児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「別の書き込みをコピー」=文面作成を否定−ネット脅迫の高校生・京都

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041006-00000323-jij-soci
winny関連

 今日、デリヘル詐欺・脅迫・恐喝の被害届を出したんだけど、
 掲載者Aが、ある掲示板に1個所「甲を殺す」と書いて、それを見たBがそれを100ヶ所にコピーした場合、Bは脅迫罪の正犯。被害者甲が告知内容を知ったとき既遂。
 コピーであることは犯罪阻却しない。
 ただし、公訴事実・被疑事実は多少ぶれてくるだろう。情状面でも影響ある。「軽々しい模倣犯」だとか。

 Aの行為は甲に対する「害悪の告知」になるかは多少疑問。Bが介在するから、Aの書込だけでは、甲が告知内容を知ったとはいえないともいえる。「害悪の告知」が無いのではないか。
 まあ、告知は間接的手段でもいいから、今からでもAの書込を誰かが甲に教えれば、「害悪の告知」にはなる。
 Aに「匿名掲示板の書込は1ヶ所でも、コピーされて広まり、いずれ被害者に伝わることも判っていました」と供述させれば故意も認定できる。

 なお最近の判例を観察すると、匿名掲示板の管理者にも違法な書込に対する対応によっては一定の刑事責任(正犯か幇助)を問える状況である。

第222条(脅迫) 
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

条解刑法P595

 加害の告知は,相手に対して直接行われる必要はなく,間接的な手段でもよい(最判昭26・7・24)
 相手の自宅付近で住民に対し加害内容を記載したビラを配布し,これを受け取ったった者を通じて相手にそのビラを入手させる(最判昭29・6・8)