児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

公明主張 単純所持禁止へ法改正を

 この記事で新しいのはここだけで、しかも警察広報。

http://www.komei.or.jp/news/2009/0926/15518.html
 警察庁によると、今年上半期のインターネットによる児童ポルノの犯罪摘発数は過去最悪を記録。また同時期に「インターネット・ホットラインセンター」に寄せられた、わいせつ画像などの有害情報が1万573件に上り、前年同期よりも72・2%増えたことが24日、警察庁のまとめで分かった。今も日本は世界でも有数の“児童ポルノ天国”である。
 こうした児童ポルノのはんらんに歯止めをかけるため、公明党は児童買春・児童ポルノ禁止法の規制強化に取り組み、公明のリードで改正案が国会に提出された。

 結局、廃案。

日向工教諭の「強制わいせつ」:女子高生にわいせつ行為、元教諭に有罪判決 /宮崎

 罪名は強制わいせつ罪じゃないようですが、毎日新聞では最後まで「強制わいせつ罪」でした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090926-00000307-mailo-l45
◇地裁「常習性否定できぬ」
 事故を装って女性に下半身をマッサージさせたとして県迷惑防止条例違反の罪に問われた被告(39)の判決公判が25日、宮崎地裁(白石篤史裁判官)であった。白石裁判官は「犯行以前にも同様の行為を繰り返し、常習性も否定できない」として懲役6月、保護観察付きの執行猶予3年(求刑・懲役6月)を言い渡した。
 判決によると、被告は6月27日午後10時ごろ、宮崎市の歩道を自転車で通りかかった女子高校生の前に飛び出してわざと転倒。「足が痛い。マッサージしてくれる?」と近くの駐車場で下半身をマッサージをさせた。

日向工教諭の強制わいせつ:女子高生にわいせつ行為、元教諭に有罪判決 /宮崎(421文字)(毎日新聞) - 2009年9月26日(土)

日向工教諭の強制わいせつ:県迷惑条例違反の教諭を免職−−起訴受け県教委 /宮崎(173文字)(毎日新聞) - 2009年9月19日(土)

日向工教諭の強制わいせつ:「再犯の可能性高い」 懲役6月求刑 /宮崎(470文字)(毎日新聞) - 2009年9月10日(木)

日向工教諭の強制わいせつ:迷惑防止条例違反、起訴の教諭を休職 県教委処分 /宮崎(205文字)(毎日新聞) - 2009年8月3日(月)

日向工教諭の強制わいせつ:わざと下半身露出 高校教諭を迷惑条例違反で起訴 /宮崎(333文字)(毎日新聞) - 2009年7月31日(金)

日向工教諭の強制わいせつ:前任校で、セクハラでも停職処分 /宮崎(360文字)(毎日新聞) - 2009年7月11日(土)

強制わいせつ:けが装い女子高生に下腹部マッサージ 日向工業高教諭を逮捕 /宮崎(438文字)(毎日新聞) - 2009年7月10日(金)

児童ポルノ 傷心癒えず 比の少女「人を信じられない」 東南アジア 被害深刻 ネットを悪用 市場は先進国 2009.09.26 西日本新聞

 ニュースが多いですね。

 フィリピンでは、ネットの動画付きチャットを悪用し、少女の裸を閲覧させる犯罪が続発。外国の利用者が料金を支払い、カメラの前にいる少女の姿を見る仕組みで、今年も摘発が相次いでいる。同国中部セブ島の少女(12)は3年前、近所の女の家に誘われて被害に遭った。
 少女は事情を知らないまま、パソコンに取り付けたカメラの前で服を脱ぐよう女に言われ、1日20ペソ(約40円)を受け取った。パソコンの画面には白人の男が映っていた。要求通りにポーズを取り、「男にひどくいじめられたと感じた」と言う。少女は「母親に話したら、牢屋(ろうや)に入れると言われた」と、あどけない顔をこわばらせた。
 女は自分の娘を含む当時6−14歳の少女たちを、2カ月以上にわたって連日5時間以上「勤務」させており、地元住民の通報で逮捕された。被害に遭った別の少女(16)は、しばしば当時を思い出して怖くなるという。「人を信じられなくなった」と涙を流した。
 フィリピン社会福祉開発省のバラ次官は、摘発例は氷山の一角とし、外国人とフィリピン人のグループが関与していると指摘。貧困家庭にパソコンを貸し付けて商売させているとみられ、「大人は金銭のため少女を巻き込む。彼女たちは大きなトラウマ(心的外傷)を負わされる」と話す。

 児童ポルノ根絶を目指す非政府組織(NGO)「国際ECPAT」(本部バンコク)によると、タイやカンボジアなどではネットで少女を勧誘するケースが増えている。担当者は「東南アジアで撮影された写真や動画がネットで拡散、その後はDVDの形で売られている」と説明、不特定多数の目に触れ続けることになるという。

児童買春2罪について、保護者への被害弁償を理由に起訴猶予にしてくれた検察官

 示談とか和解とかやっても普通はダメですけど。

 罰金相当額よりちょっと高い額でした。
 ありがたい話です。
弁護人は保護者からぼろくそに言われたあげく、不起訴告知書を(500km先まで)取りに来いと言われています。

ブログ市長書類送検 どうなる「ネットと公選法」

 公選法のような頻繁に改正されている特別刑法で、ネット時代にも改正されていて、明確な処罰規定がないわけなので、不可罰というのも有力だと思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090927-00000517-san-soci
選挙期間中のブログ更新に限らない。8月の衆院選では、当選した候補者が自身のホームページで当選を報告したことが問題になった。公選法では自筆の手紙などを除き、選挙後のあいさつ文書の配布や掲示を禁止しているためで、地元選管が「公選法に抵触する可能性がある」とし、候補者側も「公選法に対する認識が不足していた」として、記述を削除している。
 こうした事例は公選法の理解不足から生じているケースも少なくないが、中には「ネットを利用した方が安上がりになるから」(選挙関係者)という本音も聞かれ、ネットと公選法の関係について議論の高まりを期待する声は多い。検察当局が、竹原氏の公選法違反について、どのような判断を下すかも注目される。

 憲法的には選挙活動の自由の限界と、類推適用の禁止の問題。
 限定列挙だという結論にして、ネットは規制されていない。

 刑法的には「ブログの更新」が「文書図画」の「頒布」に当たるかと言う論点になるとおもいます。

第142条(文書図画の頒布)
衆議院比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書並びに第一号から第三号まで及び第五号から第七号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。

 葉書・頒布・散布というのは有体物を前提にした概念ですよね。
 電話やスピーカーで広報するというのは


 憲法上の論点は、判例を探せば出てきます。

最高裁判所第3小法廷判決昭和57年3月23日
【判示事項】公職選挙法(昭和50年法律第63号による改正前のもの)142条1項
【参考文献】最高裁判所刑事判例集36巻3号339頁
      最高裁判所裁判集刑事225号951頁
      裁判所時報836号4頁
      判例タイムズ468号103頁
      判例時報1040号101頁
【評釈論文】警察研究56巻4号84頁
      法曹時報37巻9号334頁
      法律時報54巻7号145頁
裁判官伊藤正己の補足意見は次のとおりである。
それではこのような文書図画による選挙運動の制限が憲法に違反しないとする論拠をどこに求めるべきであるか。法廷意見の引用する当裁判所の判決によれば、公職の選挙について文書図画の無制限の頒布や掲示を許すときは、選挙運動に不当の競争を招き、そのために選挙の自由公正を害し、その公明を保持し難い結果を来たすおそれがあると認められるのであり、したがつて法の定める程度の規制は、公共の福祉のため憲法上許された必要にして合理的な制限と解することができるとされている。
 この判示は、文書図画による選挙運動を広く認めることのもたらす弊害について、必ずしも具体的な指摘をしておらず、説得力が多少とも不十分であると思われる。私見によれば、判示のいう選挙運動に不当の競争を招くという弊害として考えられるのは、具体的には、文書図画による選挙運動が有効であるだけに、候補者がこれに多額の費用を投ずることとなり、いわゆる金権選挙を生むおそれのあること、候補者にとつて煩に堪えない選挙運動であるとともに、ときには選挙人にとつて迷惑を感ずるものであること、他の候補者を中傷したり、虚偽の内容を含む文書の頒布されるおそれが大きいことである。
 たしかに、これらの弊害は、文書図画による選挙運動の規制の合理性を示す根拠として理解できないものではないが、それらの根拠のみをもつてしては、きびしい制限を合憲とするには十分でないように思われる。選挙費用の多額化を防止するための補完的な手段として、文書図画に対する規制が役立つことは否定できず、これを根拠とすることに一応の合理性を認めることができなくはないが、それは、本来法定費用の制限をもつて抑止すべき事柄であり、その範囲内で文書図画による選挙運動を利用しようとする候補者の選択は尊重されてよいであろう。候補者にとつて煩に堪えない選挙運動となりうることも考えられるが、それは候補者にとつての利便の問題にすぎず、この点を重視することは適当ではない。また選挙人の受ける迷惑もなくはないが、文書図画による選挙運動の場合はそれ程大きいものとは考えられず、むしろ有益な判断資料の提供を受けるという点での選挙人の利益も少なくなく、かりに迷惑の度の大きい場合があれば、必要な限度で、それに対応する規制を行うことが可能である。中場文書や虚偽文書の頒布の防止も重要であるが、そのこと自体に対して適切な規制を加える方法で対処することが適当であつて、そのおそれがあるからといつて、広く文書図画による選挙運動をきびしく制約する十分の理由があるとはいえないと思われる。
 このように考えると、文書図画による選挙運動を制限する根拠について一応の理由があり、その制限は合理性を欠くものではないといえるかもしれないが、それが全面的な禁止でないことを考慮するとしても、選挙という政治的表現が最も強く要求されるところで、その伝達の手段としてすぐれた効用をもつ手段をきびまく制限することによつて失われる利益をみのがすことができない。そして、右にあげた弊害の多くが、文書図画による選挙運動から生ずるおそれがあるというにとどまるものであり、また、表現の自由を制約する程度の少ない他の手段によつて規制の目的を達成できるものも少なくないから、それだけの根拠によつて文書図画による選挙運動をきびしく制限することが憲法上許されるとすれば、その考え方が広く適用され、憲法二一条による表現の自由の保障がいちじるしく弱められることになると思われる。じたがつて、この制限に必要最小限度の制約のみが許されるという一般に表現の自由の制限が合憲であるための厳格基準が適用されるとすれば、文書図画による選挙運動へのきびしい制限は憲法に反する疑いが強くなるといえよう。
 しかしながら、私は、国会が選挙運動のルールを定める場合には、右のような厳格な基準は適用されず、そのルールが合理的と考えられないような特段の事情のない限り、国会の定めるところが尊重されなければならないと解する。このことは、文書図画による選挙運動の規制の場合も、戸別訪問の禁止の場合と同様である。この立場にたつと、文書図画による選挙運動に前記のような弊害の伴うことが考えられる以上、公職選挙法一四二条一項の規定による制限は、立法の裁量権の範囲を逸脱し憲法に違反するものとはいえないと考えられる。この考え方は、前記の私の補足意見の五の部分に説くとおりであるので、ここでは省略してい。もとより、現行法のようなきびしい制限が立法政策として妥当かどかは考慮の余地があろうが、これはその制限が憲法に違反するかどうかとは別問題である