児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

同級少女のヌード撮影、携帯サイト投稿

 携帯電話がツールになってます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080218-00000019-yom-soci
同級少女のヌード撮影、携帯サイト投稿…高1男子ら4人逮捕
2月18日13時29分配信 読売新聞
 神奈川県警少年捜査課は18日、いずれも横浜市に住む県立高校1年の男子生徒ら4人(いずれも16歳)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造、公然陳列)などの疑いで逮捕したと発表した。
 調べによると、男子生徒ら3人は昨年11月1日、このうち1人の自宅に、同級生だった少女(16)を呼び出し、全裸の写真を携帯電話で撮影した疑い。
 また、別の男子生徒は、この写真1枚を入手し、携帯電話の無料掲示板サイトに投稿し、陳列した疑い。

 大人がやると、懲役になるようなことを・・・。
 3項製造罪(姿態とらせて製造)+公然陳列罪で、7年6月です。
 余談ですが、児童ポルノ画像で最も悪質なのは強姦・強制わいせつの犯行画像ですが、そういうのの流出危険を重視すると、単純所持の禁止になりますね。
 現行法については、「盗撮なんて撮影について被害児童が知らないから権利侵害ない」と局付検事が書いたりしてますけど、それなら、強姦・強制わいせつの犯行画像が後日流出しても、「流出について被害児童が知らないから権利侵害ない」ことになりますね。立法者の熱意が法務省に伝わってないので、ちぐはぐなんですよね。


追記
 児童ポルノ製造というか、強制わいせつ的ですね。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2008/02/19/05.html
 調べでは、男子生徒は昨年11月11日、少女の全裸画像1枚をインターネットの掲示板サイトに張り付け、不特定多数に閲覧が可能な状態にした疑い。男子生徒と少女は同級生で、以前交際していた“元カレ・元カノ”の関係。画像は学校の友人からメールで送られてきたという。
 この画像が撮影されたのは昨年11月1日。同級生だった別の少年3人(いずれも16)が、少女を呼び出し、全裸にしてカメラ付き携帯電話でその様子を撮影した。3人のうちの1人は、その当時の彼氏。最初は室内でトランプなどをして遊んでいたが、彼氏が少女の体を触り始め、次第にエスカレート。嫌がる少女の服を脱がし、カメラでヌードを撮影したという。後日、3人のうち1人がこの画像を別の同級生らにメールで転送。校内に出回った。
 県警は先月30日までに3人を同容疑(児童ポルノ製造)で逮捕。横浜地検は18日、3人を同法違反の非行事実で横浜家裁に送致した。
 画像が出回っていることを知った少女は自ら学校を退学したという。調べに対し、ネットの掲示板に写真を張り付けた男子生徒は「大変なことをしてしまった」と反省しているという。

掲示板の殺害予告で逮捕=女子児童16万人脅迫容疑−千葉県警

 相手が特定されないと、個人的法益の脅迫罪が適用しにくいので、業務妨害罪で立件してますよね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080218-00000045-jij-soci
書き込みは殺害の相手を特定しておらず、同課は県内の全女子小学生に対する脅迫容疑を適用した。
 同容疑者は「反応が面白かった」と書き込みを認めているという。
 調べでは、容疑者は1日午前7時5分ごろ、携帯電話から掲示板に「千葉の女子小学生を2月15日15時に殺しちゃいます」と書き込み、県内の公私立小学校などの女子児童計16万4780人を脅迫した疑い。 

第222条(脅迫) 
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 見た人を殺すという趣旨に読めば、相手方不特定でもいけるようですが、犯人側も誰が読んだか分からないので、見た人を目指して殺しに行けないですよね。

条解刑法第2版p610
加害告知のための手段を採った時点では,相手が不特定であっても構わない。落とし文に拾得者等に対して害悪を加える旨記載し,実際に拾得した者にこれを読ませて加害の告知をした場合でも本罪は成立する(強要罪につき大判昭16・2・27)。
ホームページ上にアクセスしてきた者に対して害悪を加える旨記載しておき,これを読ませて加害の告知をするということも考えられる。
もっとも,このような場合には,告知内容の害悪が不特定の者に向けられるものであるため,告知者の意思によって実現可能な害悪であると相手に思わせ得る加害内容といえるかどうかが問題となろう。

小学生全員について既遂かも問題になりそうです。

判例コンメンタール刑法第2巻p35
3 既遂時期
本罪の未遂は不可罰であるから既遂に達しない場合は犯罪を構成しない。
具体的には、害悪の通知をしても相手方がそれを了知しなければ本罪は成立しないということになる(通説)。判例も、害悪の告知があったというためには、到達に至る因果関係を問わないが、相手方が告知内容を了知することを必要とするものと解される(大判明44・6・29

「2ちゃんねるで誹謗中傷」 管理人に80万円の賠償命令

 被告欠席なら、請求原因は簡単です。
 問題は判決の執行。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080218-00000962-san-soci
山崎裁判長は「書き込みは男性の名誉を傷付ける違法なもの。管理者は書き込みを削除する義務を負っている」などと、管理者の賠償責任を認めた。
 判決によると、平成18年7月、2ちゃんねるに男性を中傷する書き込みが掲示されたが、管理人は書き込みを削除せず放置し続けた。

 そういう民事判決を蓄積すれば、刑事責任につながる可能性があります。