児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「わいせつな行為」について、性的性質を有する一定の重大な侵襲という定義~樋口亮介「性犯罪の主要事実確定基準としての刑法解釈」法律時報2016.10

「わいせつな行為」について、性的性質を有する一定の重大な侵襲という定義~樋口亮介「性犯罪の主要事実確定基準としての刑法解釈」法律時報2016.10
 新定義でも、結局わいせつ行為は定義されず、判例集積を待つしか無いそうです。

樋口亮介「性犯罪の主要事実確定基準としての刑法解釈」法律時報2016.10

(1)基準となる刑法解釈
一わいせつな行為の定義
佐藤によれば、①わいせつ概念はドイツの学説の影響を受けており、元来は肉欲の罪という見地からわいせつの意図と風紀の乱れを問題にするものであった。その後、②我が国の議論は独自化し、175条の解釈としていわゆるわいせつ3要件が発展し、176条でも同様の定義を採用する裁判例も現れた。一方、③ドイツでは、刑法の脱倫理化の結果、性的関連性とその質的重大性を要求するという形で、我が国に影響を与えた時期とは議論の内容が全く異なっている。
以上の議論を踏まえ、我が国の176条の「わいせつな行為」について、性的性質を有する一定の重大な侵襲という定義を佐藤は提案する。佐藤の提案は、性的自由ないし性的不可侵性の保護という基本的視点5)に忠実であること、176条の法定刑に相応する処罰価値を反映していることに加えて、従来の定義の沿革を明らかにすることで現在はその定義を維持する理由がないことを示している点で説得的である。

5)性的不可侵性という表現は、山中敬一「強制わいせつ罪の保護法益について」研修817号(2016年) 9頁による。
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(3)今後の検討課題
性的性質を有する一定の重大な侵襲という評価は抽象的であって、個別の事実について、性的侵襲性の存否、及びその重みについて一定の指針を形成することが有益である'5)。その際には、性的という評価は社会の価値観に依存する以上、量刑の数値化同様、事例判断を積み重ねて平均的判断を形成していく他ない問題であることを踏まえるべきであろう。性に対する価値観の多様化を是認するとともに、性的侵襲に厳格に対処する現在の社会状況からすると、例えば、フェティシズム行為について、従前よりも「わいせつな行為」該当性を拡げるという方向もありえよう。