二重起訴や一事不再理というのは、訴因ではなくて公訴事実の同一性で判断されます。
となると、科刑上一罪の関係も見極めてから処分決めないとだめです。特に、児童福祉法違反は家裁の専属管轄だとされていて、児童買春罪は地裁・簡裁の管轄だとされているので、注意してください。
たとえば、下の八代の事例で言えば、11/24の児童買春罪と、12/9の児童淫行罪(児童福祉法違反)が、同一児童だとすれば、雇用関係で支配した児童福祉法違反一罪ですから、一事不再理違反となる可能性がある。そういう意味で先の事件を略式で確定させてしまうのはまずい。まとめて家裁に送るべきです。
さらに、11/24の児童買春罪と、12/9の児童淫行罪(児童福祉法違反)が別の児童だとしても、こういう店をやっていると、児童買春の業として周旋罪(複数児童でも一罪)と児童淫行罪(児童福祉法違反)が観念的競合になるし、経営者自身との性行為(児童買春罪)も遊客との性行為と併せて児童淫行罪(児童福祉法違反)の包括一罪関係になるので、全部まとめて科刑上一罪として家裁管轄となる可能性がある。
児童福祉法違反の疑い 男を再逮捕 八代署=熊本
2006.03.03 西部朝刊 28頁 (全183字)
八代署は2日、容疑者(36)を児童福祉法違反容疑で再逮捕した。調べによると、容疑者は昨年12月9日、同市内で知り合った同市の無職少女(17)を、18歳未満と知りながら、市内のホテルに派遣し、男性とみだらな行為をさせた疑い。容疑者は2日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で八代簡裁に略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けた。
読売新聞社
110番・119番:児童買春禁止法違反容疑で逮捕 /熊本
2006.02.14 地方版/熊本 25頁 (全129字)
13日、風俗店経営、容疑者(36)を。05年11月24日ごろ、市内で自らが経営する風俗店で働く無職少女(17)に対して現金を渡す約束をして買春した疑い。今年1月、仕事を辞めた少女が八代署に相談していた。容疑を認めている。(八代署調べ)
毎日新聞社