児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

二重起訴・再起訴の疑い

 二重起訴や一事不再理というのは、訴因ではなくて公訴事実の同一性で判断されます。
となると、科刑上一罪の関係も見極めてから処分決めないとだめです。特に、児童福祉法違反は家裁の専属管轄だとされていて、児童買春罪は地裁・簡裁の管轄だとされているので、注意してください。

 たとえば、下の八代の事例で言えば、11/24の児童買春罪と、12/9の児童淫行罪(児童福祉法違反)が、同一児童だとすれば、雇用関係で支配した児童福祉法違反一罪ですから、一事不再理違反となる可能性がある。そういう意味で先の事件を略式で確定させてしまうのはまずい。まとめて家裁に送るべきです。
 さらに、11/24の児童買春罪と、12/9の児童淫行罪(児童福祉法違反)が別の児童だとしても、こういう店をやっていると、児童買春の業として周旋罪(複数児童でも一罪)と児童淫行罪(児童福祉法違反)が観念的競合になるし、経営者自身との性行為(児童買春罪)も遊客との性行為と併せて児童淫行罪(児童福祉法違反)の包括一罪関係になるので、全部まとめて科刑上一罪として家裁管轄となる可能性がある。

児童福祉法違反の疑い 男を再逮捕 八代署=熊本
2006.03.03 西部朝刊 28頁 (全183字) 
 八代署は2日、容疑者(36)を児童福祉法違反容疑で再逮捕した。調べによると、容疑者は昨年12月9日、同市内で知り合った同市の無職少女(17)を、18歳未満と知りながら、市内のホテルに派遣し、男性とみだらな行為をさせた疑い。容疑者は2日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で八代簡裁に略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けた。
読売新聞社

110番・119番:児童買春禁止法違反容疑で逮捕 /熊本
2006.02.14 地方版/熊本 25頁 (全129字) 
 13日、風俗店経営、容疑者(36)を。05年11月24日ごろ、市内で自らが経営する風俗店で働く無職少女(17)に対して現金を渡す約束をして買春した疑い。今年1月、仕事を辞めた少女が八代署に相談していた。容疑を認めている。(八代署調べ)
毎日新聞社

 少年法が児童買春罪と児童福祉法違反とを別々の事物管轄としているのでこういう要らぬ考慮をする必要が出ています。