児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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著作隣接権では「送信可能化権」を独立した権利としているのに対し著作権では「公衆送信権」の中に含める理由

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著作権法の一部を改正する法律案 説明資料
著作隣接権では「送信可能化権」を独立した権利としているのに対し著作権では「公衆送信権」の中に含める理由について(第23条第1項)
1 インタラクティプ送信(自動公衆送信)の前段階である「送信可能化」の部分のみに着目すると、今回の改正案では、著作隣接権の場合はこれを単独の権利の対象としているのに対し、著作権についてはこの行為を第23条の「公衆送信」に含める(自動公衆送信の場合のみ)形を取り、単独の権利の対象とはしていない。その理由は、次のとおりである。
2 著作隣接権に関して、インタラクティプ送信(自動公衆送信)に係る権利を新設することについては、「WIPO実演・レコード条約」の考え方にならい、インタラクティプ送信(自動公衆送信)の前段階である「公衆に利用可能な状態にすること」(送信可能化)のみを対象として、単独の権利を新設することとしている。
3 他方、著作権については、「WIPO著作権条約」は、著作物を「公衆に利用可能な状態にすること」(送信可能化)についてインタラクティプ送信(自動公衆送信)を含む広い概念である「公衆への伝達」に含めることにより、著作者の権利の対象としている。
4 「WIPO著作権条約」が上記のような構成をとったのは、インタラクティブ送信(自動公衆送信)という行為そのものについては権利を与えない「WIPO実演・レコード条約」の場合とは異なり、インタラクティプ送借(自動公衆送信)そのものについて著作者の権利を認める以上、「公衆に利用可能な状態にすること」(送信可能化)はインタラクティプ送信(自動公衆送信)に至る一連の行為の一部(送信行為の前段階に付随的に存在するもの)としてとらえれば足りるからである。
5 現実的にも、「送信可能化」は許許するがその後の自動公衆送信は許諾しないということば実際上あり得ないため、上記のWIPO条約の考え方を踏まえ、著作物の「送信可能化」に係る著作者の権利については、当該行為そのものを「公衆送信」に含める(自動公衆送信の場合のみ)ことが適切であると考えられる。