児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

痴漢・盗撮(迷惑条例違反)弁護(自白事件)

1 逮捕された場合は、できるだけ速やかな釈放。そのためには早期の弁護人依頼。
2 刑事処分については、前科がなければ、罰金の略式命令であろう。
3 軽い量刑を狙う場合
 痴漢・盗撮罪の保護法益は、個人的法益80+社会的法益20であろうから、謝罪・被害弁償がメインとなる。被害者は犯人との接触を拒むのが普通であるから、交渉役として弁護人選任が必須である。
 痴漢行為は強制わいせつ罪と紙一重(or重複している)であるから、被害感情を悪化させると、強制わいせつ罪の告訴をされて、容疑を強制わいせつ罪に転換されるおそれがある。強制わいせつ罪に罰金はない。
   刑法第176条(強制わいせつ)
   十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、
   六月以上七年以下の懲役に処する。
   十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
 痴漢行為と公訴事実の同一性がある事実について、一度条例違反として刑事処分を受ければ、同一事実について重ねて強制わいせつ罪に問われることはない。つまり、適切に被害者対応を行えば、軽い処分が確定する。

4 行政処分(公務員・医師・歯科医・獣医師・薬剤師等)対策を忘れないこと。上述したように、刑事処分よりも行政処分や社会的制裁の方が強烈である。この面でも被害者との示談が望ましい。監督機関との交渉役として弁護人選任が必須である。

5 弁護人は、犯罪地が条例の適用範囲かどうか確認すること、強制わいせつ罪に発展させないこと(早期の謝罪・弁償)・報道対応・行政処分に注意。

6 通常は、初めての行為で検挙されることは珍しいから(弁解としてはそう弁解すべきであるが)、ある程度の常習性があることは否定できない。再犯防止を図り、捜査機関・被害者にアピールする必要がある。通勤コースの変更を誓約させることは、被害者にも安心を与える。
 謝罪・被害弁償は、それがない場合は即懲役というわけではないが、謝罪の苦しみや金銭支払の経済的支出によって、初犯時の反省(規範意識)を記憶に深く刻み込むことができ(刑罰の感銘力)、再犯防止につながる。
 被害者からみれば、あれほどの苦痛を受けたのに、犯人が罰金だけで放免されるのは理解しがたいところである。
 罰金のみの感銘力では頼りないところで、その意味でも謝罪・被害弁償を勧める。

大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
昭和三十七年十二月二十四日
大阪府条例第四十四号
〔公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例〕をここに公布する。
大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(平一三条例八五・改称)
(目的)
第一条 この条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって府民及び滞在者の平穏な生活を保持することを目的とする。
(平一三条例八五・一部改正)
(卑わいな行為の禁止)
第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
二 人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
三 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
四 みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影すること。
五 前各号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさえるような卑わいな言動をすること。
(平一四条例一〇六・追加)

(罰則)
第十一条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第二条の規定に違反した者
二 第六条の規定に違反した者
2 常習として前項の違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(平一三条例八五・全改、平一四条例一〇六・旧第九条繰下・一部改正)