児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

地裁で懲役1年執行猶予3年、家裁で懲役3年執行猶予4年保護観察(宇都宮地家裁)

   宇都宮地裁h19.9.12 懲役1年執行猶予3年
   宇都宮家裁h19.11.26 懲役3年執行猶予4年保護観察
 足したら、懲役4年に執行猶予保護観察。
 結果的には刑法25条違反みたいですけど、他の事件でもこうしてもらえれば助かる被告人は多いでしょう。
 判決をずらすと、後の裁判所が気を利かせてくれることがあります。
 後の判決が実刑の場合、前の判決の執行猶予も取り消されるので、前の判決については控訴して、後の判決を待つのが安全です。

女子生徒売春を仲介の被告有罪 宇都宮家裁判決 /栃木県
2007.11.27 朝日新聞社 
 中学3年の女子生徒(当時15)を出会い系サイトで募った客相手と売春させたとして、児童福祉法違反の罪に問われた被告(28)=県青少年健全育成条例違反の罪で有罪判決=に対し、宇都宮家裁(近田正晴裁判官)は26日、懲役3年執行猶予4年保護観察付き(求刑懲役3年)の有罪判決を言い渡した。
 判決などによると、被告は家出中の女子生徒を自宅に住まわせ、出会い系サイトの掲示板で女子生徒になりすまして売春相手を募集。3月14〜21日、女子生徒を中学校教諭、自治医大医師、県課長補佐=いずれも懲戒免職=ら5人と宇都宮市内のホテルなどで計6回みだらな行為をさせた。
朝日新聞社

中3とみだらな行為 作業員に有罪判決 宇都宮地裁=栃木
2007.09.13 読売新聞社
 中学3年の女子生徒(当時15歳)らとみだらな行為をしたとして、県青少年健全育成条例違反の罪に問われた被告(28)の判決が12日、宇都宮地裁であった。井上泰人裁判官は「自己の欲求を満たすための動機に酌量の余地はないが、素直に反省している」などとして、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年2月)を言い渡した。
 判決によると、被告は3月13日に携帯電話の出会い系サイトで知り合った女子生徒(当時15歳)に、自宅でみだらな行為をした。また5月4日にも、当時17歳の少女に自宅でみだらな行為をした。
 被告は、女子生徒に対して、自治医大の元医師らに売春させたとして児童福祉法違反罪でも起訴され、宇都宮家裁で公判中。

 地裁事件の15歳と家裁事件の15歳が同一の場合、支配関係に基づいて、自己や遊客と淫行させたのだから、全部児童淫行罪(包括一罪)になるかもしれません。
 となると、管轄違とか二重起訴とか一事不再理の問題もあります。

こういう時系列だと、3/13には支配関係があった可能性があります。

被告人と性交 3/13 15歳
教員に周旋  3/16 15歳
医師に周旋  3/17 3/18 15歳

ときどき、無店舗型風俗営業店(デリヘル)の経営者が、稼働させる前に、実技指導と称してデリヘル嬢と性交類似行為することがありますよね。児童淫行罪ですよね。

名古屋拘置所

元はこんなんで、高層です。
http://www2.aia.pref.aichi.jp/kikaku/j/map/kouchisho.html
 大阪拘置所と比較すると、都心にあって、大変便利です。
 高層にすると、周辺住民から「覗かれる」という苦情があるそうです。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news006.htm
新収容棟は2006年8月に着工。鉄筋コンクリート8階建てで、総面積約1万平方メートル、工事費は総額約48億円。1983年に完成した12階建ての収容棟(約2万平方メートル)の隣に建設された。部屋数は1人用の単独室(6平方メートル)が224室、6人用の共同室(約23平方メートル)が13室の計237室となっている。

 1回見学に行きましたが、エレベーターの中にも牢屋があるんですよ。

最初が任意の取調なら最後まで在宅で処理されるか?

 そういう弁護士さんもいるので、そういう意見が聞きたければそっちに聞いて欲しいところですが、奥村が経験した事例では、多数回の児童買春事件で、

1/1 発覚
1/15 任意取調
2/1 任意取調
2/15 任意取調
3/1 弁護士相談
  A弁護士「もう逮捕されないじゃろう。罰金じゃよ」
3/15 逮捕・公判請求
4/25 奥村弁護士選任
  判決(懲役)

というパターンで、前の弁護士への恨み言を延々と聞かされることがときどきあります。
 こういう被疑者はだいたい享楽的傾向があるわけで、何事も楽観的なんですよね。
 捜査機関は「逃げたらどうしよう」「証拠隠滅されたらどうしよう」と悲観的なので対照的ですね。
 この程度の罪の場合、有罪かどうかではなく、逮捕されるかされないかで人生変わりますから、弁護士はそういうことを教えてあげないとだめですね。
 福祉犯は原則として早晩逮捕されるという前提で、できれば逮捕を回避する方法、拘束期間を短縮する方法、刑事処分を軽くする方法というのを考えると、外れない。

 世間一般的にみても、逮捕されて当然ですよね。
 逮捕されるのは弁護士が悪いんじゃなくて、自分の罪なのに、弁護士が不正確なことを言うと、不満の矛先が弁護士に向かいます。人間、そういうものですよね。

控訴審の裁判体

 福祉犯については、解釈が未熟で、高裁でも場当たり的に法解釈していることがあるんですよ。ロリコン野郎はとにかく有罪という方向。
 ある争点で奥村弁護人が各地の裁判例を分類してA説・B説を用意して、甲乙の高裁で主張すると、B説・A説の判決が出ます。わからないときは、弁護人の反対。そんな都合のいい解釈は許さないというわけです。
 結果、高裁レベルではA説・B説に分かれますが、もう、奥村弁護人がここに来ることも無いだろうということで当面平気。

 ところが、実は、最近、悪質な事案も増えてきて、実刑判決も控訴も増加傾向。奥村も控訴審弁護なら那覇でも札幌でも気軽に飛行機で行ける。
 そこで、A説で書かれた一審判決についての控訴審を受任すると、奥村は控訴審でB説の判例に基づいてB説を唱えるわけですが、以前、B説を採った裁判体に当たればおもしろいですよね。弁護人と意見が一致するはず。
 東京・名古屋・大阪は高裁刑事が数ヶ部あるので、外れることもありますが、一ヶ部しかないところだと、逃げ道が無くなります。
 次の事件は、「児童ポルノに一番厳しい高裁」に当たらないかなと期待して、控訴趣意書を書いています。担当部が決まった段階で、その部の従前の判断をおさらいする内容を書き足す予定です。

撮影型強制わいせつ事件

 3項製造罪(姿態とらせて製造)ならわいせつの意図は不要ですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000060-jij-soci
検察側は懲役5年を求刑した。同被告は「普通の診療でわいせつ行為はしていない」と否認している。
 検察側は論告で「通常の内診方法から逸脱し、わいせつな意図に基づく行為であることは明らか」と指摘した。
 起訴状によると、被告は昨年4月、経営するウイメンズクリニックで、来院した16歳の少女に対し診察を装い体の一部をデジタルカメラで撮影。同年3月にも別の女性に同様のわいせつ行為をするなどした。

 奥村は、最近、ある事件で、医師が撮る児童の裸体写真は児童ポルノじゃないと言い切りましたけど(奥村2007/11/2912:36説)、わいせつな医師が撮った場合はどうなるのかは知りません。

第6回東南アジアにおける児童の商業的・性的搾取対策に関するセミナーの聴衆

 国外犯は延べ10件だという発表がありました。
 毎年、このセミナーに合わせて夏か秋ころに国外犯を検挙するじゃないですか。
 弁護人は、その相談を受けて、このセミナーを聞きに来るのが年中行事になっています。
 特段の収穫もないんですけど一堂に会することに意義があるような気がして、参加しています。

第6回東南アジアにおける児童の商業的・性的搾取対策に関するセミナーの開催  について(ご案内)
謹啓
秋涼の候、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。  さて、警察庁では(財)社会安全研究財団及び(社)全国少年警察ボランティア協会との共催により、標記のセミナーを下記のとおり開催致します。
本セミナーは、東南アジアにおける児童買春、児童ポルノ及び人身取引問題に取り組んでいる東南アジアの捜査機関や非政府組織等が、東南アジアにおける児童の商業的・性的搾取の現状及び被害児童の保護等を含む取組状況について意見交換を行い相互理解を深めるとともに、官民協力を深化させることを目的としております。つきましては本セミナーにご臨席下さいますようご案内いたします。

1 日時
平成19年11月29日(木) 午後1時30分〜午後6時10分
2 場所
東京都港区三田2丁目1番8号  三田共用会議所 講堂(別添1参照)
3 使用する言語
日本語及び英語(英語と日本語の同時通訳サービスを提供予定)
4 招へい国
カンボジアインドネシア、フィリピン及びタイ
5 セミナー次第
別添2参照
6 その他

 なんで日本は単純所持を処罰しないのかと突っ込むアメリカの警察の人とか、単純所持を処罰することに疑問を呈した一般の方とかいましたけど、立法者(国会議員)が居ないので、「わからない」ということでしたね。

<児童盗撮ビデオ>警備員が教諭の机から発見、脅迫し逮捕

 学校は無法地帯みたいです。
 盗撮ビデオは3号児童ポルノですが、盗撮行為は所定の目的がない限り製造罪にはなりません。軽犯罪とか住居侵入とか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000062-mai-soci
<児童盗撮ビデオ>警備員が教諭の机から発見、脅迫し逮捕
11月29日15時3分配信 毎日新聞
 女子児童の盗撮ビデオテープをゆすりに使い、大阪府東部の市立小学校の男性教諭から金を脅し取ろうとしたとして、30代の警備員の男が恐喝未遂容疑で大阪府警に逮捕されていることが分かった。警備員宅などから多数押収されたテープなどには児童の裸も映っていたという。画像内容から、学校関係者が撮影に関与した可能性も浮上している。市教委は本格調査に乗り出した。府警もテープの撮影日時・場所の特定など制作の経緯を慎重に調べている。
 関係者によると、警備員は今月中旬、同小学校を巡回中、男性教諭の机の引き出しなどから、児童の裸が映ったビデオテープや写真を発見し、ゆすりの材料にしようと計画。この教諭に対し携帯電話のメールで「いくら準備できますか」などと脅し、金を渡すように要求。教諭が府警に被害を届け出たため未遂に終わったという。
 押収されたテープなど計数十本には、複数の女児がプールで着替えたり、身体測定を受けたりする様子が録画されていたという。
 市教委によると、警備員は、市内各小学校の巡回を業務委託した警備会社に所属。子どもが撮影された写真がこの警備員に盗まれていたとの報告を、同小から受けていたという。

国会図書館の医学書の謄写が厳しい

 売ってる本でも、児童の裸体があると、謄写目的聞かれます。
 「証拠にする」って謄写したら、証拠にしないと怒られるかもしれません。
 ということで、医学書を証拠にします。

 これって、検閲ですよね。
 奥村が図書館の蔵書をコピーするという表現行為に先立って、行政部門が内容を審査して、不適当と認めるときに、差し止めるわけですから。

漫画とかアニメの話。

議員立法なので法務省も気楽な答弁。「この法律の立法の目的が児童の権利擁護ということでありまして、描写の対象になった児童の人権を守るということでありますので、実在しない児童のわいせつ画像、アニメ、ゲーム等につきましては、直ちにこれに当たってこない」なんて言ってますね。

168 - 参 - 法務委員会 - 3号 平成19年11月08日
松浦大悟君 無所属の松浦大悟でございます。今日が私にとって二回目の質問ということになります。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今日は有害サイト規制について質問をしたいと思います。
 政府におきましては、IT安心会議が有害サイト集中対策を策定し、青少年育成推進本部では来年中をめどに青少年育成施策大綱を改定する方針というふうに聞いております。
 私は、有害サイト規制については条件付き賛成の立場です。ウエブだからといってすべてを放任していいというわけではない、一般の犯罪と同程度の規制は必要だろうというふうに考えています。しかし、今の世論は明らかに過剰反応だとも思います。IT安心会議もこうした世論に左右された議論になっているのではないかというふうに危惧をしています。有害サイトとは何をもって有害とするのか。有害であるものと有害ではないものとの間に線引きをしようというわけですから、そこには必ず恣意性が働く。何が有害なのか、後ほど大臣の御見解も含めて伺っていきたいというふうに思います。
 まず、IT安心会議が規制を強化しようとしている出会い系サイト規制法について伺いたいと思います。
 規制の強化ということでございますが、具体的にはどのようなデータに基づいて規制を強化しなければならないというふうに御判断をされたのかということが一つ。もう一つは、規制の強化は範囲の拡大を意味するのかということ。今現在におきましても、ミクシィやエキサイトフレンズなどのようなSNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスや一般BBS、あるいはプロフといったものの中では一見さんには分からないような形で売買春の交渉が行われている。SOSだとか、三でお願いしますだとか、助けてくださいだとか、私のサポーターになってくれる人といったような書き込みが行われているわけですよね。つまり、児童買春は今や出会い系サイトだけではなくて様々なサイトに分散をしてしまっている。こうした中で出会い系サイトだけを規制しても意味がないんですね。規制を強化するということは、こうしたSNS、ミクシィなどにも規制の範囲を広げようということであるのかどうか、質問したいと思います。
○政府参考人(片桐裕君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、出会い系サイト規制法の附則第二条というのがございまして、この法律の第七条、これは事業者は児童の利用禁止の明示をしなければいけないという規定でございますけれども、これと第八条、業者は利用者が児童でないことを確認しなければいけないという規定でございますけれども、こういう規定につきまして施行後三年を経過した段階で必要に応じて見直しをすべきという規定が置かれているところでございます。その三年が昨年十二月で経過をしたという段階でございまして、したがって、その後我々検討を進めてきたということでございます。
 また、出会い系サイトを利用しての犯罪の被害に遭う児童でございますが、この法律がそもそも施行された後、一時大分減少したんでございますけれども、その後、また昨年からこれは増加をするという傾向にございます。
 こうしましたことから、警察庁では、先般、出会い系サイト等に係る児童の被害防止研究会、これを設置いたしまして、今申し上げました第七条、第八条だけでなく、この法律全体について問題点の洗い出しと、また今後のあるべき対策について御検討いただくということにしているところでございます。
 その論点でございますけれども、警察庁からは主に二点提示しておりまして、一点は、不適切なサイト運営を防ぐための事業者としての責任をどう考えるのかと、もう一点は、児童による利用をどうやって防ぐのかという二点を御提示申し上げておりますが、この中には、出会い系サイトの、今御指摘があった定義の拡大ということは含まれてはおりません。おりませんが、ただ、第一回目の先般の会議の中で、一部の委員からこの点も論点にすべきだという御意見もございましたが、まだこれは論点にするかどうかは決まっていないということでございます。
 私どもとしましては、この点を含めまして今後研究会でどういった議論がなされるか、その行方を私どもから申し上げることは適当ではないと思っておりますけれども、警察庁としましては、今後この研究会での議論を踏まえまして、児童の犯罪被害防止のための実効的かつ相当な対策について検討していきたいというふうに考えております。
松浦大悟君 今出会い系サイトによる犯罪の検挙件数が非常に増えているという話がありましたけれども、しかし、この検挙件数と暗数というのは比例しているわけではございませんで、なぜかというと、警察が力を入れれば検挙件数というのは上がるんですね。年末の交通取締りを見れば分かるとおり、警察が力を入れれば検挙件数というのは上がるわけです。例えば、京都府警がウィニーの不祥事が起こった後にサイバー犯罪に対する検挙というのを物すごく力を入れてやった。そのことによってサイバー犯罪の検挙件数がぐんと上がったということがあります。つまり、出会い系サイトの被害児童が増えたという統計データは、ネットユーザーが増えたことによって、あるいは警察がサイバー犯罪に力を入れるようになったことによって上がっているように見えるというふうにも解釈できるわけでございます。
 さて、IT安心会議のホームページを見ますと、自殺サイトや学校裏サイトについても非常に関心が高いように見えるわけでございます。しかし、こうした学校裏サイトや自殺サイトは今回は規制の対象とはなっていない。これはなぜ規制の対象にはならなかったのか、そして今後規制対象とする意図はおありなのかどうか、お聞かせください。
○政府参考人(南俊行君) 内閣官房でございます。私どもで関係省庁さんから成りますIT安心会議の事務局を仰せ付かってございますけれども、今年の十月十五日に、今先生御紹介いただきました様々な関係省庁さんの施策を取りまとめて集中対策として取りまとめをさせていただいたところでございます。
 その中に今御紹介いただきましたいわゆるやみサイトでありますとか学校裏サイトの問題も取り上げてございますが、まずは、その実態が関係省庁も含めましてよく分かっていないという面もございますので、まずはちゃんと実態を把握した上で必要に応じて対応策を検討していこうというところにとどまっているものでございます。
 インターネット上の情報の流通に関しましては、表現の自由でございますとか、やはり通信の秘密といった面についても考慮をする必要があるというふうに考えておりまして、特に発信者側の権利を過度に萎縮させることがないような配慮というのはやはり必要であろうというふうに思っております。
 現在、プロバイダーの業界団体さん等の自主的な民間団体の取組がございますので、そういったものを政府としては側面から実効性が上がるようにサポートしていくという対策をやはり中心に進めることが、このインターネットという事柄の性格上ふさわしいのではないかということで今回の取りまとめに至ったということでございます。
松浦大悟君 自殺サイトですとか学校裏サイトといいますと、マスコミでは負の側面だけが強調されるわけでございますが、しかし別の側面もあるだろうというふうに考えます。
 例えば、自殺サイトでいうと、自殺サイトへアクセスすることによって自殺をする人の数と、そこへアクセスする人の数を比べてみてもらいたいんですね。そうすると、そこのサイトにアクセスしたことによって自殺をした方の数よりも、圧倒的多数の方たちがアクセスをしただけということが分かるんですね。つまり、自殺念慮を抱えている方たちが自殺サイトにアクセスすることによってガスが抜けているという現状があるだろうというふうに思います。自殺念慮を持っている方たちが孤独に陥らないような、そういうコミュニケーションの場でもあるわけです。
 また、学校裏サイトについて言えば、学校裏サイトではいじめの温床になったサイトだけがピックアップされるわけでございますが、それだけの機能ではなくて、普通の学校での日常生活の会話なども行われているわけでございます。一見いじめのように見えるようなそういう書き込みであっても、いじめっ子が書いているのか、あるいはいじめられっ子がその書き込みを行っているのかで文脈は変わってくるわけですよね。いじめられっ子が学校での憂さを晴らすために書き込みをしている、ガスを抜いているというケースもあるわけでございまして、一くくりにできるものではないというふうに思います。小中学生がサイトを作れば、必ずそこは学校裏サイト的なニュアンスを帯びてくるわけなので、これを規制するというのはどうなんでしょうか。子供たちの表現の場を大人が奪うようなことがあるべきではないというふうに私は考えます。
 今後も規制すべきではないというふうに考えますが、御見解をお聞かせください。
○政府参考人(武内信博君) 総務省といたしましても、インターネット上の違法・有害情報の対策は非常に重要な課題であるというふうに考えておりますが、他方、今先生の御指摘もありましたように、この課題の取組につきましては、表現の自由というふうな観点から慎重な検討も必要だというふうに認識をしております。このような観点から、プロバイダーやあるいは電子掲示板の管理者等によります違法・有害情報の自主的な削除の取組の支援ですとか、あるいはフィルタリングというものの普及などに努めているところでございます。
 総務省といたしましても、引き続き、こういう表現の自由等についての議論にも十分配慮した上で、ガイドライン等の運用ですとかあるいは周知の支援、あるいはフィルタリングサービスの一層の普及というものにつきまして、業界ですとかあるいは関係機関との連携を引き続きやってまいりまして、今後とも違法・有害情報の問題に総合的に対応してまいりたいというふうに考えております。
松浦大悟君 次に、児童買春、児童ポルノ禁止法について伺います。
 これは議員立法で成立したものでありますが、法務省として改正する意図というのはあるんでしょうか。もしあるのであればどういう内容なのかを教えていただきたいと思います。
 私は、写真やビデオと違って、被害者のいない漫画やアニメ、それからゲームに対する規制の強化が行われるのではないかというふうに危惧をしています。法律を改正するならば、改正するに見合った立法根拠が必要だと思っておりますが、このような有害と言われるメディアが犯罪を増やしたという調査結果はあるのかないのか、お聞かせください。
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいま有害メディアが具体的な犯罪を増やしたという統計があるかどうかということでございますけれども、済みません、私が今知る限りにおいてはそのようなものは承知しておりません。
 それから、児童買春、児童ポルノ禁止法の見直しの関係でございます。
 先ほど委員御指摘のとおり、十六年の改正で三年後の検討ということが求められております。したがいまして、当局といたしましても、社会意識の状況等を見まして、また、今後におきます国会における議論等にも注目させていただきまして、その上で検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ただ、その中で議論が出てまいりますのは、例えば、実在しない児童のわいせつ画像を取り扱ったアニメやゲームについても、これは青少年の育成上問題があり、あるいは児童を性の対象とする風潮を助長するんじゃないかというような御議論がございます。
 この辺りは、この法律の立法の目的が児童の権利擁護ということでありまして、描写の対象になった児童の人権を守るということでありますので、実在しない児童のわいせつ画像、アニメ、ゲーム等につきましては、直ちにこれに当たってこないし、また、表現の自由ですね、表現の自由との関係がございますので、慎重な考慮を要するのではないかと、このように考えております。
松浦大悟君 御答弁にありましたとおり、メディアの悪影響論についてはアメリカの社会学者のクラッパーが実証的に否定をしております。しかし、そうした中においてアニメの悪影響論が語られているという現状があるわけでございます。
 大臣、児童のアニメといっても、写真の被写体と違いまして、アニメのキャラクターに戸籍など年齢確認することはできないんですね。にもかかわらず、そうすると、これは児童ポルノだ、これは違うという形で、すべて警察、検察の恣意的な運用に任せられるということになってしまいます。特に日本のアニメというのは成人と児童との区別が付かない、そういう表現が行われているわけでございます。特徴的なわけでございます。なので、恣意的な運用が懸念をされるわけなんですね。
 過度なわいせつ物などはわいせつ物頒布罪などの現行の法体系で取り締まることが可能ですから、立法根拠のない法改正はすべきではないと私は思います。特にアニメやゲームというのは日本のコンテンツ産業の軸でもありますから、こうした産業育成の面からも、それから表現の自由の面からも、できる限り守られるべきであろうというふうに思います。
 ローゼン閣下とも呼ばれ、アキバの皆さんにも大変人気がある麻生太郎自民党幹事長と盟友であられる鳩山大臣に、前段で質問した有害サイト規制なども含めまして御見解をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
国務大臣鳩山邦夫君) 私は麻生太郎さんの選対本部長だったんですが、麻生さんのようにそういうことに詳しくはないんです。ですから、今の松浦委員のお話をずっと承っておりまして私なりに勉強しました。表現の自由の問題、我が国における、それは児童ポルノを処罰するという法律があるけれども、それを余り振りかざされると我が国独特の文化にも影響があるというようなことが御主張だと思いますし、まして実在をしない漫画的ポルノというんでしょうか、そういうものをどう考えるかということについても委員のお話をこれから参考にしていきたいと思っております。
 ただ、私はインターネット社会が来るなんて全く思っておりませんで、この間まで自民党選挙制度調査会長をやっておりまして、インターネットを選挙運動に使っていいというふうにすると何が起きるかと。これは、なりすましだとか、要するに選挙妨害みたいなものがわっと押し寄せてきて何の規制もできないと。国内で規制しても外国へ行って飛んでくると。だから、恐ろしい時代になったなということを考えておりますので、すべて慎重に判断しなければならないと思いますし、松浦委員のお考えはよく分かりましたので参考にいたします。