児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

山口厚 「情報通信ネットワークと刑法」

 住居侵入罪とパラレルに考えると、パブリックスペースに内蔵されているプライベートスペースについて住居侵入罪が成立するかという話になり、管理権者の許諾がなければだめになるわけですが、有体物ドグマの裁判所が、有体物として1個であるHDDの記憶領域上でそんな区別ができるのか?

山口厚 「情報通信ネットワークと刑法」『現代社会と刑法』(岩波講座 現代の法6)(1998年)119頁
次の検討の視角は、いかなるものとして不正アクセスを処罰の対象とするのかということである。ここでは、基本的には二つのアプローチが考えられる。第一は、不正アクセスを、不正にアクセスした後に可能となる犯罪行為の未遂・予備的行為として処罰の対象とするというものである。ここでは、そうした段階まで処罰時期を繰り上げることが妥当かが問題となる。ドイツ法はこの点には慎重な態度を採り、データの取得を要件としていることが参照される
必要があろう。なお、この場合には、既遂を処罰せず、予備・未遂だけ処罰することは考えがたい以上、不正アクセスにより目的とする不法行為が犯罪であることが必要となるが、わが国ではサービス・情報の不正取得一般を処罰の対象にしていないことが、やはり障害となろう。第二のアプローチは、不正アクセス自体に固有の当罰性を認めるというものである。不正アクセスをいわば電子的不法侵入罪として、住居侵入罪のアナロジーで捉えるものである。ここでは、外部から隔離されたシステム自体に、住居と同様に保護されるべき実体があるかが問題となる。関連して、この場合には、住居侵入罪で要件となる物理的侵入は不要であるだけに、いかなる限定を付していくかが課題となろう

 ちなみに、信書開封罪(信書開披罪)の場合、透かしてみるのは開封・開披にあたらない。全部見えても。
 封がしてない信書は客体とならない。

刑法
第133条(信書開封)
正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。