ゲームだけでなく児童ポルノの単純所持罪についてもここで議論されているようです。
(3) ゲストスピーカー
渋谷明子慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所研究員
私自身が研究しておりますのが暴力シーンが攻撃性に及ぼす影響です。テレビゲームに関する研究は世界的にもまだ少ないんですが、暴力シーンの影響に関しては一番多いです。ざっと
数えて影響があるかないかを検討した研究が60以上はございます。これに関しては調査、実験、パネル調査─これは長期にわたって2回以上質問紙で調査するものですが─などがございます。それで、暴力シーンの接触により攻撃性が高まる場合がある、長期的にもあり得るのではないかというのが、研究結果を読んだ結論です。「場合もある」と付けたのはちょっと誤解を招くからなんですが、全員が影響を受けるわけではない。裏返せば全く影響を受けない場合もあるということですね。これは何によって違うか、むしろそちらを考えていった方がいいのではないかと思っています。ゲームの種類、暴力の描かれ方、誰が影響を受けやすいか、どんなゲームが影響を受けやすいか。あるいは家庭で何をやったら影響力を最小限に抑えられるのかということですね。これまでの研究結果を見ますと影響の大きさ、場合によっては方向性さえ異なる場合があると思っています。なぜそう思うのかを若干説明させていただければと思います。
【C委員】
そうしますと、児童ポルノの単純所持を禁止することというのは、これは何かそういう取組の方向性をすでに実質的に打ち出しているように読めるかと思います。単純所持というのはすごく怖い話であるとも思うのです。現在のインターネットの状況では、自分が意図していなくてもそういう画像が自分のコンピュータの中に保存されていたというようなこと、何かのサイトにアクセスすると自動的にワームが来るなどのことがありますので、これはかなり怖い話にもなると思うのです。
実際に、単純所持の禁止を行っている国は、かなり規制の厳しい国でも少ないというふうに私は伺っております。確認はしておりませんけれども。ですから、これも現段階では検討の対象で、実質的な方向性として打ち出すのは難しいのかというふうに思います。前回の会議でも、まず自主規制というのが手順であって、それが難しいようならそこで法律を考えるという話もございましたが、そのような考え方が望ましいのではないかと思っております。・・・・・・・・・
【事務局】 今先生がご指摘のようなところ、児童ポルノ単純所持につきましてはこの法律の改正の際に必ず論点に挙がるところではあるんですけれども、今の段階でもうすぐやるというような話ではなく、やはり検討の対象という形で整理をしていきたいと思いますので、そのあたりはご指摘を踏まえて丁寧にこの辺はやりたいというふうに思います。