児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

飲酒運転報告義務づけ、「人権侵害」と彦根市長

 一つの見解だと思いますね。
 バレれば重い処分、自己申告すれば軽減ということでいいんじゃないですか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061025-00000217-yom-soci
 飲酒運転による交通事故が問題となる中、滋賀県彦根市の獅山(ししやま)向洋市長(65)は25日の記者会見で、11月1日から適用する市職員の飲酒運転懲戒基準について「飲酒運転の報告義務づけは、憲法が禁じた不利益な供述の強要にあたり、人権侵害」として、検挙の有無にかかわらず、報告の義務づけは基準に盛り込まないことを明らかにした。
 元神戸地検検事の獅山市長は「法的には、職員が飲酒運転しても、市への報告義務はない」とし、全国の自治体が、報告義務化を進めていることに触れ、「公務員にだけ求めるのは職業差別」と断じた。一方で、職員の自己申告や報道などで市が飲酒運転を知った場合には「処分の対象になる」とした。
(読売新聞) - 10月26日1時2分更新

孫の貯金1540万円流用、祖母ら3人に有罪判決(福島地裁H18.10.25)

 「との間で」の解釈問題。
 まず立法趣旨を検討して、窃盗・詐欺の場合とかと比較して検討するんですよね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061025-00000413-yom-soci
裁判では、直系血族や配偶者らの間で起きた業務上横領や窃盗などの財産犯罪で刑が免除される「親族相盗」が、直系血族の後見人にも適用されるかが争われた。判決では「親族間に(財産問題の)規律が働かない場合は、親族相盗を適用すべきではない」と判断。たかの被告は、財産管理にあたる未成年後見人として選任した福島家裁との信任関係を裏切ったとして、業務上横領罪が成立するとした

第244条(親族間の犯罪に関する特例)
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

 こういう事件の地裁・高裁判決まで遡ると、裁判所の見解がよくわかります。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=33471&hanreiKbn=01
事件番号 平成18(あ)334
事件名 窃盗被告事件
裁判年月日 平成18年08月30日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成17(う)2637
原審裁判年月日 平成18年01月18日
刑法244条1項は,内縁の配偶者に適用又は類推適用されない

製造罪と神奈川県青少年条例違反は観念的競合(横浜地裁川崎支部)

 条例の「わいせつな行為」とは観念的競合になりうるでしょうね。

神奈川県青少年保護育成条例
第19条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

第37条 第19条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

サイバー犯罪に「おとり捜査」=児童ポルノ、偽ブランド、ID対象−警察庁

 欧米風ですね。
 警察庁の号令がなくても県警レベルではやってますから、驚くほどの方針変換はありません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000030-jij-soci
 警察庁は26日、インターネット上で違法に販売されている児童ポルノ画像や偽ブランド品などについて、警察官が客を装って買い取り、検挙に結び付けるおとり捜査の手法を積極的に推進する方針を決めた。検挙した際は捜査の経緯も公表し、同種犯罪の抑止を目指す。27日の全国会議で各都道府県警に指示する。
 対象となるのは、DVDなどで販売されるわいせつ画像や児童ポルノ海賊版コンピューターソフト、偽ブランド品、ネットオークションのIDやパスワードなど。
 警察官が身分を隠してネット上で購入。違法かどうかを確認し、家宅捜索や検挙につなげる。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000051-mai-soci
 こうした犯罪の検挙には不法なわいせつ物などを入手する必要があり、警察官らが身分を隠したままわいせつ物などを購入する捜査手法がとられる。今年7月には石川県警がサイバーパトロールでわいせつDVDを販売するホームページを発見し、警察官が身分を隠してDVDを購入したうえで、容疑者5人を特定し逮捕した。
 おとり捜査をめぐっては、麻薬取締官が麻薬取締法で捜査段階での譲り受けが認められているが、警察官には明文規定はない。同庁は「警察官の買い取りが犯罪を誘発させるわけでなく、適法な捜査にあたる」と話している。

福岡高等裁判所那覇支部平成17年3月1日
3控訴趣意中児童買春法の憲法14条違反の主張について
所論は要するに,児童ポルノ販売罪は,買主との必要的共犯・対向犯であって,買主の買い受け行為の法益侵害,違法性は可罰的,当罰的であるにもかかわらず,売主のみを処罰するのは,法の下の平等憲法14条)に違反するから,児童買春法の児童ポルノ販売罪の規定は違憲,無効であり,同規定を適用して被告人を有罪とした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというにある。
しかし,買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。論旨は理由がない。

9違法法収集証拠の主張について
所論は要するに,警察庁は「児童ポルノ画像自動検索システム」という被害児童のデータベースを持っていて,本件被害児童もそのデータベースに収録されているから,本件児童ポルノは上記検索システムによって容易に検索可能な物であり,捜査官がこれを買い受ける必要はなかったのであるから,捜査官が被告人に対して本件児童ポルノの買い受iナを申し込んで捜査の端緒としたのは違法なおとり捜査であり,それによって収集した証拠に基づいてされた本件公訴の提起は公訴権の濫用で違法であり,それに対して実体判決をした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるというにある。
しかし,被告人は,自らインターネットオークションにおいて,本件児童ポルノを販売する旨を申し出ており,捜査官が被告人の犯意を誘発した事情は認められず,単に機会を提供したに過ぎないから,捜査官の行為が違法なおとり捜査であるとはいえず,それによって収集した証拠が違法収集証拠になる訳はないし,その証拠に基づいてされた本件公訴の提起が公訴権の濫用で違法であるということはない。したがって,原判決には所論のような訴訟手続の法令違反がないことは明らかである。論旨は理由がない。

ユニセフのシンポジウム

 せっかくプロバイダに来てもらってるのに、プロバイダの責任には言及されなかった。

 警察の希望
  購入行為 単純所持の規制

 ユニセフの希望
  アニメ 漫画の規制

というところか。
 
 インターネット協会の人は、「関西援交シリーズは製造犯が検挙されて被害児童が保護されたので、今後は児童ポルノではなく「わいせつ」となる」と発言していた。
 児童ポルノ画像は流出によって権利侵害されつづけるのだという意識がない。

 実物の児童ポルノを投影した人もいましたよね。

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2631013/detail
ネット普及で深刻な児童ポルノ
対策進むが、状況はますます悪化
26日、ユニセフハウスで開かれた児童ポルノ問題のシンポジウムでは、深刻化する現状が報告された(撮影:佐谷恭)
ライブドア・ニュース 10月26日】− サイバースペースでの児童ポルノ問題などを話し合うシンポジウム「守ろう子どもの権利 STOP! 子どもポルノ」(日本ユニセフ協会主催)が26日、東京都港区のユニセフハウスで開かれ、警察やインターネット関連企業担当者から児童ポルノの現状や今後の課題が発表された