児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

改正児童ポルノ禁止法施行に関する質問主意書と答弁書

 議員立法ですから、条文の解釈は、作った議員が一番詳しいはずで、政府に聞いたらアカンでしょう。議員も解釈が分からないと自白しているようなもので。政府も改正点については裁判所の解釈待ちのところもあるので回答しづらい。
 改正法の運用については、国政調査権を行使して、検察庁から確定判決を取り寄せればわかります。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/html/h-giinrippou.html
議員立法は、国民から直接選挙された代表である議員が、その政策を法律の形に結実させるものです。近年、複雑多様な社会経済情勢を反映して質量ともに拡充しており、その重要性はますます増大しています。

改正児童ポルノ禁止法施行に関する質問主意書
http://taroyamada.jp/?p=6954
http://taroyamada.jp/?p=7028

Q 改正児童ポルノ禁止法の性的目的での所持罪が施行されるに当たり、政府は、児童ポルノの定義及び性的目的での所持罪の新設について、国民に対しどのような告知活動を行っているか。

A政府としては、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十六年法律第七十九号)の内容について、法務省のホームページに掲載するなどして、広く国民に対し周知を図ってきているところである。


Q 現在のコンピューターグラフィックス(以下「CG」という。)の技術進歩は著しく、ゼロからCGで作られた精巧な画像と実在の児童を撮影した画像とを区別することは極めて困難である。このことから、これらの画像等の媒体だけを見て、そこに写された被写体が実在するかどうかについて判断するには、被写体の児童が実際に存在することを証明することが不可欠である。本年二月十三日に閣議決定された「参議院議員山田太郎君提出アマゾンジャパンに対する家宅捜索に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一八九第一六号)によれば、「およそ実在しない児童を描写したものであれば、「児童ポルノ」には該当しないと解される。」とあり、改正児童ポルノ禁止法による児童ポルノの製造又は性的目的での所持の要件は、被写体の児童の存在を証明することであると理解しているが、そのとおりでよいか、政府の見解を示されたい。

A先の答弁書(平成二十七年二月十三日内閣参質一八九第一六号)一についてで述べたとおり、およそ実在しない児童を描写したものであれば、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号。以下「児童ポルノ禁止法」という。)第二条第三項に規定する「児童ポルノ」には該当しないと解される。


Q 
三改正児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」の定義は、法的な概念ではあるものの、時代と場所を超越した固定的な概念ではない、すなわち、時と場合によって、児童ポルノの概念は変化していくと認識しているがそのとおりでよいか、政府の見解を示されたい。
四 前記三について、児童ポルノの定義が固定的な概念ではないとする場合、社会的環境などの変化に伴い、児童ポルノの定義する範囲が従来よりも広がり、従来処罰の対象ではなかった書籍等が性的目的での所持罪の対象となり、捜査機関による捜査・逮捕・送致あるいは起訴が行われる可能性はあるか、政府の見解を示されたい。

五 前記四と関連して、現時点で合法的に一般に流通している書籍等が、社会的環境などの変化に伴い、将来的に捜査などの対象となる可能性は全くないという認識で問題ないか、政府の見解を示されたい。

六 改正児童ポルノ禁止法施行前は児童ポルノの所持については合法である。捜査機関が、所持が合法であった期間における児童ポルノの入手者リストを別の捜査の過程等で入手した場合、一年間の罰則適用猶予期間経過後、それらのリストを端緒として捜査を実施する可能性は全くないか、政府の見解を示されたい。

七 絵画やデッサンなどに利用されることを目的としたデッサン本、フィギュアスケートの写真集、未開の部族を特集した雑誌など、一般的にはポルノと見なされていないが、児童の衣服の全部又は一部をつけない姿が描かれている書籍が現在多数流通している。そうした書籍を本来の目的ではなく、自己の性的好奇心を満たす目的で所持した場合、改正児童ポルノ禁止法でいうところの性的目的での所持に該当する可能性はないか、政府の見解を示されたい。

八 十八歳未満の外国人児童の児童ポルノが掲載された写真集を所持していた場合、改正児童ポルノ禁止法により、罰せられるか。罰せられるとした場合、その保護法益は何か、政府の見解を示されたい。

A児童ポルノ禁止法第二条第三項において、「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態等を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう旨が規定されているところ、具体的にいかなる物が「児童ポルノ」に該当し、いかなる行為が児童ポルノ禁止法に規定する罪に該当するかは、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であることから、一概にお答えすることは困難である。
なお、児童ポルノ禁止法第一条は、「この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。」と規定している。


Q 改正児童ポルノ禁止法で定める「児童ポルノ」の定義が曖昧であり、分かりづらい原因の一つとして、一般社会で用いられている児童ポルノという用語の意味が、改正児童ポルノ禁止法で定義される「児童ポルノ」と一致していないということが挙げられている。一般論として、一般社会で用いられている児童ポルノという用語が、同法が定義する「児童ポルノ」の範囲とおおむね一致していると考えているか、政府の見解を示されたい。また、一致すると考えているとすれば、その根拠を示されたい。

Aお尋ねの「一般社会で用いられている児童ポルノという用語」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。