児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

門真市教委主事が女子高生を買春

夏休み期間にこの種事案が増えるので、加害者・被害者ともに注意しなさいということで、この時期の逮捕。

 量刑を大胆、予想すると、
 懲戒免職になれば、旧法の事件なので、1件だけなら、犯行態様に問題がなければ、罰金40〜50万円。
 略式手続で終わるから、通常、弁護士と相談することも、学習も、謝罪や被害弁償もすることもない。それでも罰金で済む。

 余罪が立件できれば当然、公判請求もあるところだが、「余罪を追及する。」といっても、証拠が固まらないと、なかなか立件されない。当たり前だが。
 この手の犯罪は、検挙率が低いので、一度味をしめると、検挙されるまで続けてしまう傾向が強いと推測する。検挙されると、大抵余罪多数。
 弁護人としては余罪を「無い」・「少ない」と主張するわけだが、何罪であっても、検挙に至る経緯があって、
  ○○犯人は1日にして成らず
ということです。

「教育行政の信用を大きく損ない、誠に申し訳ない。職員の服務の徹底に全力で取り組み、信頼回復に努める」
というコメントをみると、教育委員会も、被害児童の救済や法の趣旨には気付いていない。
 児童買春罪の本質に鑑みると、教育委員会は、まず、「関係行政機関と連絡・協力して、被害児童の保護・救済に努力する」、次に、「職員に児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の趣旨を徹底する」、そして、「関係者の処分」である。
 教育委員会の認識を高めないと、被害者側の予防もできないし、加害者の再生産も防げない。

(教育、啓発及び調査研究)
第十四条  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの頒布等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
      2  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの頒布等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。


  (心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条  関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
      2  関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。


  (心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条  国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。

http://ime.nu/www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-040720-0022.html
同容疑者は容疑を認めている。調べに「数年前から児童買春をしていた」と話しており、同課は余罪を追及する。

教育職員免許法

 失効と取上で、懲戒免職になると、教員免許は失われるわけですね。φ(・_・)メモメモ

教育職員免許法
第3章 免許状の失効及び取上げ
(失効)
第10条 免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う。
1.第5条第1項第3号、第4号又は第7号に該当するに至つたとき。
2.公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けたとき。《全改》平14法055
《改正》平15法117
2 前項の規定により免許状が失効した者は、すみやかに、その免許状を免許管理者(当該免許状を有する者が教育職員である場合にあつてはその者の勤務する学校の所在する都道府県の教育委員会、当該者が教育職員以外の者である場合にあつてはその者の住所地の都道府県の教育委員会をいう。以下同じ。)に返納しなければならない。《全改》平14法055
(取上げ)
第11条 国立学校又は私立学校の教員が、前条第1項第2号に規定する者の場合における懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められるときは、免許管理者は、その免許状を取り上げなければならない。《全改》平14法055
《改正》平15法117
2 免許状を有する者(教育職員以外の者に限る。)が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があつて、その情状が重いと認められるときは、免許管理者は、その免許状を取り上げることができる。《全改》平14法055
3 前2項の規定により免許状取上げの処分を行つたときは、免許管理者は、その旨を直ちにその者に通知しなければならない。この場合において、当該免許状は、その通知を受けた日に効力を失うものとする。《全改》平14法055
4 前条第2項の規定は、前項の規定により免許状が失効した者について準用する。

(授与)第5条
 普通免許状は、別表第1若しくは第2に定める基礎資格を有し、かつ、大学若しくは文部科学大臣の指定する養護教諭養成機関において別表第1、第2若しくは第2の2に定める単位を修得した者又は教育職員検定に合格した者に授与する。ただし、次の各号のいずれかに該当する者には、授与しない。
3.成年被後見人又は被保佐人
4.禁錮以上の刑に処せられた者
7.日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

指導主事とは、

 法律によれば、

指導主事は、上司の命を受け、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。以下同じ。)における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。
指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。

ということです。

検索指定用語 「指導主事」 AND検索(全法令) 

地方教育行政の組織及び運営に関する法律
(昭和三十一年六月三十日法律第百六十二号)

(◆指導主事◆その他の職員)
第十九条
 都道府県に置かれる教育委員会(以下「都道府県委員会」という。)の事務局に、◆指導主事◆、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。
2 市町村に置かれる教育委員会(以下「市町村委員会」という。)の事務局に、前項の規定に準じて所要の職員を置く。
3 ◆指導主事◆は、上司の命を受け、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。以下同じ。)における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。
4 ◆指導主事◆は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。◆指導主事◆は、大学以外の公立学校(地方公共団体が設置する学校をいう。以下同じ。)の教員(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第二項に規定する教員をいう。以下同じ。)をもつて充てることができる。
5 事務職員は、上司の命を受け、事務に従事する。
6 技術職員は、上司の命を受け、技術に従事する。
7 第一項及び第二項の職員は、教育長の推薦により、教育委員会が任命する。
8 教育委員会は、事務局の職員のうち所掌事務に係る教育行政に関する相談に関する事務を行う職員を指定し、これを公表するものとする。
9 前各項に定めるもののほか、教育委員会の事務局に置かれる職員に関し必要な事項は、政令で定める。

教育公務員特例法
(昭和二十四年一月十二日法律第一号)
(定義)
第二条
5 この法律で「専門的教育職員」とは、◆指導主事◆及び社会教育主事をいう。

月刊学校経営にみる児童ポルノ・児童買春法

 休刊したらしいが、
http://www.gakkei.com/
若井彌一さんが関係法令の解説を書いている。

上越教育大学教授若井彌一「実例で学ぶ教育法令のキーワード31」学校経営'00.7
児童買春児童ポルノ

児童買春
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 (以下「児童買春・児童ポルノ行為処罰法」又は単に 「法」 と略称) は、昨年五月二六日に公布された (法第五二号)。
本法に違反する行為を行ったとして逮捕されてしまう人々が続々と出る有り様であり、逮捕された人々の中には、学校の教員も含まれている。このようなお寒い状況であるので、本法のキーワードについて理解すると共に本法の趣旨及び概要について理解を深め、本法違反為を行わないように努めたい。

(中略)
性産業が地方小都市部にまで浸透している現状や通信販売によるポルノビデオ・写真・雑誌の容易な入手が現実となっている我が国において、学校関係者だけが、性風俗の健全化のために努力しても、その効果は知れたものである。
まずは、各学校が児童・生徒の保護者に呼びかけ、学校と保護者とが、そして次には、地域住民全体への呼びかけを行い、地域運動として、児童買春・児童ポルノ問題に対する取り組みを強化拡大していっていただきたいものである。

若井彌一「わいせつ行為、児童買春、淫行…外」学校経営'0110
児童生徒に対するわいせつ行為は原則として懲戒免職処分の対象としてほしい旨の文部科学省見解が明らかにされた。これを機に、各学校においては、児童生徒に対するわいせつ行為に教職員が走ることのないように、校内研修等で理解を深め、自覚を新たにしていただきたいものである
(中略)

児童買春・ポルノ処罰法では、「国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの頒布等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。」 (第一四条第一項) と定めており、学校教職員は、先頭に立ってこの任務を遂行していくことが期待されている。
この任務を十全に遂行できるためには、今日の我が国の文化的現状や特徴について、冷静な目で理解を深めるとともに、その理解を踏まえた強い教育的情熱あるいは実践的意欲を保持し続けなければならない。〔実例}で掲げた地方公務貞法第三三条にいう「その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為」が、右に述べてきた性犯罪や風俗営業の違法経営に限られるわけではないが、最近の傾向を示すものとして現状把握に努め、学校数職員がその泥沼に落ち込まないだけの理性を豊かにするにとどまらず、これかの時代を生きていく児童生徒のバランス感覚を備えた性道徳観念の滴養に工夫を重ねたいものである。

 少し古い記事だが、児童ポルノ・児童買春が児童の性的虐待であるとか、商業的性的搾取であるという、当たり前の話が出てこないのが残念である。

 予防と関係者の処分だけでは、交通事故に例えると、交通安全運動と加害者の処分だけを行って、現場の被害者を放置する(救急車で運ばない、病院に収容して診察・治療しない)というようなものである。

 なんとかしろよって高裁で主張したら、行政機関の無策は認定したものの、「だからといって被告人の罪は軽くならない」という判断であった。

東京高裁H16.2.19
なお,所論は,被害児童に帰責性があること,行政機関が被害児童の保護を怠っていることを被告人に量刑上有利に掛酌すべきであると主張する。しかしながら,同法は,未だ健全な性的観念の備わっていない児童を前提に,児童買春を行う者を処罰するものであって,被害児童が買春に同意していたとしても,犯罪の成立に消長を来さないことは勿論,その量刑に影響を及ぼさないことも明らかである。被害児童に対する本件後の行政機関の保護状況が被告人の刑責に影響を及ぼすものでないことは多言を要しない。論旨は理由がない。

秘書検定予備校が問題を事前入手 酷似の模試実施

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040721-00000156-mai-soci
 なにを隠そう、秘書検定2級を持っている。
 「企業や官庁の秘書としてのマナーなどを問う同検定の2級試験」とのことだが、常識レベル。
 冠婚葬祭とか。
 資格としての有用性はともかく、勉強になります。

指導主事の児童買春事件

 続報を見ています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040721-00003042-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040721-00001042-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040720-00000416-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040720-00000913-jij-soci

 少し前に新聞報道された余罪100件高校教師の買春事件の判決が手に入りました。
   被害者起訴分2名、余罪100件
   ビデオ撮影もあり。
   被害弁償なし。被害回復不明(多分やってない)。
 教職者がこれだけやっても懲役1年6月執行猶予3年ということです。

 この量刑が正しければ、買春事件で前科がなければ、執行猶予は確実だと言えるでしょう。

 ここまで量刑が軽いと、謝罪・被害弁償という弁護方針も馬鹿らしくなってきますね。

 法改正後の旧法の事件で、量刑に変化があるかに注目しています。

 なお、古い判決ですので、堺支部の検察官・裁判官は、言い回しを盗まないように。現時点の状況を鑑みて自分で考えてください。

萌える法律読本 ディジタル時代の法律篇

 児童「売春」と書いてしまったのは誤植だとしても、「漫画」を児童ポルノ法の項目に挙げているのは、問題というか、勉強不足ですね。
 「コンピュータユーザのための著作権&法律ガイド」でも、児童ポルノ法の項目で漫画の話が延々。失当ですね。
  「漫画」規制は児童ポルノ罪とは関係ない。
  間違いナイ!
と書けば終わりです。

萌える法律読本 ディジタル時代の法律篇http://book.mycom.co.jp/book/4-8399-1555-5/4-8399-1555-5.shtml
CD-ROM付き
・著者:プロジェクトタイムマシン
・予価:2,100円(税込)
・A5判 260ページ
・ISBN4-8399-1555-5
・発売日:2004年07月下旬


http://book.mycom.co.jp/MYCOM/html/book/4-8399-1555-5/index/4-8399-1555-5.html
_01 児童売春・児童ポルノ処罰法 〜漫画表現と規制の観点から〜
5_02 不正アクセス禁止法 〜増加する不正アクセスと困難を窮める法整備〜
5_03 音楽を巡る著作権の動向 〜著作権の理解と業界の構造から〜
5_04 深刻化するspamと法整備
5_05 改めて問われる著作権の意義 〜文化的な豊かさとビジネスの狭間で〜

Winny開発と著作権侵害幇助行為について

 執筆者不明ですが第一法規から送られてきた小冊子。
 刑事訴訟の目的は

刑事訴訟法
第1条〔本法の目的〕 
この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。

ですから、最初の1件で、ルールは出てきません。判例の蓄積を待つか、自主的にガイドラインを作ってしまうかだと思います。

ネットロ−フォーラム13号第一法規
Winny開発と著作権侵害幇助行為について

また、サイバ−犯罪条約の6条1項aにおいて、いわゆる両用のソフトウエアについて、犯罪を.主として行うため設計され又は調整された装置(コンピュータプログラムを含む)について犯罪が成立すると定められている。
中略
これらの観点から、本件のような両用のソフトウエアの開発について、一定のルールが導かれることが本件の判断に期待されているということができるであろう。

司法試験論文試験も児童に対する性犯罪

 って宣伝しても、研究者は増えないでしょうね。
 財界主導の司法改革ですから。

 論文試験は暑いわ(冷房導入前)、答案用紙間違えるわ、というイメージがあって、論文試験以後、他人に与えられたテーマで「論文」書きたくない。

http://www.w-seminar.co.jp/shihou/news/zubari_hahiro.html
平成16年度司法試験第二次試験 論文式試験問題 憲法・第1問
 13歳未満の子供の親権者が請求した場合には、国は、子供に対する一定の性的犯罪を常習的に犯して有罪判決が確定した者で、請求者の居住する市町村内に住むものの氏名、住所及び顔写真を、請求者に開示しなければならいという趣旨の法律が制定されたとする。この法律に含まれる憲法上の問題点を論ぜよ。

児童ポルノ・児童買春犯人の弁解

 今日も、匿名の無料電話相談が2件。逮捕報道があったから。
 本日の共通の質問で、よくある質問FAQが
   取調べや公判で何をどう言えば軽くなるんですか?
という趣旨のもの。
 言い方で変わるものじゃないのだが、「買春の相手方となった児童の権利を擁護するものであることは法の目的に照らして明らかであり,買春罪の保護法益は一次的には当該児童の健全な心身と解すべきである」という学習・反省の結果は示して欲しいところです。
 この学習が量刑にも被害弁償にも再犯防止にもつながる弁護のポイントであって、弁護の要なんですが、大サービスで書いておきますから、いま、学習してもらって、反省すれば、これ以上の児童ポルノ・児童買春行為はやめて下さい。
 もし、捕まったら、貴殿の弁護人が無知であっても、覚えていれば、自分の言葉で、そう言って下さい。本当に理解していれば、量刑に反映されるかはともかく、再犯の危険性は減少するでしょう。

 「奥村弁護士のWEBで・・・と書いてあった」って言って貰ってもかまいませんが(調書でよく見かけます)、違法を知っててやるのは責任重いので、供述に注意して下さい。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/arrested-kaisyun.htm
 今回捕まるまでは、申し訳ないことですが、児童買春の害悪(被害児童の健全な成長を害する・・・害悪について考えたことを盛り込む・・・)については全く知りませんでしたが、捕まって、専門家の方から差し入れられた資料を読ませてもらって、とんでもないことをしてしまったことがよくわかりました。反省しています。
 相手方との合意はあったとはいえ、大人であればそんな子どもを説経したり・叱るべきでした。そんな立場にありながら、今回のような行為で相手方の将来に取り返しのつかない被害を与えてしまったと深く反省しています。もし連絡が取れれば、お詫びの言葉を伝え、被害の弁償をしたいと思います。

 試験なら、こんな判例を挙げれば二重丸でしょう。
 「公刊物未掲載の判例なんて、なんで知ってるんだ」ということになるでしょうが。

東京高裁平成16年2月19日(公刊物未掲載)
平成15年(う)第3077号
諭旨は,要するに,原判決は,罪となるべき事実第1ないし第4として,被告人が,平成14年月12日,同年月12日,同月22日及び同年 月6日の四日間に,被告人方において,いずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,当時16歳の女児に対し,現金の対償を供与する約束をして,同児童と性交したとの事実を認定判示した上,これを併合罪としているが,同一被害児童に対する複数回の買春行為はもとより,児童買春罪の保護法益は社会的法益であって,被害児童を異にしても全体として包括一罪の関係にあるというべきであるから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
 しかしながら,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「本法」ともいう。)が買春の相手方となった児童の権利を擁護するものであることは法の目的に照らして明らかであり,買春罪の保護法益は一次的には当該児童の健全な心身と解すべきであるから,買春によりこれが侵害される都度独立して同罪が成立すると解するのが相当であって,これを包括一罪とすべきいわれはない。原判決には所論のような法令適用の誤りはなく,論旨は理由がない。

部分没収の話

 上告してからずいぶん、ややこしいことがわかってきた。
 これじゃ、プロバイダーのサーバーにある児童ポルノ画像は、サーバー丸ごと没収する以外に没収できないね。

臼井滋夫「没収−刑法改正作業レポート5」ジュリスト'67.11.15
一定の物件について没収に代わる使用不能処分を認めることの要否についても、横極、消極の両説があり、積極説がやや多数であったが、消極説も相当数を占めたので、これら二つの考え方に基づく案がそれぞれ参考案とされた (第七三粂第二項〔A案〕・〔B案〕)。消極説の根拠は、現行法の下においても、解釈上物の一部についての没収が認められており、偽造・変造の文書等にあっては、偽造・変造の部分だけを没収し、当該部分に偽造の旨を表示してこれを権利者に返還することが一般に行なわれており、この方法で十分まかなえるから、ことさら使用不能処分を刑法上の処分として取り入れる必要はない、ということにある。これに対し、積極説の論拠は、いわゆる部分没収については解釈上問題があるのでこれをはっきりさせるとともに、対象物について正当な権利を有する第三者の保護を全からしめるためには、没収の効果に関する規定 第七六条) との関係からも、この種の処分を明文化する必要がある、というにある〔−なお、この処分の対象を、偽造・変造・虚偽記入の文書・図画に限らず、ドイツ刑法の使用不能処分のように、猥褻な文書・図画や文書・図画以外の表現物をも含ませた方がよいとの意見もあったが、相当数の支持がなかったので、採用されなかった