児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の改正法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正))は平成26年6月25日に公布されたので、平成26年7月15日に施行されるんですよ

https://kanpou.npb.go.jp/20140625/20140625g00141/20140625g001410009f.html
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十六年六月二十五日
内閣総理大臣安倍晋三 

 7/15以降の所持は法3条の2で違法になります。
 罰則(7条1項)は平成27年7月15日からなので、それ以降の所持が処罰されます。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
第三条の二  何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。
児童ポルノ所持、提供等)
第七条
1  自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

 附 則
 (施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 この法律による改正後の第七条第一項の規定は、この法律の施行の日から一年間は、適用しない。

児童ポルノ法判例18選

 児童ポルノ判例を集計してみた。18では収まらない。
 分類項目としてはこんなとこか。これを今週末までに文章にするのか。
 
保護法益
刑法175条との関係
タナー方式による「児童」の認定方法
憲法判断
事物管轄
バックアップ
他罪との関係
罪数
掲示板管理者の責任
児童の特定
有体物性
児童の実在
実在性判断基準時
成年犠牲
3号ポルノの判断法法
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」
姿態をとらせ の実行行為性
3項製造罪の成立範囲
提供の意義
購入行為の当罰性
提供か光線陳列か
児童の刑事責任
外国から輸出罪の既遂時期
外国から輸出罪の「提供目的」の意味
URL掲載行為
真剣交際の主張

判例01 大阪高判 H12.10.24
判例02 最判 H14.6.17
判例03 大阪高判 H14.9.10
判例04 大阪高判 H14.9.12
判例05 東京高判 H15.6.4
判例06 大阪高判 H15.9.18
判例07 大阪高判 H15.9.18
判例08 東京高判 H16.6.23
判例09 福岡高判那覇支部 H17.3.1
判例10 名古屋高判金沢支部 H17.6.9
判例11 東京高判 H17.12.26
判例12 最決 H18.2.20
判例13 最決 H18.5.16
判例14 名古屋高判 H18.5.30
判例15 名古屋高判 H18.6.26
判例16 大阪高判 H18.9.21
判例17 札幌高判 H19.3.8
判例18 名古屋高判 H19.7.6
判例19 札幌高判 H19.9.4
判例20 東京高判 H19.11.6
判例21 大阪高判 H19.12.4
判例22 最決 H20.3.4
判例23 大阪高判 H20.4.17
判例24 東京高裁 H20.9.18
判例25 最決 H20.11.4
判例26 仙台高判 H21.3.3
判例27 東京高裁 H21.7.6
判例28 最決 H21.7.7
判例29 大阪高判 H21.9.2
判例30 東京高判 H21.9.14
判例31 東京高判 H21.10.14
判例32 最決 H21.10.21
判例33 大阪高判 H21.10.23
判例34 大阪高判 H21.12.3
判例35 東京高判 H21.12.9
判例36 広島高判 H22.1.26
判例37 東京高判 H22.3.1
判例38 名古屋高判 H22.3.4
判例39 大阪高判 H22.6.18
判例40 東京高判 H22.8.2
判例41 高松高判 H22.9.7
判例42 名古屋高判 H22.10.26
判例43 広島高判岡山支部 H22.12.15
判例44 広島高判 H23.5.26
判例45 名古屋高判 H23.7.5
判例46 名古屋高判 H23.8.3
判例47 大阪高判 H23.12.21
判例48 大阪高判 H23.12.21
判例49 大阪高判 H24.5.31
判例50 大阪高判 H24.6.1
判例51 最決 H24.6.5
判例52 最決 H24.7.9
判例53 大阪高判 H24.7.12
判例54 東京高判 H24.7.17
判例55 東京高判 H24.11.1
判例56 大阪高判 H25.6.21
判例57 広島高判 H26.5.1
判例58 高松高判 H26.6.3

改正後の5項製造罪は、「複製を含まない」という国会答弁にもかかわらず、盗撮犯人による「複製」は処罰されると読まなければならない。

 そうしないと、盗撮犯人がSDカードからHDD→DVDとダビングしたときに、HDDとDVDは所持罪で没収するしかなくなりますが、現行3項製造罪では「SDカードからHDD→DVDとダビング」を1個の製造行為と評価するので、製造中の媒体の所持(=製造行為)に所持罪は認めにくいですよね。
 結局、盗撮犯人が複製する行為は、改正後の5項製造罪として処罰されることになり、その点で「第七条五項における「製造」に関しましては、この前段で「児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、」というふうに手段を限定しております。ですので、複写は当たりません。」という答弁は否定されると思われます。
 なお、現行3項製造罪については「写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、」というふうに手段を限定しております。ですので、複写は当たりません。」という立法者の解説がありますが、複写も処罰されています。
 盗撮による製造というのは、突然出現しました、国会審議でも全く議論されていないので、叩けばいろいろ出てくると思います。

186-衆-法務委員会-21号 平成26年06月04日
○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、七条五項の方に行きたいんですけれども、七条五項の文言をちょっと読ませていただきますと、「前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他」というような感じの条文になっているんですけれども、この趣旨をそもそもお尋ねしたいと思います。

○西田委員 お答え申し上げます。
 これも趣旨説明で触れさせていただいた点でございますけれども、今回は、これまでの現行法が、いわゆる提供目的の所持に対する処罰、それと、あとは、児童に姿態をとらせて製造する場合の処罰があったわけですけれども、盗撮もだめだということで、処罰範囲を拡大する趣旨でつくらせていただいたものでございます。
 これまでは、このように、先ほど申したように、提供目的はだめです、そして、児童にそういう姿態をとらせてつくるのもだめですということにしたんですけれども、当然、盗撮というのも甚だ悪質でございます。児童の尊厳を著しく侵害することは言うまでもございませんし、一方で、児童を性的行為の対象とする風潮を助長する、あるいは抽象的、一般的な児童の人格権を侵害する、そういった行為であることも言うまでもないと思っております。流通の危険性を創出する、こういった危険性があるわけでございますし、そういったことを防止する観点も考慮しなければなりません。
 そういったことから、今回、新たに盗撮も処罰の範囲に入れるということで拡大をする趣旨でございます。

○高橋(み)委員 ありがとうございます。
 そうすると、今読みました七条五項の「ひそかに」というのは、盗撮ということでよろしいんでしょうか。

○西田委員 まさにこの「ひそかに」が盗撮を意味するものでございますが、「ひそかに」というものをどう解釈するかというのは、きちんと定義づけをしておかなければいけないというふうに思います。
 この「ひそかに」は、描写の対象となる児童に知られることのないような態様でという意味で解されるものでございます。これは、通常、盗撮されている場合というのは、盗撮されている児童は盗撮されていることを知らないわけでございます。これが一般的かと思うんですけれども、仮に、例外的ではあるかと思うんですけれども、盗撮されていることに気づいてしまった場合であったとしても、ひそかに児童に知られないようにこれを撮影しているような場合であっても、これは基本的に適用されるというふうに解されます。
 以上でございます。

○高橋(み)委員 ありがとうございました。
 同じ条文なんですけれども、「製造」という文言があるんですけれども、「製造した者も、」というところなんですけれども、これは複写も入るということでよろしいんでしょうか。

○西田委員 お答え申し上げます。
 ここに掲げました、第七条五項における「製造」に関しましては、この前段で「児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、」というふうに手段を限定しております。ですので、複写は当たりません。

○高橋(み)委員 わかりました。ありがとうございます。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第7条
4  前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5  第二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。