児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

送信可能化侵害と損害額

で、どうなんでしょう?

著作権研究30 
インターネットと著作権侵害訴訟 榎戸道也(東京地裁
5 損  害
もちろんこういう考え方で多くの事件は処理できるのですが,著作物がインターネットのウェブサイトなどで無形的に利用された場合に,その損害額をどう算定するのかという場面では.これまでの考え方では間に合いません。最初に最近の事例として申し上げた本一冊が丸々複製されているという場合を考えて見ますと,通常そういったサイトは,誰でも無料で見ることができまして,そういう意味では無償で著作物が利用されているわけです。しから,どの程度そのサイトにアクセスされているのか分からないこともありますし,場合によっては非常に多くの人がそれを利用していることもあります。つまり,インターネット上の利用というのは,無償で,しかも大量となる可能性が高いわけです。
こういう無形的な利用がされた場合に.これを金銭的にどのように評価するのかということはこれまで議論されておりません。1冊コピーしただけだから,損害額は1冊分の価格でいいのか。どうもそうわけにはいかないように思います。このように損害額の算定をどうするのかということが問題となる事件はこれから増えていくことが予想されます。
(中略)
清野 会津大学の清野と申します。
コンピューターにちょっと絡むということでご質問したいのですが,先ほどのフ7イル交換で,最近はやりのWinnyを含めたいろいろなファイル交換が出ているかと思いますが,そうしたときに,例えば規範的な侵害主体,技術的にはだれが主体なのかということがなかなか特定できないやにも聞いてほいるのですが,そういったものはこういった技術が出てきたときにはとのように判断をしていったらいいのか教えていただければと思います。
榎戸 具体的にどういう態様を念頭に置かれているのかよくわからないのですが,まず具体的にどういう行為がなされたかということを明らかにした上で.ファイル交換の考え方がそのまま使える事例ばかりではないと思いますので,当然それは現在裁判例としてほぼ固まっていると思われますカラオケに関する法理とか,あるいは,それで賄い切れないようなものについても,例えば大阪地裁の例でご紹介しました,侵害主体性を認めずに,しかも,何らかの形で差止めといいますか,著作権者の権利保護の実効性を確保するというような措置とか。そういった問題というのは今後おっしゃるようにいろいろと出てくると思いますし,それはやはり裁判所のみが判断するというよりは,むしろ当事者において十分な主張立証を尽くした中で妥当な判断が生まれてくるのだろうと思います。