児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

芦葉甫弁護士「青少年条例違反保護事件虚偽供述調書を打ち崩せ!」季刊刑事弁護87号

 「被害青少年」が警察の意向に沿った虚偽供述をして、被疑者も自白させられたという段階から、メールやLINEをテコにして挽回した事例です。

事案
本件は、19歳少年A(アルバイト、保護観察処分中)が、共犯少年(学生)とともに、少女らと深夜外出し、いわゆるいん行をしたということで、家庭裁判所に送致された少年事件である。少女らは、17歳(アルバイト)と16歳(学生)であった。本件は、自白調書が作られた事案である。弁護人が不在であった。
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4 弾劾の方針
(1) 科学のカ
科学的な観点から、前記虚偽自白調書を崩せないかと考えた。親権者に依頼し、還付された睡眠導入剤をいただき、実験に使わせてもらうことにした。また、睡眠導入剤の製造業者のインタビューフォームを入手したところ、「水にはほとんど溶けない」と記されており、自白調書を崩すヒントを得た。
(2) 少女からの謝罪メッセージ
睡眠導入剤の他、少年Aの携帯電話を調べることにした。少年Aは、少女と本件当日にSNSを通じて出会い、以後も、一緒に遊んでいたからである。少年Aと少女とのやりとりをみれば、何か事実が判明するのではないかと考えた。これも、親権者に頼み、携帯電話を借りた。LINEトーク情報を入手する場合、スクリーンショットの他、テキストデータ化して、メールで送信していただく必要がある。親権者の了解の下、通信をして、データをいただいた。
すると、約2週間分のサーバー内にて留保されていたメッセージを一気に受信してしまった。ほとんどは、本件に関係ないメッセージばかりであった。ただ、少女から、メッセージが送信されていた。長文であったが、要旨は、以下の通りである。
「今回(注:少年Aが逮捕されたこと)は、本当にごめん。今から言うことは全部言い訳にしか聞こえないかもしれない……Aをハメるつもりはなかった……私は、警察とグルじゃないよ。むしろ、今回のことで、警察を信用できなくなった……私は、Aが好き。良
い人と思っている。私も警察にハメられたって思っているけど、一番ハメられたのは、Aよね。ごめんなさい。謝って許されることじゃないと分かっている。嫌われたと思っている。けど、一度会って話がしたい」という内容であった。頭を金づちで殴られたような衝撃が走った。被害者とされている少女から、謝罪メッセージが送信されているとは、想定していなかったからである。当職は、このメッセージを読んで、なぜ被害届が出ていないのか、処罰感情がないのか、理解できた。同時に、「虚偽自白調書の弾劾は必須であり、せめて不処分の結果にしなければならない事案」であると確信した。
なお、このメッセージは、観護措置決定日早朝に送信されていた。捜査は終了しており、まず、携帯電話の中身は調べない。当職が発見しなければ、日の目を見ないメッセージだった。