児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ画像のメール送信で逮捕された事例(千葉県警)

 頒布にはならないですね。
 公然陳列についても、受信者は送信サーバーのデータにアクセスして閲覧するわけじゃないので、無理だと思います。
 判例あるんですけど。

自身のわいせつ画像、メール送信容疑で逮捕 「女性に嫌われようと」=千葉
2007.05.14 読売新聞社
 自身のわいせつ画像を女性らにメールで送信したとして、四街道署は13日、容疑者(32)をわいせつ図画頒布の疑いで逮捕した。

捜査研究5月号はかすがい外し。

http://www.tokyo-horei.co.jp/magazine/sousakenkyu/200705/
児童買春等処罰法違反,児童福祉法違反の捜査について
東京地方検察庁検事 武井聡士

2 事案の概要
被疑者は,インターネット上にSM愛好者らを対象としたホームページを開設して,会員を募り,複数の男性会員と1人の女性がSMプレイを含む性交などをするための機会を提供していた者であり,そのためのホテルを用意し,同所で男性会員と女性とを引き合わせ,男性からは現金を徴収し,参加した男女が牲交等をする様子をビデオカメラで撮影,録画し,その画像に一部加工を施したものをホ-ムぺ-ジに掲載していた者であるが,


  1 児童淫行行為
  2 公然陳列目的製造(撮影)
  3 公然陳列目的製造(複製)
があって、1を家裁に起訴、2は外して、3は略式起訴したという体験談。
 児童淫行罪・製造罪観念的競合説だと、123は科刑上一罪(公訴事実同一)ですから、略式命令の確定で、児童淫行事件にも一事不再理効及ぶというのが理論的です。

わいせつ画像のメール送信で逮捕されたら・・・

 児童ポルノだと有罪ですから、だめですが、わいせつ図画頒布罪は成立しないと考えます。
 けしからん奴ですが、罪にならないので、逮捕・勾留自体が違法です。

この程度説明すれば釈放されるはずです。大阪では釈放、愛知では不起訴になりました。

事件名:わいせつ図画頒布罪
平成年月日
地方裁判所 御中
弁護人 奥 村  徹   
勾留取消請求書
 被疑者は勾留中のところ、被疑事実はなんら犯罪を構成せず、被疑事実が認められても「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合」に当たらないので、刑事訴訟法87条1項、207条1項により、勾留の取消しを請求する。
理由 2
第1部 被疑事実 2
第2部 メール送信が頒布罪とならない理由 2
第1 メール送信の概念 2
第2 販売・頒布罪の成否(大阪高裁H15.9.18) 3
1 総説 3
2 児童ポルノのメール送信の場合 3
3 わいせつ画像のメール送信の場合 5
第3部 公然陳列罪も成立しない 8
1 陳列概念 8
2 メール送受信過程 9
3 メール送受信過程を「陳列」と評価できるか? 10
4 裁判例 10
第4部 まとめ 11
第5部 資料 11

加害者の親が弁償すると言っている場合どうするか?〜被害者からの相談

   刑が軽くなるようなら弁償を受け取らない
という考えもあれば、
   薬代として受け取っておく
という考え方もあるでしょう。
 任意ですね。

 ただ、こういうことは説明しておかなければいけません。
① 被告人自身に請求するというお考えもあるでしょうが、民事訴訟をやっても犯人が無資力の場合もあります。
② 実際問題として、刑事訴訟が終われば、通常、親族に法的責任はないので、親族が支払う可能性はありません。
 これを告げるとたいてい憤慨されますが、事実です。

 そこで。弁護士としては、
   一部弁済として受け取るという折衷案
も提案します。

青少年の性に関する保護者等の責務」は被害者側の落ち度として考慮できるか?

 最近、福祉犯でも被害者意識が強まっているような気がするんですが、
 「われら都民は、家庭及び勤労の場所その他の社会における正しい指導が、青少年の人格の形成に寄与するところきわめて大なることを銘記しなければならない。」という東京都民は、18条の3の責務を負うわけですが、こんなこと書いてしまうと、出会い系とかを利用した児童が児童買春罪とか青少年条例違反の被害者となったときに、被害者側の過失として援用されそうですよね。

東京都青少年の健全な育成に関する条例
われら都民は、次代の社会をになうべき青少年が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものである。
われら都民は、家庭及び勤労の場所その他の社会における正しい指導が、青少年の人格の形成に寄与するところきわめて大なることを銘記しなければならない。
われら都民は、心身ともに健全な青少年を育成する責務を有することを深く自覚し、青少年もまた社会の成員としての自覚と責任をもつて生活を律するように努めなければならない。

(青少年の性に関する保護者等の責務)
第十八条の三 保護者及び青少年の育成にかかわる者は、異性との交友が相互の豊かな人格のかん養に資することを伝えるため並びに青少年が男女の性の特性に配慮し、安易な性行動により、自己及び他人の尊厳を傷つけ、若しくは心身の健康を損ね、調和の取れた人間形成が阻害され、又は自ら対処できない責任を負うことのないよう、慎重な行動をとることを促すため、青少年に対する啓発及び教育に努めるとともに、これらに反する社会的風潮を改めるように努めなければならない。
2 保護者及び青少年の育成にかかわる者は、青少年のうち特に心身の変化が著しく、かつ、人格が形成途上である者に対しては、性行動について特に慎重であるよう配慮を促すように努めなければならない。
3 保護者は、青少年の性的関心の高まり、心身の変化等に十分な注意を払うとともに、青少年と性に関する対話を深めるように努めなければならない。