児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

日本男児の恥である。こうした観点からも、所持については禁止すべきである。

 日本は「恥」の文化ですからね。
 女性が被告人のときにこれも保護法益に入れてみます。

http://www.npsc.go.jp/report21/06-18.htm
定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成21年6月18日(木)
午前10時00分〜午前11時40分
第2 出席者 佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員
長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長
首席監察官
第3 議事の概要
1 議題事項
(6)児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムの策定について
生活安全局長から、児童ポルノ事犯の深刻な状況にかんがみ、児童ポルノの根絶に向けた総合的な対策を推進するため、取締り、流通防止、被害児童支援の3点を施策の柱とする重点プログラムを策定し、本日、生活安全局長通達により同プログラムを都道府県警察に通知した旨の報告があった。

佐藤委員より、「児童ポルノ改正法案が成立しないため、警察として踏み込んだ対策がとれないということはないか。国際的に見てもロシアや日本の対策が遅れているとのことであり、関係省庁と連携して、児童ポルノの根絶に向けて、現行法の下でできる対策に全力を尽くしてほしい」との発言があり、生活安全局長から、「現行法の下でも、警察が当面推進可能な諸対策を『児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム』にとりまとめたところであるが、今後、関係省庁とも連携し、広報啓発を行い、世論を盛り上げるなどの努力をしていきたい」旨の説明があった。

吉田委員より、「犯罪対策閣僚会議において児童ポルノの排除に向けた国民運動を展開するとのことであるが、振り込め詐欺被害防止、飲酒運転防止については国民運動が効果的であった。しかし、児童ポルノの根絶に取り組んでいる団体は少ないと思うが、国民運動が展開できるのか」旨の質問があり、生活安全局長から、「エクパットユニセフ等の児童保護を目的とした団体がいくつかあり、昨年リオデジャネイロで開催された世界会議に基づき、国内でも児童の性的搾取対策について行動計画を策定することが求められている。こうした団体や関係省庁と連携し、どういった形で今後国民運動をできるのか検討したい」旨の説明があった。

長谷川委員より、「この種のポルノを所持するのは大方が男性であり、日本男児の恥である。こうした観点からも、所持については禁止すべきである。また、子供が児童ポルノの被害者であり、子供自身には自己の権利を守る団体を作ることはできないので、しっかりとした団体を作ることが重要である」旨の発言があった。

葛西委員より、「日本で制作販売された少女への性暴力を扱うゲームソフトが問題となっており、ヨーロッパで販売禁止となった。このようなゲームソフトの制作自体が問題であると思うが、日本では、この種のゲームソフトの規制はどうなっているのか」旨の質問があり、生活安全局長から、「問題となったゲームソフトについては、自主審査機関であるコンピューターソフトウェア倫理機構が制作販売を禁止することとした。児童買春・児童ポルノ禁止法では、実在する児童のポルノを対象としており、アニメ等については対象外となっている。今後の大きな検討課題である」旨の説明があった。また、佐藤委員より、「アニメ大国と言っているくらいなのだから、この面でも自己規制をする必要があると思う」旨の発言があった。

高等裁判所の判決中の判断がその上告審である最高裁判所の決定において否定された場合における上記判決の刑訴法405条3号の「判例」該当性

 罪数処理で各高裁が迷って、最高裁の判断も遅れたので、巻き込まれた被告人がいるということです。

1審においては事実関係に争いがなく,1審判決は被告人を懲役3年6月に処した。被告人は,量刑不当を理由に控訴したが控訴審判決はこれを排斥し,控訴を棄却した。これに対して被告人が上告し、上告趣意において本件の控訴審判決は,児童淫行罪と児童ポルノ製造罪とを併合罪の関係にあると判示しているところ,児童淫行罪と児童ポルノ製造罪との罪数関係については控訴審判決時には、これが観念的競合の関係に立つとする札幌高判平19.3.8高刑速(平19)3頁があり、本件の控訴審判決が上記札幌高裁の判決と相反する判断をしたとする判例違反の主張をした。
しかし,本件の控訴審判決後上記札幌高裁判決の上告審である最小決平21.10.21刑集63巻8号1070頁は,上記の罪数関係は併合罪である旨の職権判示をし,札幌高裁判決を破棄こそしなかったものの,その罪数判断を否定し札幌高裁判決は判例性を失った。
このように,本件の佳訴審判決後ではあるが,引用された高裁判決の判示部分が自身の上告審で否定された場合、当該引用判例は刑訴法405条3号にいう「判例」に当たるのか否かが問題とされたものである。
・・・・
むしろ,この点については,未確定の判例における判例性は不安定かつ脆弱なものであるから,確定した判例の場合と全く同様に扱う必要はなく,最高裁の法令解釈を統一するという目的からしでも,刑訴法405条3号にいう「判例」といえるためには,原判決時に判例が存在することに加え,高裁判例の判断部分がその上告審において否定されていないことが必要であり,当該判断が否定された場合は,将来に向かつて適法な上告理由は消滅したものとして,もはや刑訴法405条3号の「判例」に当たらないと考えることが相当なように思われる。実質的にみても.最高裁判例により,既に高裁判例の判示部分が明示的に否定されて判例性を失っているのに.わざわざそれを原判決時における有効な判例として取り扱うことに合理性があるとも思われない。
なお,原判決時に存在する高裁判決に違反すると主張したが原判決後に当該高裁判決が上告審において破棄された場合は同判決は刑訴法405条3号の「判例」に当たらないと判示した最一小決昭51.9.14刑集30巻8号1611頁,判タ341号302頁があるが,その理由は,高裁判決自体が破棄されて判決そのものの言渡しがなかったことになることから,刑訴法405条3号の「判例」に当たらないとされたものと説明されている。
本決定は,以上のような考えのもと,先にみたような判示をしたものと推察される。