児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

文化財保護法違反罪の保護法益

 弁護士は、初見の法文でも「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」という目的から保護法益を導きます。
 とすると、情状弁護としては、死んだシカに謝るというよりは、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」という社会的法益を侵害したことについて、なにかすることになるでしょう。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO214.html#1000000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
文化財保護法
(昭和二十五年五月三十日法律第二百十四号)
(この法律の目的)
第一条  この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。

文化財の定義)
第二条  
1この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
四  貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

(指定)
第百九条  文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
2  文部科学大臣は、前項の規定により指定された史跡名勝天然記念物のうち特に重要なものを特別史跡特別名勝又は特別天然記念物(以下「特別史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
3  前二項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基づく占有者に通知してする。
4  前項の規定により通知すべき相手方が著しく多数で個別に通知し難い事情がある場合には、文部科学大臣は、同項の規定による通知に代えて、その通知すべき事項を当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所在地の市(特別区を含む。以下同じ。)町村の事務所又はこれに準ずる施設の掲示場に掲示することができる。この場合においては、その掲示を始めた日から二週間を経過した時に前項の規定による通知が相手方に到達したものとみなす。
5  第一項又は第二項の規定による指定は、第三項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。ただし、当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者又は権原に基づく占有者に対しては、第三項の規定による通知が到達した時又は前項の規定によりその通知が到達したものとみなされる時からその効力を生ずる。
6  文部科学大臣は、第一項の規定により名勝又は天然記念物の指定をしようとする場合において、その指定に係る記念物が自然環境の保護の見地から価値の高いものであるときは、環境大臣と協議しなければならない。

第百九十五条  
1 重要文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定する者が当該重要文化財の所有者であるときは、二年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

第百九十六条  
1 史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2  前項に規定する者が当該史跡名勝天然記念物の所有者であるときは、二年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 「奈良のシカ」が指定されているかどうかは官報を検索しないとわかりません。
 昭和32年官報に告示されているようです。

http://www.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp
史跡名勝天然記念物
名称: 奈良のシカ
ふりがな: ならのしか
種別: 天然記念物
種別2:
都道府県: 定めず
市区町村: 奈良県奈良市一円
管理団体:
指定年月日: 1957.09.18(昭和32.09.18)
指定基準: 動3
特別指定年月日:
追加指定年月日:
解説文: 古来神鹿として愛護されて来たものであって、春日神社境内、奈良公園及びその周辺に群棲する。苑地に群れ遊んで人に与える餌をもとめる様は奈良の風光のなごやかな点景をなしている。よく馴致され都市の近くでもその生態を観察することができる野生動物の群集として類の少いものである。

http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_itemid-3234.htm
奈良のシカ(ニホンジカ
Cervus nippon 環境省
 国指定天然記念物
 古来、神鹿として愛護されてきたものであって、春日大社境内・奈良公園及びその周辺に群棲する。苑地に群れ遊んで人の与える餌をもとめる様は、奈良の風光のなごやかな点景をなしている。よく馴致され、都市の近くでもその生態を観察することができる野生動物の群落として類の少ないものである。(奈良県教育委員会編 奈良県史跡名勝天然記念物集録より抜粋)
 奈良の代表的なイメージであり、県民に最も親しまれている大切にしたい野生動物であることに疑いの余地はないが、一方で、春日山原始林(特別天然記念物)の植生への影響を始め、周辺農作物への食害などの影響も無視できないところである。

 しかし、シカの定義がありません。常識判断ということでしょうか。
 「鹿政談」のころからの議論ですよね。