児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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強制わいせつ罪 傾向犯説 瀧川・竹内「刑法各論講義」S40

瀧川・竹内「刑法各論講義」S40 P92
「猥褻ノ行為」とは、一般的には、性慾を興奮又は満足せしめる意図をもってなされた行為であって、人に性的な蓋恥嫌悪の情を生ぜしめるに足る行為をいう。すなわち一般に、狼褒行為であるというためには、第一に、その行為が性慾を興奮又は満足せしめるという主観的な性的意図をもってなされねばならない。この場合、性慾の興奮−満足という性的意図が行為者自らのためであるか、行為の客体たる相手方のため又は第三者のためであるかは問わない。第二に、その行為が客観的にみて人に性的な蓋恥嫌悪の情を生ぜしめるに足るものでなければならない。従って、例えば、他人の身体に抱きつくとか臀部・乳房・陰部にさわるなどの行為であっても、客観的にみて性的な蓋恥嫌悪の情を生ぜしめるに足るものでない限り、猥褻行為ではない。要するにこれら主観的・客観的の要件のいずれかを欠く場合には猥褻行為とはいえないのである。判例が狼察とは「徒らに性慾を興奮又は刺戟せしめ且つ普通人の正常な性的蓋恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいう」といっているのもこのような意味である。強制猥褻罪における猥褻の概念は、一般的には右の如くであるが,強制猥褻罪の猥褻行為は相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなければならないので、性的風俗の侵害を主眼として考えなければならない公然猥褻罪におけるわいせつ行為とは、重点が多少異なるのは当然である。例えば、婦女の意思に反して指を陰部に挿入する行為はもちろん、被害者を裸にする行為も、それが性的意図に出たものである限り、猥褻行為というに充分であるし、また、いわゆる男色行為も狼繋行為であることはいうをまたない。そのほか、公然行っても猥褻行為とはいえない程度のペッティングであっても、暴行・脅迫によってこれを行えば、本罪の猥褻行為にはなりうる場合がある(2)(3)
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(3〉なお、青柳・三八三頁は、このような傾向犯では犯人の性向が重要な要素をなす・その認定の困難の点をも考え身体的接触を原則として要件としないと主観的にも客観的にも限界を設け難いことになるとされる.