児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

 判決宣告期日として指定告知された日時に検察官不出席のまま判決が宣告されて被告人が退廷した後,勾留場所に戻った被告人を呼び戻して検察官出席の上再度行われた判決の宣告が法的な効果を有しないとされた事例(最高裁H19.6.19)

 刑事訴訟のデュープロセスというのは、実質的にはあまり意味のないことでも形式的に手続きを踏むという思想だと思うのですが、最近、実質的判断が多い気がします。
 また、破棄されなかった理由には、その場で文句言っておかないとだめという考慮もあると思います。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070622091348.pdf
(6) 検察官は,同日午後4時42分ころ,上記裁判官は,同日午後4時53分ころ,被告人は,押送担当の刑務官2名と共に同日午後5時1分ころ,それぞれ上記法廷に入廷した。同裁判官は,「先ほど検察官が不在だったので,もう一度検察官出席の上,判決を言い渡します。」と述べた上,上記(3)で宣告したのと同一内容の判決を宣告した。その際,検察官,弁護人及び被告人から何ら異議の申立てはなかった。
(7) 同月29日,被告人は,判決に対し控訴した。検察官は,控訴しなかった。
(8) 名古屋高等裁判所金沢支部は,同年12月14日,第1審の判決宣告手続には,検察官の出席のないまま開かれた点で軽視できない違法があるが,その違法は判決に影響を及ぼすような重大なものということはできないとして,被告人の控訴を棄却した。
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検察官出席の上で再度行われた判決の宣告は,事実上の措置にすぎず,法的な効果を有しないものというほかはない。
そうすると,同日午後4時30分ころに行われた本件第1審の判決宣告手続には,刑訴法282条2項違反があり,この違反は判決に影響を及ぼすことが明らかというべきであるから,これが判決に影響を及ぼすような重大なものではないとした原判決の判断は,法令の解釈を誤ったものといわざるを得ない。しかしながら,上記のような本件の経過等にかんがみると,第1審判決の上記法令違反は,これによって被告人に実質的な利益侵害を生じさせるものではなく,かつ,事実上検察官も直ちに判決を了知しているものと認められるから,原判決は,上記法令解釈を誤った違反はあるものの,いまだこれを破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。

 控訴審で破棄されていれば、法定通算とかのメリットもあったんですけどね。まあ、算入してもらってるかもしれませんが。