児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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宅配配達員強制口腔性交1罪 酌量減軽 懲役4年(福岡地裁H30.8.30)

宅配配達員強制口腔性交1罪 酌量減軽 懲役4年(福岡地裁H30.8.30)
 先日、改正前の口腔性交(強制わいせつ罪(176条後段))で執行猶予判決もらいました。宥恕あれば執行猶予か。
 改正前の強姦じゃなくて、口淫性交の強制わいせつ罪の量刑を参考にすべきじゃないですか

裁判年月日 平成30年 8月30日 裁判所名 福岡地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(わ)460号
事件名 強制性交等被告事件
文献番号 2018WLJPCA08306004
主文
 被告人を懲役4年に処する。
 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
理由
 (犯罪事実)
 被告人は,強制的にA(当時17歳。以下「被害者」という。)と性交等をしようと考え,平成30年4月14日午後2時30分頃,福岡県太宰府市●●●において,被害者に対し,その唇に無理矢理接吻し,その着衣の中に手を差し入れて両胸及び陰部を直接触った上,被害者を床に倒し,その胸及び陰部を直接触るなどの暴行を加え,被害者の反抗を抑圧し,被害者と口腔性交をした。
 (証拠)
 なお,本件公訴事実中,被告人が被害者の手をつかんで押し倒したとの点については,被告人は,当公判廷において,「被害者の手をつかんで押し倒していない」,「被害者を抱き抱えたまま,ゆっくりと床に仰向けにした」旨を供述しているところ,被害者も,「ゆっくりと体を仰向けにされながら床に倒された」旨,これに沿う供述をしており(甲2),被告人が被害者の手をつかんで押し倒したと認定するに足りる証拠はないから,判示のとおり,被告人が被害者を床に倒したとの限度で事実を認定した。
 (法令の適用)
 罰条 刑法177条前段
 酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号
 未決勾留日数の本刑算入 刑法21条
 訴訟費用(不負担) 刑事訴訟法181条1項ただし書
 (量刑の理由)
 被告人は,宅配業者の配達員として稼働する中で,被害者方をたびたび訪問していたところ,本件当日,電報便の営業のため,被害者方を訪問し,被害者が一人で在宅していることを知り,自己の性的欲求の赴くまま,被害者に対し,唇に無理矢理接吻し,胸や陰部を直接触るなどした上で,強いて口腔性交に及んだものである。心身ともに未成熟な未成年である被害者に多大な性的羞恥心や屈辱感を与える悪質な犯行である。被害者が受けた身体的,精神的な苦痛は大きく,通学がままならなくなるなど,その生活にも大きな悪影響を与えており,被害者の母が被告人に対する厳罰を望む心情は,もっともなものである。被告人は,被害者に対して強度の暴行を加えるなどはしていないが,被害者が拒んでいることを認識していながら,被害者が恐怖心等により強く抵抗できない状態にあることに乗じて行為をエスカレートさせたものであり,やはり厳しい非難を免れない。
 以上の事情を踏まえ,単独で,凶器を用いずに,13歳以上の被害者に対し,法改正前の強姦を含め強制性交等1件を犯した場合の量刑傾向をも参照すると,被告人が事実を認め,反省の弁を述べていること,被告人に前科がないことに加え,特に,被告人の母が負担したものであるとはいえ,被害者に対し,被害弁償の一部として100万円の支払がなされていること(ただし,被害者から宥恕は得られていない。)などを考慮しても,本件が刑の執行を猶予すべき事案とはいえず,これらの事情は刑期の面で考慮することとし,被告人に対しては,酌量減軽の上で,主文のとおりの実刑に処するのが相当であると判断した。
 (求刑―懲役5年)
 福岡地方裁判所第2刑事部
 (裁判長裁判官 平塚浩司 裁判官 蜷川省吾 裁判官 平岩彩夏)