児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

H29.7.12から7.13に掛けて行われた強姦・強制わいせつ行為には、新法が適用される

 改正刑法附則2条1項に「この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。」という規定がありますが、これは、施行前に実行行為が終了した場合の規定であり、実行行為が、施行前と施行後にまたがる場合には、新法が適用されます。
 後日立件されて、実行行為の終期の細かい時刻が問題になる事件も出てきそうです。

http://blogos.com/article/234189/
先の通常国会で成立した、性犯罪を厳罰化する改正刑法があす13日、施行される。性犯罪の被害者による切実な訴えが結実したもので、公明党も会期内での早期成立を強力に推進してきた。性犯罪に関する規定の抜本的な見直しは、1907年に現行の刑法が制定されて以来、初めて。

改正法では、強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変えた上で、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げた。男女ともに加害者、被害者になり得ることから性別を問わないようにした。また、被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」に改めた。

http://www.moj.go.jp/content/001227677.pdf
附則
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(経過措置)
第二条
1この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。
2この法律による改正前の刑法(以下「旧法」という。)第百八十条又は第二百二十九条本文の規定により告訴がなければ公訴を提起することができないとされていた罪(旧法第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した旧法第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪を除く。)であってこの法律の施行前に犯したものについては、この法律の施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、この法律の施行後は、告訴がなくても公訴を提起することができる

条解刑法
2) 犯罪後の法律
犯罪後
犯罪後とは,実行行為終了時を標準とする。結果の発生時も,処罰条件が備わった時期も,標準とはならない。新旧法律の区別は,その公布時期ではなく,施行時期による。
犯罪の実行行為が新旧両法にまたがるときには,犯罪後法律による刑の変更があったときとはいえないので,本条の適用はなく,新法が適用される。
すなわち,継続犯の行為が,新旧両法にまたがる場合,新法が適用される(鉄砲の所持罪につき最判昭27・9・25集6-8-1093,外国人登録の不申請罪につき最判昭31・5・4集10-5-633)。
営業犯,包括一罪についても同様である(麻薬常習罪につき最決昭30・3・24集9-3-511)。なお,常習犯処罰規定が新設された場合については.前後にまたがる行為が不可分の関係にあって一罪と認められる場合でない限りこれを新法の施行前後によって区分しそれぞれ行為時法に従って処断すべきである(最大判昭31・12・26集10-12-1746)。
科刑上一罪についても,新旧両法にまたがるときには新法の適用があるとするいくつかの大審院判例がある(牽連犯につき,大判明42・11・1録151498,大判明42・12・3録15 1725,大判昭17・8・3集21-393)が科刑上一罪は実質的には数罪であることから,学説には反対の見解もある((新)注釈(1湖。もっとも,科刑上ー罪の場合は最も重い罪の刑により処断されることになるので,新法施行後の犯罪行為が最も重い罪であれば,いずれの見解でも新法の刑により処断されることとなる(大コンメ2版( 1)104))。
共犯について,その行為が旧法下で終了し,正犯の行為が新法下で実行された場合,古い判例は,討助犯につき正犯の実行行為時を標準としていた(大判明44・6・23録171252)が,その後の下級審判例は,このような場合,旧法を適用すべきものとしている(幇助犯につき大阪高判昭43・3・12高集21-2-126,教唆犯につき東京高判昭28・6・26高集6-10-1274参照。なお,(新)注釈( 1)48,大コンメ(1)91参照)。もっとも,共同正犯の場合は,正犯の 1人の最後の実行行為が終了したときが標準となる(大コンメ 2版(1)1 0。5)