児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

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 押収してきたPCは不用意に起動しないこと。ファイルのタイムスタンプが変わるから。
 今年の児童ポルノ事件で、あるフォルダー内のファイル一覧表(捜査報告書)が検察官から請求された。
 その日時が重要な証拠なので弁護人は、現物(PC)の確認を求めた。
 検察官は、事務官に操作させる・弁護人には指も触れさせないという条件で現物を確認させることになった。
 事務官がPCを立ち上げてフォルダーを開いた。

 弁護人「順番が問題になるので、日時でソートしてください。そこクリックしてください。」
 検察官「順序は変えられません。そのままを見てください。」
 弁護人「押収した状態でしか見せられないということですね。」
 検察官「ファイルの順序も証拠ですから」
 弁護人「そうですか。じゃあ、捜査報告書にある順番にしてください。全然違いますよ。」
 検察官「えっ?」
 事務官「捜査報告書が何の順番なのかわかりませんから戻せません」
 検察官「・・・・」
 弁護人「検察官のレベルでは、『押収した状態』は再現できなかった。ファイルの順番は開くたびに変わるということでいいですよ」
 検察官「・・・・」
 弁護人「まあ、このままちょっと眺めさせていただいて、捜査報告書にあるファイルが全部あることがわかればいいですよ。こっちで打ち込んでエクセルで並び替えるから。」
 検察官「そうしてもらえますか。」
 弁護人「『ファイルの順序も証拠ですから』というのは取り消しですね。」
 検察官「・・・・」

 結果は一部無罪。
 敗因は、捜査機関にフォレンジックの意識と技術が欠けていたでしょうね。