児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律と性犯罪者処遇

 国会答弁によれば、カウンセリングなんかは新法でできるとされています。
 性犯罪者の矯正の中身は未定ですけど。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16205077.htm
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案
(矯正処遇)
第六十一条 受刑者には、矯正処遇として、第七十一条又は第七十二条に規定する作業を行わせ、並びに第八十二条及び第八十三条に規定する指導を行う。
2 矯正処遇は、処遇要領(矯正処遇の目標並びにその基本的な内容及び方法を受刑者ごとに定める矯正処遇の実施の要領をいう。以下この条において同じ。)に基づいて行うものとする。
3 処遇要領は、法務省令で定めるところにより、刑事施設の長が受刑者の資質及び環境の調査の結果に基づき定めるものとする。
4 処遇要領は、必要に応じ、受刑者の希望を参酌して定めるものとする。これを変更しようとするときも、同様とする。
5 矯正処遇は、必要に応じ、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術を活用して行うものとする。
刑執行開始時及び釈放前の指導等)
第六十二条 受刑者には、矯正処遇を行うほか、次の各号に掲げる期間において、当該各号に定める指導を行う。
 一 刑の執行開始後の法務省令で定める期間 受刑の意義その他矯正処遇の実施の基礎となる事項並びに刑事施設における生活及び行動に関する指導
 二 釈放前における法務省令で定める期間 釈放後の社会生活において直ちに必要となる知識の付与その他受刑者の帰住及び釈放後の生活に関する指導
2 前項第二号に掲げる期間における受刑者の処遇は、できる限り、これにふさわしい設備と環境を備えた場所で行うものとし、必要に応じ、第八十五条第一項の規定による外出又は外泊を許し、その他円滑な社会復帰を図るため必要な措置を執るものとする。
3 刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、第一項各号に定める指導を行う日及び時間を定める。
 (改善指導)
第八十二条 刑事施設の長は、受刑者に対し、犯罪の責任を自覚させ、健康な心身を培わせ、並びに社会生活に適応するのに必要な知識及び生活態度を習得させるため必要な指導を行うものとする。
2 次に掲げる事情を有することにより改善更生及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対し前項の指導を行うに当たっては、その事情の改善に資するよう特に配慮しなければならない。
 一 麻薬、覚せい剤その他の薬物に対する依存があること。
 二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員であること。
 三 その他法務省令で定める事情

162 - 衆 - 法務委員会 - 8号 平成17年03月30日
○松島委員 質問させていただきます。
 今回、明治四十一年、一九〇八年以来九十七年ぶりの法改正で、これでやっと監獄法という恐ろしい名前の法律がなくなることを、私はほっとする、安堵する思いでおります。
 今回の法改正で私が最も評価しておりますのは、従来希望者にだけ行っておりました刑務所の中での教育というものを義務化する点でございます。
 国民が刑務所に求めているものは、犯人が二度と犯罪を犯さない真人間になって出てくること、それが大事だと思います。そして、そのためには、懲役として単純作業をやらせるだけでは無意味でございます。殺人や傷害など人の身体を傷つけた犯罪、放火もこれに含めていいかもしれませんけれども、こういった犯罪に対する問題、そしてまた性犯罪、性犯罪の場合は大人に対する犯罪と小児性愛と言われる子供たちに対する犯罪はまた性格が違います。そして、窃盗や万引きなどの、あるいは詐欺や横領などの財産犯、あるいは交通犯罪といった犯罪ごとにこの教育というものの対策も立てるべきだと思います。これについて、今、法改正の中に新しく教育ということが書き込まれるわけですけれども、各分野の新しい教育について、法務省はこれから自信を持って進めると言えますでしょうか。
 そしてまた、犯罪の種類ごとにこういうふうに教育をするんでしたら、刑務所を分けて、覚せい剤だけというのもかなり今まで意図してやっているようですけれども、ここは覚せい剤だけだとか、あるいは性犯罪を犯した人だけだとか、そういう刑務所ごとに集中的に配置して入れることによって効率的に教育を進めていくということはお考えかどうか、伺いたいと思います。

○横田政府参考人 お答えいたします。
 刑務所におきましては、これまでも、罪名または犯罪に至る原因となった性格や行動傾向その他の円滑な社会復帰の障害となり得る要因に着目いたしまして、同じ類型に属する者を小集団として編成して行う指導として、覚せい剤の乱用防止、暴力団の離脱指導、それから窃盗防止指導、被害者の視点を取り入れた教育などの処遇類型別指導というものを行っておりました。
 しかし、これらの指導は法律での根拠が明確でなかったことから、受刑者に対して受講を強力に働きかけることが困難な状況にありましたし、また、指導プログラムにつきましても、各施設が試行錯誤の上で実施しているものでございまして、統一的、標準的なものが存在していないので、十分とは言いがたいものがありました。
 そこで、この法案におきましては、受刑者全般に対し、その者にふさわしい教育処遇を受けることを義務づけることとしておりまして、これにより、受刑者の真の改善更生を図るための処遇をより積極的に実施していきたいと考えています。
 委員御指摘のように、新法案のもとで効果的、効率的に改善指導を実施するために、この特定のプログラムに基づく指導を受講させるべき受刑者につきまして、これは特定のプログラムをこれからつくっていこうとしているわけですけれども、そういったものにつきましても、例えば今委員おっしゃいましたように、そのプログラムを実施する刑務所に集めて指導する方策も含めて検討してまいりたいと考えております。
 なお、今申し上げました矯正プログラムですけれども、これにつきましては、ちょっと申し上げましたように、いわゆる専門家といいますか、そういった方の御意見を聞きながら、これから類型的にまたいろいろ新しいプログラムをつくっていきたいと考えているところでございます。それを実施していこうということでございます。

松島委員 今、これはせっかく法律を改正するわけですけれども、これから取り組まなきゃいけない課題というのは、教育というプログラムを考えるだけでも本当に大変なことだと思います。しっかり心してやっていただきたいと思います。
 大臣に伺いたいと思います。
 これは刑務所の入り口と出口の問題に関するのですが、先ほど平沢委員からも人権とは何かという話がございました。私は、人権というのはまず被害者の立場、そしてまた犯罪が起こらないこと、すべての人たちが犯罪に巻き込まれずに日本の治安がきちっと守られること、これが人権にとって大事なことであって、犯罪者の人権などというのは二の次、三の次だと思っております。
 その前提で申し上げますと、他人を死傷させたり性犯罪を行ったりした凶悪犯罪者については、心を入れかえたというふうに刑務所でといいますか法務省が判断してからでなければ世の中に出してはいけない、私はそういう思いを持っている人間でございます。
 今の法律体系では、バランス論で法定刑が決まっていて、裁判官がいろいろなバランスで、あるいは過去の判例に基づいて懲役何年とか執行猶予とかを出す。必ずしもその年数刑務所にいたからといってその人が次に罪を犯さないかどうかなんてわからない、そういう状況でも出してしまうわけです。
 私、先ほども申し上げました、この前の委員会でも申し上げましたが、例えば子供に対する性犯罪を犯した者、こういう人たちは比較的気がよい人が多くて、刑務所の中では逆らったりしないで、優等生で早いこと出たりする。これはやはり、さっき申しました教育をしっかりやるということと、教育できちっと治っているかどうかという判断。例えば、私も全然素人ですからわかりません、まさか児童ポルノを見せるわけにいきませんから、小学生の女の子たちがプールで水着姿で遊んでいる映像か何かを見せて、変な反応を示さないかどうかなどというのをうそ発見器みたいな形のイメージで点検して、これは真っ当になったと思ったら出す。そうでなければ、裁判官が言った何年が来たって、出されたら世の中は困るんです、もう一度犯罪を犯されると困るんですということを一つ考えております。
 そしてもう一つ、この性犯罪に関しましては、法務省のプロじゃなくて大臣の率直な考えで私の意見に対して御意見を伺いたいんです。
 例えば、懲役何年というんじゃなくて、私もよくわかりませんけれども、男の人が性的意欲をなくす、これも個人差があるんでしょうけれども、例えば五十五歳か六十歳か七十歳か知りませんけれども、その年齢に達するまで……(発言する者あり)いや、知らないから知らないと言った。失礼も何も、わからないですから、私。その年齢に達するまで例えば刑務所に入れておくとか。そういう犯罪を犯した人ですよ、三回も五回も十回もそういう犯罪を犯して……(発言する者あり)失礼って、犯罪でどれだけ女が傷つくと思っているんですか、子供であれ大人であれ。被害者の立場に立って考えたことがあるんですか、あなたは。私はそう思っております。そういう人たちが出てこないようにする。
 あるいは、出てもいいんです、ほかのことはまともに生活を行ってもいいんです。(発言する者あり)いや、知らないから言っているんです。例えば、そのほかの生活は自由に行ってもいいけれども、やり方は、これも研究の上ですけれども、去勢手術を行うとか、あるいは刑務所から出すならば、刑務所にいる間じゃだめです、出した後、薬物治療、例えば男性ホルモンを抑える治療を必ず定期的に受けに来い、でなければ外へ出さないとか、そういうことまですべきではないかと。
 私は、心身を傷つけられた少女たちのことを考えると、ついこの間、名古屋でも、住民基本台帳を見て、母子家庭でお母さんが働きに出ている、それをけなげに守っている子供たちのところをねらって、小学生から中学生の女の子のところをねらって何度も犯行に及んだような男がいたわけです。そういうことを考えますと、これぐらいのことを考える法律というのに根本的に切りかえるべきだ、法律家だけに任せておくと今までの延長線上のことしかないから、そういうふうにお考えにならないでしょうか。御意見を伺いたいと思います。

○南野国務大臣 本当に、先生がおっしゃったように、犯罪というものは再犯を防ぎたい、そういう思いの前に、犯罪を犯さないように社会環境が整っていけばいいのかなという思いもございます。
 でも、犯罪に対して我々はどのようにするかというと、今、刑務所の方では、矯正行政という観点の中で、本当にその人を教育することによって、矯正することによってリボーンして社会にお返しできるかな、そのことの役割をするのが我々の刑務所のあり方であろうというふうに思っているところでございます。今先生のお話をお聞きしまして、本当に世間の方々はいろいろな大きな幅でこの問題点をお考えいただいている、その大きな幅の中で我々がどのようにできるかということもあろうかなと思っております。
 先生が今幾つかお話しになられました、満期後も出所させない、あるいは出所後も治療を義務づけるなどということの制度につきましては、このような御意見があるということも承知いたしておりますけれども、刑事責任を果たし終わった人に対してこのように一定の自由の制約を課すということについては、その対象者または期間という問題もございます。それを的確に判断するという基準もなかなか持ち合わせにくいのかな、過度の制約とならないか、いろいろな問題があり、慎重に検討すべきものと思っております。
 また、累犯者に対しまして、先ほど男性のことをお話しになられましたが、去勢手術を行うなどということについては、これ同様に種々の問題に絡んでくるというふうに思っております。また、性的能力が衰える年齢まで刑務所におれということについても、これも大変いろいろな観点から問題があるのではないかなと考えております。
 いずれにしましても、性犯罪者の再犯防止のための施策、これは委員御指摘のとおり大変重要な課題でございます。先般、緊急にとり得る対策をお示ししたところでございますので、当面はこれらを着実に実施してまいりたいと思っております。

(中略)
○江田委員 この被害者の視点を取り入れた指導というのが今回の改正でも非常に重要かと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
 次に、性犯罪者の処遇について幾つかお尋ねをしたいと思っています。
 奈良市で起きました少女誘拐殺害事件によりまして、いわゆる小児性愛者の問題がクローズアップされたわけでございますけれども、インターネットやテレビでも異常な小児性愛をあおるようなものがはんらんしているような状況でありまして、極めて深刻な問題であると受けとめております。子供は自分の身を守るという能力は低いわけでありまして、また社会全体として、だからこそ子供を守ることが必要でありますし、性犯罪を受けた子供のその心理状況、心身に与えられる影響というのも指摘されているわけでございます。
 一方で、奈良市で起きた少女誘拐殺害事件を契機に再犯の問題が注目されたわけであります。新潟の少女監禁事件も再犯であったわけであります。また、奈良市の少女誘拐殺害事件もそうであった。
 警察庁から公表されているデータでございますけれども、最近、新たな調査結果がまとまったということで、三月の四日に公表されているんだと思いますが、そのデータを見ますと、結果として、子供を対象とした性犯罪が四百六十六人いるという中で、同じ子供対象の性犯罪を犯した者が七十四人、これは一五・九%に相当するんですが、これはほかの犯罪と比べて高くはないという数字だということを説明されます。しかし、過去何らかの犯罪経歴を持つ者がその中に百九十三人いて、その百九十三人を分析すると、過去、子供対象の性犯罪経歴を持つ者が七十四人いる。これは四割近く、すなわち、過去に何らかの犯罪経歴がある者のうちで、同じ子供対象の性犯罪を犯す者が四割近くいるということを示しているわけでございます。すなわち、過去に同様の事件を犯した者によって子供対象の性犯罪は引き起こされているということが非常に明らかになってきたと思います。
 そういうような意味でも、子供に対する性犯罪を犯した受刑者に対しましては、刑務所において専門的な教育、指導を行う必要があると思われますが、子供に対する性犯罪など性犯罪を犯した受刑者に対しましては、これまでどのような指導が行われてきたのか、また今後これに対してどのように取り組んでいくつもりか、その点をお伺いいたします。
○横田政府参考人 お答えいたします。
 子供に対する事犯を含めた性犯罪を犯した受刑者に対しましては、現在、一部の行刑施設におきまして性犯罪防止に関する処遇類型別指導を実施しておりますが、希望する者を対象としていることもございまして、この指導を受ける受刑者は少なく、また、統一的、標準的なプログラムが存在していないなど、十分とは言いがたい面がございました。このため、この法案におきましては、受刑者に必要な改善指導等を受けることを義務づけ、性犯罪を犯した受刑者に対しましても必要な改善指導を受けるよう、強力に働きかけることが可能となるようにしているところでございます。
 また、性犯罪防止のための指導を内容的に充実させるため、精神医学、心理学等の専門家の協力を得て、科学的、体系的なプログラムを策定することとしておりまして、現在、専門家の人選等の準備を具体的に進めているところでございますが、できるだけ早い時期にこれを立ち上げて、いいプログラムをつくりたいというふうに考えております。
○江田委員 私、この性犯罪者の処遇については最大の関心を持ってこの法案の成立を見ているわけでございます。
 おっしゃられたように、専門の教育プログラムというのが果たしてできるのか。研究会で検討はなされていくんだと思いますけれども、それがまだ見えない。そういう中で、性犯罪者の処遇を含めて、受刑者の処遇を中心とする法改正が行われていくわけでございます。やはり、でき得る限りの最大の専門的な教育プログラムを開発、また作成すべきだと思います。効果的なプログラムの作成に全力を注入していっていただきたい。
 また、専門教官の育成ということを言われましたけれども、先ほどから出ておりますように、心理学を修めている方々がどれだけいるのかということになると、全国で百人しかいないというような実情でもある。そういう中で本当に充実した更生教育が行われるかというのが、いまだ疑問でございます。そういうところも含めて、本当に人材等においても確保できるように、我々政治の側としてもしっかりと予算も確保していかなければならないと思っております。
 次の質問に入らせていただきますけれども、刑務所において、今これは刑務所を中心とする法改正でございますからそうなんですが、刑務所において十分な指導を行っていったとしても、とにかく性犯罪を初めとする再犯を防ぐということのためには、社会に戻ってからのフォローというのがなされないと効果は期待できないわけであります。
 先般、法務大臣が発表されました再犯防止のための緊急的対策の中でも、性犯罪仮出獄者等に対し、その者にふさわしい教育処遇を受けることを遵守事項として定め、これを守るように指導するということが挙げられておりました。私も社会内での処遇を充実させるべきだと思いますけれども、今後、性犯罪者に対する社会内処遇を充実させるための具体的な方策についてお尋ねしたいと思います。
 また、民間施設で、ある更生保護施設での性犯罪者の受け入れが消極的だという新聞報道もあっております。これはたしか読売新聞の調査によるんでしょうけれども、全国九十四施設のうち、過半数に当たる五十三施設が入所を拒否している、受け入れているところはわずか三カ所であるという実態が報道されておりました。その理由としては、性犯罪者の場合には矯正が難しいということと、周りの住民の理解が得られないというようなことであったかと思います。
 また、もう一つでございますけれども、保護観察所の人的体制、その充実が必要ではないかと思うわけであります。聞くところによりますと、性犯罪前歴者を受け入れた場合に、更生状況を見きわめる専門のスタッフ、職員が必要でありますけれども、これを雇えるだけの余力というか資力がある施設は少ない。こういう現実、実情の中で、法務省としてはどのような対策が今後必要であると思われているか、そのことをお伺いいたします。
    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○南野国務大臣 先生のお尋ねが二つ、三つあったかなと思います。少し長くなるようでございますが。
 先般、法務省におきまして、再犯防止のための緊急対策を発表させていただいたところでございます。その中で、仮出獄性犯罪者の再犯を防止するため、保護観察官の直接的関与を強化していくといたしましたほか、平成十七年度中に策定することといたしております性犯罪者に対する再犯防止プログラムによりまして、その効果が十分に得られるよう、今、処遇の充実をしていくところでございます。
 保護観察所では、現に数多くの保護観察事件等を取り扱っておりまして、また、昨今の急激な犯罪情勢の悪化を反映した中では、個々の事案の内容は複雑化、またさらに困難化いたしております。その処遇上、特別な配慮を要する事案も増加してきているのでございまして、保護観察官の負担は従前にも比べまして相当に増しているというのが現状であろうかと思います。
 したがいまして、先生が御指摘になられましたとおり、保護観察等の処遇に携わる人的体制につきましては、これまで以上に充実していく必要がある。これは鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
 次に、更生保護施設についてでございますけれども、私は先月、更生保護施設を訪問させていただきました。職員の方々からお話を伺いましたが、まことに御苦労の多い大変なお仕事でございます。更生保護施設は全国に百一ありまして、すべて民間法人が運営しておられるわけですが、地域の理解と協力がないと、どうしようもないということでございます。
 また、刑務所を出所した後に帰るところがない人などを一定期間保護しておられますけれども、性犯罪者に対する地域社会の厳しい感情に配慮しなければならない。地域の目が大変厳しゅうございます。職員体制が必ずしもまた十分ではないということなどから性犯罪者の受け入れに慎重になっている面がある、先生が御指摘されたとおりであると思われます。
 また、各更生保護施設を所管しております保護観察所では、入所者に対する保護措置または処遇方法等につきましても常時更生保護施設と協議を行っているところでございますけれども、性犯罪者に対する処遇プログラムの策定状況等をも踏まえながら、性犯罪者の受け入れのあり方について検討していくとともに、今後とも更生保護施設に対しさまざまな形で支援を強化してまいりたいと思っております。本当に感謝している方々でございます。
    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

○江田委員 私も、この更生保護施設の存在というか意義というのは非常に大きいと思うのであります。仮出獄して二三%は行きどころがないというところを引き受けてやっておられる。しかし、そこに先ほど言ったような現状がございます。大臣も御指摘されました。
 どうするか。本当にこういう性犯罪前歴者の教育を、刑務所とこの保護施設でのプログラムが一体となったようなプログラムをもって進めていくのは、やはりそれを担うのは保護観察官であり保護司ではないか、またそれ以外の専門スタッフなのか、そこのところが見えておりません。ですから、そういうところをしっかりと進めなければ、絵にかいたもちと言われても仕方がないわけでございまして、そのところに今後はまた焦点を当てて法務省としても前に進めていただきたいと思います。

(中略)
○伴野委員 この手のお話はNIMBYと言うんだと思うんですね。住民の方もある程度、社会としてはこういう機能を持ったものが必要だと思いつつも、自分のかかわるエリアには来てほしくないという、この手のものの一つであるんだと思うんです。
 先ほどリスク分析の話もしましたけれども、やはりまず住民の理解を根気よくやっていただいて、その上で、これも、今は厚生労働省の方が答えていただきましたけれども、法務省さんとも連携を十分にとっていただいて、ぜひ、先ほど申し上げた必要不可欠な施設、機能だと思いますので、前へ進めていただくためにはどうしたらいいかということを一緒に考えさせていただいて、間違っても非常に荒っぽい処理の仕方にならないことをお願い申し上げて、この質問はこのぐらいにしておきたいと思います。
 次に、処遇改善あるいは刑務所の機能を持たせる上で、今回、更生プログラムといいますか、教育プログラムの充実というのは一つの柱に来ていると思うんですが、先ほども、松島議員初め、性犯罪のお話、私も、これも何度も言っちゃいますけれども、娘が被害に遭ったら、多分冷静さを失うと思うんですね。想像しても、先ほど申し上げたように、多分想像の域を出ていないんだと思うんですね、その苦しみというのは。ある方は、これは心の殺人だと言う方もいらっしゃるし、人格の殺人だと言う方もいらっしゃる。確かに難しい領域なんですが、イギリスでは、認知行動療法とか、あるいは各国でもさまざまな研究をされて、何とかしようとしていらっしゃる。その部分は、残念ながら少し日本はおくれているんじゃないかな。
 それで、今度、矯正プログラムづくりということで、性犯罪処遇委員会というのができて、十人程度の専門家でおやりになる。これは十人じゃなくてもいいんじゃないですか。もっとみんなに聞いて、どうしたらいいんだと。
 正直言って、私は男性ですが、確かに性欲もそれなりに持っていますが、いわゆる犯罪と言われるその手のビデオ等を見ると、逆に意欲をなくす感覚も持っている人間なんですね。理性的な多くの男性というのは、やはりいろいろなものを理性でコントロールできているんだと思いますし、また、性犯罪の専門家のお話を聞くと、そのこと自体が嗜好につながっていると、本人もとめたいけれどもとめられない、案外本人も悩んでいることもあるというようなことも伺っています。
 そうした中で、非常に難しい領域のものを、私は法務省さんだけで抱える必要はないと思うんですよ。文部科学省の協力や精神医学、すべての領域の英知を結集して、もっと言うならば、外国にいろいろ調査に行ったっていいじゃないですか。その中で一つでも効果があるものなら、私はやる価値があるんじゃないかと思います。
 今、性犯罪の更生プログラムについてお話ししましたが、そのあたりの御意見あるいはお考え、方向性、いかがでしょうか。

○横田政府参考人 今委員もおっしゃいましたように、私どもも、性犯罪に対する教育プログラムを策定するための研究会といいますか検討会といいますか、そういうものをつくる予定でございます。
 十人じゃなくて、もっと大勢でいいじゃないかということなんですが、今私ども考えております十人前後といいますのは、そういった研究会といいますか検討会といいますか、そういうグループの専門家の方々をそのくらいの数でお願いしようとしているわけでございまして、そこだけでやろうということじゃなくて、恐らく、今後どういった研究をしていこうか、手法をどうしましょうかということは、そういった先生方の御意見を伺いながらやっていくことになりますので、恐らくまたさまざまなそれ以外の方の御意見を伺うこともあるでしょうし、もしかしたら海外のいろいろな研究というところもやはり入ってくるのかもしれません。
 そういったことで、私どもは、とにかく最初から一生懸命勉強する、そういう心構えで、大変難しい問題ということは十分認識しておりますけれども、その中で精いっぱいやっていきたいと考えております
○伴野委員 どうしても、今までの発想ですと、どこかに専門家の方を集めて議論いただくというのも一つの手なんですが、これは提案型というのも取り入れていただいて、例えば、その手の研究をしたいとおっしゃっている方百人に提案をしていただいて、ある程度、これはいけそうかなと思われるもの、これも判断がいろいろあるところでございますけれども、一人の研究者に、仮に一億つける、研究してください、三年でそれなりのアウトプットを出してください。
 そうすると、確かにそれは百億円かかりますけれども、それで一つの本当の矯正プログラムが、あるいはきっかけでもいいです、できるなら、私は、さっきのリスク分析じゃないですが、安い買い物だと思いますよ。それで苦しんでいらっしゃる方が今後減ってくれるならば、それは安いものだと思います。
 ぜひそういうこともお考えいただいて、研究費という形でやはりインセンティブをつけないと、なかなかこの領域というのはお医者さんも、正直言って、お医者さんにとっての、大変失礼な言い方かもしれませんが、NIMBYになっていないかな、ノット・イン・マイ・バック・ヤードになっているんじゃないかな、そんなふうに思いますので、インセンティブが働く方法をぜひ工夫をしていただいて、そうすれば私は英知が集まってくると思うんですね。
 今どき研究費一億円もらえるといったら、かなりの研究者が集まる。それは、別に日本人がやりたくないといったら世界から集めてもいいじゃないですか。それぐらいの感覚で取り組んでいただけると、百年来の法改正に匹敵する成果が出てくるんじゃないかな、私はそんなふうに思います。