児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪・福祉犯判決における「被害者の軽率さ」

 刑事裁判の量刑理由で落ち度とか軽率さが指摘されていることがあります。
 考慮されるのであれば弁護人も主張します。
 裁判員事件用の量刑データベースにも「被害者の落ち度」の項目があります。

坪井祐子「被害者・関係者・第三者の落ち度と量刑」量刑実務体系
第1 はじめに 被害者の落ち度をめぐる今日的状況
被害者の落ち度は,量刑を引き下げる方向で働く事情と考えられている。
実際,殺人.傷害等の動機犯罪,強姦等の性犯罪,詐欺等の財産犯,業務上過失傷害等の過失犯など様々な犯罪に関して. I被害者の落ち度Jが被告人に有利な事情として主張されてきており,その「落ち度」の中身も様々であった。
こうした主張の中には,なるほどと思わせるものもある一方で、,全くのこじつけ,責任転嫁としか思われないものもある。
いささか無理のある「被害者の落ち度jであっても,法律家はある程度寛容に受け入れてきた。
しかし最近ではこのような状況は変化しつつある。
被害者らが声を上げ始めたからである。
酷い犯罪被害を受けた上,落ち度まで指摘されることは,被害者や遺族にとっては耐え難い苦痛で、ある。
横断歩道上で信号無視の自動車に衝突されて死亡したある被害者の父親は加害車両運転者の刑事裁判での弁論要旨において,被害者が信号のみに頼って加害車両の走行状況を注意していなかったことが落ち度と記載されていたことを憤っている1)。
また,原田園男元判事は,普通の主婦が小学校低学年の少女を車で跳ねて死亡させた事件で,被告人が被害者の飛び出しを口にしたことに被害者の母親が激昂し,一切示談に応じず,ひたすら被告人が刑務所に入ることだけを望み,実際に被告人が実刑となった事案を紹介している2)。
我々の主宰する公判でも,被告人や弁護人が被害者の落ち度について述べるのを被害者や遺族が耳にして態度を硬化させ,意見陳述などの要求をし始めることはしばしば経験する事象である。
被害者の意見が何故に量刑に影響する事情になるのか,どの程度の影響力を持つのかも難しい問題であるが,現実問題として被害者の心情を傷つければ新たな不利な情状とされかねないし示談の取りまとめや嘆願書の取り付けなどは到底望み得なくなる。
最近では,このような事態をおそれで,あえて被害者の落ち度を主張しない弁護人も増えてきているように思われる。
実際の公判で,弁論要旨書面中には「被害者の落ち度」の項目が設けているにもかかわらず,弁論では「この部分の朗読は省略致します。」とする弁護人に遭遇したことがある。
被害者を怒らせたくないしかし被告人に有利な事情はきちんと主張しておきたい, と悩んだ末の苦肉の策なのであろうが, これでは弁論と弁論要旨の位置づけが逆転しているではないか, と複雑な思いを抱いた。
平成20年12月の被害者参加制度の施行は,こうした傾向をさらに推し進めるものになっているのであろうか。
被害者参加制度の導入に際し日弁連は幾度か消極的な意見を表明している(平成19年5月l日付意見書等)が,その理由のーっとして「被告人の防御に困難をきたすおそれがある」という点をあげる。
すなわち(被告人は)正当防衛の成否,被害者の落ち度,過失の存否という重大な争点について,結果が悲惨であればあるほど,これらの点を主張すること自体が心理的に困難な状況に置かれている。
法廷で犯罪被害者等から直接質問されるようになれば,被告人は沈黙せざるを得なくなる可能性がある。」(平成19年3月13日日弁連会長談話)というのである。
しかし被害者参加制度の導入後も「被害者の落ち度」が法廷から姿を消すことはないようである。
全国初の裁判員裁判となった殺人事件では,被害者遺族が被害者参加入として参加していた。
被害者参加弁護士を務めた番敦子弁護士の報告4) によれば,被害者参加入は,被告人が被害者の言動が犯行を誘発したと主張していることを知って怒りを露わにし,これを言い訳のための虚偽であると指摘し参加の目的を被害者による犯行誘発行為はないこと,つまり,被害者の名誉回復とすることに決め,この論点に絞って活動することとした,という。
判決は弁護人が主張した被害者の落ち度について,被害者には犯行を誘発する言動はない,として退けたのであるが,こうして裁判員裁判第l号事件は「被害者の落ち度」問題が今日でも重要な量刑事情と考えられていることを再確認させてくれた。
判決を作成する裁判官にとって. 「被害者の落ち度」は悩ましい量刑要素である。
被告人の主張する「被害者の落ち度」が認められない場合や言いがかりに過ぎない場合は,それを指摘すれば足る。
問題は,確かに「落ち度」と目して差し支えない事情が存する場合である3)。
被害結果が軽微であれば. 「落ち度」を指摘することにためらう必要もなかろうが,結果があまりに重いときには被害者をむち打つには忍びない気持ちになる。
かといって,量刑の理由で何も述べずに済ますと量刑不当を理由として控訴をする口実を与えたようなものであるし控訴審判決で「原判決の措辞は適切を欠く」などと指摘されることも覚悟せねばならない。
一方「被害者に落ち度がある」と明示すれば,被害者や遺族の感情を傷つけるし場合によってはマスコミ等からの批判にさらされることもある。
が,そもそも被害者の落ち度は,何故に被告人の量刑において考慮されるのであろうか。
復讐や自力救済が公認されていた時代であれば. I相手も悪い」という言い分が量刑を左右するのは自明の理といえるのかもしれない。
しかし近代刑法はそうした理念を否定し,刑罰は被告人の犯罪行為に対して科されるとしたのであるから,被害者の行為が評価の対象に含まれるいわれはないのではないか。
もし被害者の落ち度が量刑に影響を与えるとすれば,それはどのような理由からか,島酌すべき「落ち度」は何であろうか。
これらを間い直すことは,判決を作成する裁判官のみならず,公判に臨む被告人や弁護人にも的確な量刑要素を指摘する指針を与えることにつながり,ひいては,被害者や遺族を無用に怒らせたり悲しませたりすることを減らせるのではないであろうか。

被害者らは判断力が不十分な年齢とはいえ、金銭ほしさに安易に被告人らの誘いに乗ったもので軽率であったと言われても仕方がない
児童にも軽率な面はあったが、
児童にも軽率な面があったことは否定できない
出会い系サイトを通じて知り合った初対面の男性の誘いにのって、夜間被告人たの車に乗り込んだ被害者に軽率さがある
深夜まで飲酒し早朝の大通りに駐車してドアロックをせずに仮眠していた点で軽率さ
被害児童にも、マッサージのアルバイトを申し込んで警戒せずにホテルに入った点で軽率
児童買春の被害児童は自ら売春しようとしていたものであって、その余も、被告人から誘われて対価の金額にめがくらんで安易に買春に応じている 相当軽率である

初対面の被告人らの誘いにのって夜間人気内場所に同乗したのは軽率であり落ち度
被害者は被告人の難破に応じて 性交に承諾して応じようとしたという軽率な面 落ち度
売春代金3~5万ほしさに被告人の誘いに応じた被害者も軽率のそしりを免れない
被害者も被告人との性交を前提として現場ホテルまで同行しているという落ち度
被害児童らも、小遣い銭ほしさに下着を売ろうとしたり、安易に被告人の誘いに乗ったりして軽率があること
出会い系サイトを通じて知り合った初対面の男性の誘いにのって、夜間被告人の車に乗り込んだ被害者に軽率さがある
被害児童にも、マッサージのアルバイトを申し込んで警戒せずにホテルに入った点で軽率
被害女性にも初対面の車に同乗するのは軽率さ

歳という年齢にしても被害者に軽率な行動があった
被害者らにも軽率がある。
出会い系サイトで知り合った点は被害者に軽率
深夜被告人宅に赴き飲酒したという軽率な点
少女らの軽率さは、条例の趣旨からして、被告人に有利に考慮すべきではない
飲酒後自己の部屋に招き入れそのまま就寝するなど被害者にも軽率
夜間に男性が運転する自動車に一人で乗り込み人気のない海岸にいくことに応じた点で軽率な点がある 落ち度
被害者にも被告人とホテルに入った点で軽率 落ち度があるが年令に照らすと重視することはできない
児童には自ら危険に近づいた点で軽率
被告人を容易に信じて裸体等の映像を所持させた被害者にも軽率であるが 撮影当時の男女関係において被告人に懇願されて撮影に応じたことは愛情に基づくもので了解可能であり 被害者の落ち度とまでは評価できない
被告人と不倫関係にあった被害者にも軽率さは否定できないが 被告人の行為は常軌逸する
被害者が被告人を疑わずに泊めた点で落ち度があるとはいえないが軽率な点はある
飲酒酩酊して男性2名より先に就寝した点は無防備に過ぎ慎重さに欠ける
伝言ダイヤルを利用した児童にも軽率ある
児童は小遣い銭ほしさに安易に撮影に承諾して海外に渡航したという児童の軽率さも無視することができない
被害女性においても被告人に誘われるままタクシーの助手席に乗車するなど軽率と言われかねない面もある
見知らぬ男性と性的経験を話すなど被害者もやや軽率な面がある
わいせつ行為うけても明確な拒絶せず16歳という年齢に鑑みると相当な落ち度があるとはいえないものの やや軽率な面がある
ラブホテルに同行した被害者にも若干軽率な面があったことは否めない
連絡方法はメールに限定されており、児童も積極的に応じており軽率であると言わざるを得ないが、14歳であって未成熟であることを考慮すると被告人に有利に斟酌することには限界がある
被害者も被告人の車に乗車した点でいささか軽率だった 落ち度
被害者にも自ら心神喪失に陥る点で軽率がある 落ち度
被害児童の年齢からみて、軽率な点もある
被害者が被告人の友人宅を深夜訪れた点では軽率な点がある 落ち度とまではい
被害者は当初被告人の誘いを拒絶していたものの、まもなくその甘言に乗って被告人らの車両に同乗することを承諾しており この点被害者の側にもいささか軽率な面があったことは否定できない 落ち度
被害者が安易に出会い系サイトを利用して見ず知らずの被告人らと飲食して 被告人の運転でその知人も同条する車に1人で乗車した経緯には軽率な点があるが 組むべき点は乏しい
被害者は出会い系サイトで知り合った被告人に自ら連絡を取って待ち合わせ、迎えにきた初対面の被告人の車に乗車するなど被害者においてやや軽率な面があったと言わざるを得ない 落ち度
 被害者は自ら服を脱ぎ 陰部撮影に承諾するなど被害者らにも被告人の言をたやすく信じた点で軽率さがある
各被害者は出会い系サイトを利用したという軽率な行動があり それが被害を招いたという側面がある
被害女性は深夜被告人の呼び出しに応じて被告人が単身居住する被告人宅に訪れるなど いささか軽率な面がある
被害者も援助交際目的で被告人と本件当日初対面でホテルに入り、被害者の軽率さは否定できないものの 強姦に遭わなければ成らないほどの落ち度はない
 
被害者は援助交際の金目当てにさしたる警戒心を抱くことなく被告人と待ち合わせ 初対面の被告人を疑うことなく行動を共にしているのであって 落ち度とまではいえないものの 被害者らの年齢を考慮してみても その経緯等においてやはり被害者らにも軽率な面があったことは指摘せざるを得ない

その経緯において 被害者にもさして警戒することなく初対面の男性の車に乗ってしまうという軽率さも指摘せざるを得ない
被害者が登校途中で被告人の車に乗ったのは軽率
被害者が安易に被告人についていったのは軽率である
なお 被害者は同僚の忠告にもかかわらず被告人に電話をかけてその誘いに応じて深夜に一人で会いに行き途中飲酒するなどしておりやや軽率さがいなめないものの 
被害者に軽率な点があったが落ち度はない
児童の行動にも軽率に過ぎる点が多分にあった
被害者深夜長時間にわたり飲酒をつづけ 自ら酩酊状態に陥ったり その過程で被告人を含む男性らと肩くんだり 背後から抱きつくなどの行動をとるなど 被害者にもやや軽率な面があった
被害者が自らの意思で被告人の部屋に入室していることは当時19歳お女性として軽率な行動であったと言わざるを得ない
初対面の被告人から~~を求められるなどされていたのにトイレに二人で入ってしまった被害者の行動にはやや軽率な面がある
被害者が安易に被告人についていった点は軽率である