児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

古書業界の反応(エコノミスト 7/2号)

 今回の改正案は児童ポルノの定義規定は触りませんので、「写真を掲載した書籍や雑誌」「民俗学民族学などの研究資料」「孫が水遊びする姿」についても、児童ポルノ該当性は変わりません。書店・古書店が5項所持罪(不特定多数)・4項提供罪(不特定多数)で処罰されうる危険性は変わりません。現行法でアウトなものであれば、改正後もアウトです。

〔書評〕永江朗の出版業界事情 孫の写真で逮捕? 児童ポルノ改正法案の危険性
2013.07.02 エコノミスト 第91巻 第29号 通巻4294号 64頁 (全871字) 
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 5月29日、自民党公明党は児童買春・児童ポルノ禁止法の改正案を国会に提出した。これに対し、日本雑誌協会日本書籍出版協会をはじめ多くの出版関連団体、表現者団体が反対声明を発表している。
 子供を守ろうという法律に、なぜ反対の声が多いのか。問題点は主に二つある。一つは、第三者への販売・提供を対象にした現行法と違って、単純所持をも処罰の対象にしていること。しかも児童ポルノの定義が曖昧である。いくらでも拡大解釈と恣意的運用が可能になる。
 例えば法の施行の前に入手したもの(入手時点では合法的だったもの)はどうなるのか。よく例として持ち出されるのが、篠山紀信撮影の写真集『サンタフェ』。撮影当時、被写体は何歳だったのか。あの写真集は大ベストセラーになったから、今でも所有している人は多いだろう。改正案がそのまま成立すると同法違反に問われる可能性がある。
 深刻なのは古書業界だろう。日本は幼児の裸に寛容だから、一昔前までは性的目的ではなく写真を掲載した書籍や雑誌も多かった。それがすべて違法になる。民俗学民族学などの研究資料もアウトか。孫が水遊びする姿をケータイで撮って送ったら逮捕されるのか、なんていう冗談じみた話もある。
 もちろんそんなしゃくし定規な運用はしないだろう。だが、別件逮捕の口実に使われる可能性はある。政府や警察の批判をすると、“児童ポルノ禁止法で逮捕される”なんていうことは本当にあり得ないのか?
毎日新聞社