児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の更なる普及促進に向けた取り組みの実施について

 福祉犯の現状をみると、やらざるを得ないというのは理解できますが、事前に内容を審査するという一種の検閲・事前抑制で、有害と判断されたサイトからの反発が出るでしょうね。こっそりリストに加えらるんでしょうし。
 また、潜脱しようという人たちと、いたちごっこが始まる予感。

http://www.tca.or.jp/japan/news/071210.html
平成19年12月10日
社団法人電気通信事業者協会
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
KDDI株式会社
ソフトバンクモバイル株式会社
株式会社ウィルコム

〜有害情報から子どもを守る!〜
有害サイトアクセス制限サービスフィルタリングサービス)の更なる普及促進に向けた取り組みの実施について
 
 社団法人電気通信事業者協会(以下「TCA」)に加盟している携帯電話・PHS事業者4社(NTTドコモグループ、KDDIグループ、ソフトバンクモバイルウィルコム)は、出会い系サイト等子どもに見せたくないサイトへのアクセスを制限する「有害サイトアクセス制限サービス」(以下「フィルタリングサービス」)を、平成15年より順次、無料で提供してまいりました。

 また、当業界では、このサービスをより多くの方に知っていただくと同時に、より多くの方に利用していただくために、平成18年より「フィルタリング普及啓発アクションプラン」を策定し、青少年が安心して携帯電話・PHSを使うことができるよう、認知拡大および利用促進をすすめてまいりました。

 フィルタリングサービスの更なる普及促進に向けて、本日、フィルタリングサービスの導入促進活動の強化および効果的な普及・啓発に関する総務省からの要請を受けましたが、今後も取組みの強化を図ってまいります。 (別紙参照)

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別紙
有害サイトアクセス制限サービス」(フィルタリングサービス)の更なる普及啓発に向けた取組み

(1) 青少年における「有害サイトアクセス制限サービス」(以下「フィルタリングサービス」)の導入促進活動の強化

新規契約者に対する取組み
未成年者が利用する旨の申出があった場合は、親権者から不要の申告があった場合を除き、フィルタリングサービスを設定します。
 
既存契約者に対する取組み
フィルタリングサービスを利用していない18歳未満の既存契約者に対し、十分な周知を実施し、親権者から不要の申告があった場合を除き、フィルタリングサービスを設定する等の対応を行います。
また、その他の既存契約者に対しても、申出に基づき、利用者が18歳未満であることが確認された場合は、不要の申告があった場合を除きフィルタリングサービスを設定します。
 
販売店等への指導の徹底
1.及び2.の取組みを確実に実施するよう、販売店等での対応の徹底を図ります。
(2) フィルタリングサービスの周知啓発の強化
(1)の取組みにあわせて効果的な周知・啓発を図っていくこととします。

(3) フィルタリングサービス利用者数の定期的な公表および評価の実施
  TCAよりフィルタリングサービスの利用者数を定期的に公表の上、必要に応じて業界として施策の検討を行います。

「社会の風潮に流され、金銭のために嬉々として性交に応じるような思慮浅薄な児童を作り出した責任は大人にある」という量刑理由(さいたま地裁熊谷支部)

 確かにそうだけど、「社会の風潮流され、金銭のために嬉々として性交に応じるような思慮浅薄な児童」はできあがっているし、裁判官も「大人」の一員なのに、それを全部被告人に押しつけられても。

画像チャンネル事件が結審/社長の被告に懲役2年求刑(横浜地裁H20.1.17)

 作為義務の議論があったのかについては伝わってきませんでした。

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiidec0712106/
検察側は懲役二年を求刑した。弁護側は「ほう助にすぎない」と主張し結審した。判決は一月十七日。

 だいたい、不真正不作為犯を作為犯の訴因で起訴しているのがおかしいですね。
 検事さんのいう「わいせつ画像を投稿できないようシステム変更したり、削除したり」する義務がどこから出てくるのかをうかがいたいですね。わかってるんだったら、訴因に書いて欲しいものです。

わいせつ画像掲載 「画像ちゃんねる」元社長に2年求刑 横浜地裁公判=神奈川
2007.12.12 読売新聞社
 インターネット掲示板画像ちゃんねる」のわいせつ画像掲載事件で、わいせつ図画公然陳列などの罪に問われた、掲示板管理人被告(35)の論告求刑が11日、横浜地裁(栗田健一裁判長)であった。検察側は「掲示板の広告収入を維持するため、わいせつ画像を不特定多数のネット利用者に閲覧させた」と指摘し、懲役2年を求刑した。
 弁護側は「投稿者が犯罪の実行行為者。掲示板開設者は、ほう助犯にとどまる」と主張しており、被告に同罪が適用できるかが争点になっている。
 検察側は論告で「わいせつ画像を投稿できないようシステム変更したり、削除したりできたのに、長期間根本的な対策を取っていなかった」と指摘した。
 弁護側は、違法な画像の投稿を制限する「削除ガイドライン」を設けて掲示板を監視したり、過去に違法な画像を投稿していた者の投稿を禁止したりしていたと反論。「積極的に法を犯そうとしたわけではない」として、執行猶予付きの判決を求めた。

 名古屋高裁H19は、違法画像が投稿されるまでの設置管理行為は幇助であって正犯ではないと言い切ってますから、横浜地裁がその部分まで含めて正犯だとすると、判例違反です。
 やはり、幇助と正犯の一線を画するのは、違法画像を認識しつつ削除しなかったという不作為に求めざるを得ないので、作為義務の根拠と内容の議論が避けられないですね。

有害図書販売規制へ新法

 折角条例作った自治体もあるのに、条例やめるんですか?
 法律ということになると、罰則の制限は無くなりますから、将来的には重くなるかも。
 児童ポルノ的アニメなんかもこっちなんでしょうか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071211-00000179-jij-pol
有害図書販売規制へ新法=委員会で一律基準−自民
 自民党青少年特別委員会(高市早苗委員長)は11日、著しくわいせつ・残虐な図書やDVD、ゲームソフトなどを18歳未満の青少年に販売することを禁止する新法案の骨子を了承した。現在は都道府県条例で異なる規制内容を定めているが、骨子では内閣府有識者による青少年健全育成推進委員会(仮称)を置き、一律の基準で有害図書類を指定するとした。来年の通常国会に議員提案する方針。
 骨子では▽性的感情を刺激▽残虐性を助長▽自殺または犯罪を誘発▽心身の健康を害する行為を誘発−することが「著しい」図書類を有害指定し18歳未満への販売を禁止。違反者には現行の条例と同等かそれ以上の罰則を科す。
 インターネット上の情報については与党が別途、未成年者に販売する携帯電話やネットカフェの未成年者用パソコンの有害情報を遮断する「フィルタリング機能」の搭載義務付けに向けた法案を検討中。有害性の判断は内閣府総務省に置く第三者機関が行う。民主党も同様の法案を検討しており、与野党が今後協議して来年の通常国会での立法化を目指す。 

 さて、何を「有害」とするかが問題ですね。