有害図書の関係では表現の自由にもかかわるのに、非公開なんですね。長野県の弁護士も入ってるのに。検事枠か。
県の淫行処罰条例是非検討 専門委部会、非公開の方針 議論、検証できぬ恐れ
2013.06.21 信濃毎日新聞朝刊 2頁 総合2 (全946字)
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淫行処罰規定を含む条例制定の是非を検討する県の「子どもを性被害等から守る専門委員会」(委員長・平野吉直信州大教育学部長)について、県は20日、委員3人で構成する「法規制検討」の作業部会の会合を報道機関や一般者に非公開とする考えを示した。事務局は「作業部会は(淫行処罰規定などを含む)法的な課題整理が目的。それを踏まえて専門委員会で議論する」と説明しているが、識者からは「議論に必要な材料が適切に提供されているかは、報道機関など第三者がいる中でないと担保されないのではないか」との指摘も出ている。知事会見での質問に対し、事務局の大月良則・次世代サポート課長が明らかにした。
専門委員会は5月末に初会合を開き、残る8、9、10、12月の会合で条例制定の是非などの方向性を出す。初会合で設置が決まった作業部会は、専門委員会の委員で独協大法学部の安部哲夫教授が座長を務め、轟道弘弁護士(元検察官)、首都大学東京法科大学院の木村光江教授がメンバー。7月中に都内で開催する予定だ。
長野県は都道府県で唯一、淫行処罰の条例を持っていない。他の都道府県の淫行処罰規定を含む条例は、多くが18歳未満の青少年との性行為などを処罰する内容で、処罰対象となる行為が曖昧なために「罪刑法定主義」に反するとの指摘もある。処罰規定などにかかわる課題を整理して専門委員会に示す作業部会が県民に見えない形で行われれば、専門委員会の判断に必要な材料が適正に提供されたかどうか検証できない恐れがある。
座長の安部教授は取材に「作業部会は会合というよりは、論点整理の作業が目的。膝詰めで課題整理をやるのでオープンな会議とはちょっと違う」とし、報道されることで専門委員会の議論に影響を与えることも避けるべきだとした。
これに対し、上智大の田島泰彦教授(メディア法)は「作業部会のメンバーは法律の専門家であり、公開しては率直な議論ができないというのは説得力が不十分。プライバシーにかかわる部分などは部分的に非公開にするなど、さまざまな対処方法があるのではないか」としている。
専門委員会の運営方針は「公開を原則とする」とし、「個人のプライバシーにかかる情報等が含まれる場合は、委員会の判断で非公開とすることができる」と規定している。
信濃毎日新聞社
県の淫行処罰条例是非検討 非公開の専門委部会、議論見えぬまま初会合 事務局、判断材料を提供
2013.07.13 信濃毎日新聞朝刊 2頁 総合2 (全591字)
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県の「子どもを性被害等から守る専門委員会」の委員3人でつくる法規制検討の作業部会は12日、初会合を都内の県東京事務所で開いた。青少年に対する「みだらな性行為」の禁止、インターネット上の「有害情報」の閲覧規制など5項目について条例化の是非を専門委が検討する材料として、非公開で論点を整理した。座長の安部哲夫・独協大教授は終了後、「話し合ったことは(8月の次回)専門委で報告したい」とし、詳細を明らかにしていない。作業部会は同教授と木村光江・首都大学東京法科大学院教授、長野市の轟道弘弁護士で構成。会合は、「自由に意見交換したい」(安部教授)との理由で非公開とした。5項目は他に「有害図書」の制限、青少年の深夜外出の制限、つきまといなど子どもに不安を与える行為の禁止を取り上げた。
安部教授や事務局の県次世代サポート課によると、会合で事務局側は、5項目を条例化した場合のメリットとデメリット、他県の条例規制に関する資料を提出。現行法令でどこまで対応できるかや、過去の具体的事例に関しても検証や意見交換をしたという。
長野県は全国都道府県で唯一、「みだらな性行為」を罰する淫行処罰規定などを盛った青少年条例を持たず、県民運動による健全育成を進めてきた。なぜ今、そうした規定が必要なのか不透明な他、規定に対しては、個人の恋愛にまで公権力が踏み込む恐れがあるとの指摘が専門家から出ている。