児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「タク弁」

 タクシー免許持ってる弁護士かと思いました。
 大型二種持ってたら「バス弁」か?

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071118AT1G0501Q17112007.html
先輩の事務所の机を借りるだけで給料はもらわない「軒先弁護士(ノキ弁)」になる新人弁護士が増えている。司法試験の合格者が段階的に増え、就職先が減ったための苦肉の策だ。自宅を事務所として登録せざるを得ない“タク弁”の新人も目に付き始めており、日弁連は1人事務所に新規採用を促すなど、就職先の確保に努めている。

 何を今さら。「タク弁」「ノキ弁」が大量生産されるがそれでもOKという制度設計だったんじゃないですか?
 このタク弁・ノキ弁が、ゼロワン地域に行きわたるということで、弁護士サービスが行き渡るということを目論んでいたんじゃないですか。

私選弁護人一回結審初犯一発実刑の事案

 関東甲信越地方。
 1罪。前科なし。
 1回目で結審して、2回目で実刑判決。
 科刑状況をみると、結構微妙な事案なんですけど、私選が一発結審するというのは、あまり聞かないですね。
 ベテランの弁護士は妙な自信があって、児童ポルノ罪に油断してたりします。

違法性の認識がなかったという主張

 違法性の意識不要説とか制限故意説とか厳格故意説とかいう刑法の議論です。
 殺人罪とか刑法の伝統的構成要件だと難しいのですが、改正直後とか特別刑法の場合は、ありうる議論です。
 児童ポルノ法改正前から改正後にかけての3項製造罪(姿態とらせて製造)について、改正直後の行為について違法性の意識がないという主張をしたことがあります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071119-00000034-kyt-l26
弁護側は「税関で輸入が許可されており、2人に違法性の認識がなかった」と無罪を主張していた。増田裁判官は「輸入・販売の際に現物を見ており、違法性の意識を持ち得る事実の認識があった」と指摘した。さらに「税関で輸入が許可されたからといって、銃刀法違反に当たらないと決まったわけではなく、そのことは輸入・販売会社の経営者として認識し得た」として、仮に違法性の認識がなかったとしても「相当な理由はない」と結論付けた。

第38条(故意)
1 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

検察官控訴された場合

 若い弁護士から
   刑事事件の控訴は棄却されるから、
   検察官控訴事件でも
   弁護人は何もしなくて公訴棄却でいいですよね?
なんて、ちょっと信じられないことを聞かれて統計を調べました。

http://www.courts.go.jp/sihotokei/nenpo/pdf/B18DKEI61.pdf
控訴事件の破棄人員―控訴理由別―高等裁判所管内全高等裁判所
検察官控訴で破棄された事件179件 うち量刑不当113件

http://www.courts.go.jp/sihotokei/nenpo/pdf/B18DKEI59.pdf
第59 表控訴事件の控訴棄却人員―控訴理由別―高等裁判所管内全高等裁判所
検察官控訴で棄却された事件 59件 うち量刑不当46件

ということは、量刑不当の検察官控訴159件で、棄却46件なんだから、28.9&ですかね。
 重く変更される可能性が、71.1%ですか。
 検察官控訴された以上は、覚悟を決めて、情状を積み増しする以外にも、原判決の問題点は全部指摘すべきでしょうね。