児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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同伴禁止

大阪府青少年健全育成条例の解説(平成19年2月発行版)
(夜間の連れ出し等の禁止)
第30条
何人も、保護者の委託を受け、又は承諾を得た場合その他の正当な理由がある場合を除き、第25条各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める時間に当該青少年をその住所若しくは居所から連れ出し、又はその住所若しくは居所以外の場所に同伴し、若しくはとどめてはならない。
追加[平成17年条例第110号]
【趣旨]
保護者以外の者が、保護者の委託又は承諾を得ずに、青少年を夜間に自宅から連れ出したり、外出したまま帰宅させすに自宅以外の場所に同伴したりとどめたりすることは、その行為そのものが犯罪性を帯びる場合もあることから、すべての者に対して、青少年の夜間の連れ出し等を禁止するものである。
【解説】
本条は、すべての者に対し、保護者の委託又は承諾を得た場合その他正当な理由がある場合をのぞいて、夜間に青少年を、その住所若しくは居所から連れ出し、又は同伴し、若しくはとどめることを禁止する規定である。
この規定に違反すると、第41条第1号の規定により30万円以下の罰金に処せられる。
本条の適用に当たっては、青少年に対する加害等の具体的な危険性は要件としないが、青少年を健全な成長を阻害する行為から保護するという本条例の趣旨・目的を踏まえ、行き過ぎた規制とならないよう慎重に判断すべきである。
なお、制限時間前に行われた「連れ出し」、「同伴」、「とどめ」の行為が、継続した状況で制限時間に至って認知された場合も、本条違反としての要件を構成する。
ア「何人も」とは,府民はもとより,旅行者や滞在者を含み,まだ成人であるか否かを問わず,現に大阪府内にいる全ての者をいう。業として行うか否か、あるいは個人として行うか組織的に行うかを問わない。
イ「保護者」とは、第4 条第2項に同じ。
ウ「保護者の委託を受け、又は承諾を得た場合」について、委託や承諾の確認方法は条文上は明記していない。
保護者から承諾書をとるほか、青少年団体などが主催するキャンプ等の行事については、申込書に保護者の署名捺印を求めるなどが考えられる。また、それ以外の場合では、保護者に連絡をとって委託や承諾の有無を口頭で確認することが考えられる。
エ 「その他の正当な理由」としては、次に掲げる場合など、社会通念上正当な理由と認められるものが挙げられる。
本人又は保護者の急な病気や事故等により、保護者に確認することが不可能な場合災害や事件・事故等に遭遇した青少年を助ける等、偶発的な理由により、結果として同伴することになった場合等
オ「第25条各号の区分に応じ、当該各号に定める時間」とは、第25条で区分された次に掲げる時間である。
   16歳未満の者:午後8時から翌日の午前4時まで
   16歳以上18歳未満の者:午後11時から翌日の午前4時まで
カ「住所」とは、生活の本拠であって法律関係を処理する場合の基準となる場所をいい、「居所」とは、生活の本拠ではないが人がある期間継続して居住する場所をいう。「その住所若しくは居所以外の場所」については場所的限定はない。
キ「連れ出し」とは,青少年をその住居、居所から離れさせることであり、その手段方法は問わない。したがって、携帯電話やメール等を利用して呼び出したり、若しくは第三者を介して行う行為も該当する。
ク「同伴」とは、現に同行し又は同席する等、青少年と同一の行動を取っていることをいい、青少年が単独であると複数であるとは問わない。また、青少年が既に夜間に外出している状態を利用し、更にその状態を継続させる行為も含まれる。
ケ「とどめ」とは、連れ出している、あるいは既に外出している青少年を、その住居、居所以外の場所に置くことであり、その手段は問わない。
コ上記「連れ出し」「同伴」「とどめ」のいずれも、青少年の意思には関係がない。
青少年の意思に反し、あるいは意思の確認をしないで、これらの行為をすることはもとより、青少年が自らの意思で連れ出しに応じて外出し、同一の行動を取り、又はとどまっている場合も本条の連れ出し等に該当する。