺罪を適用した事例 松並孝二

第3 間題点とその検討等
1 問題点等
被告人は,捜査段階から本件犯行を認めていたが,公判廷において,弁護人が,「事実関係は認めるが,取引上重要な事実に関する欺罔行為や錯誤はなく,また,財産的損害も発生していないので詐欺罪は成立しない。」旨主張した。事例研究においては,預金口座開設申込者が,交付を受けた預金通帳等を自ら使用せず,他人に譲渡する意図があった場合,たとえ自己名義で預金口座を開設したとしても,その預金通帳等の交付を受けることが詐欺に当たるのかが討議された。
また,事例研究においては,被告人が,オレオレ詐欺等の本犯について共同正犯である場合には,預金通帳等を自己のために使用するとも言い得ることから,必ずしも詐欺罪に該当するとは限らないのではないかとの疑問等が呈され この種事案の捜査遂行上留意すべき事項について討議がなされた。