児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

掲示板アプリ:実態は出会い系 ID書き込み欄設定を悪用

 出会い系規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)は、法定の異性紹介事業だけをピンポイントに規制したものなので、たとえば同性紹介事業は対象外とするなど、最初からザル法です。
 対象を拡大しようという方向になるでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20130420#1366189313
http://www.npa.go.jp/cyber/deai/business/images/01.pdf
「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン
「相互に連絡することができるようにする」とは、サイト開設者が提供する、他人が書き込んだ「異性交際に関する情報」を閲覧した異性交際希望者(閲覧者)が当該情報を書き込んだ異性交際希望者(書込者)に返信することをきっかけとして閲覧者と書込者が相互に連絡することができるようになる機能を利用することにより、異性交際に関する情報を載せた異性交際希望者とこれを見た者との間で相互に一対一の連絡(サイト開設者が介在する場合を含みます。)ができるようにすることをいいます。
○ したがって、「異性交際希望者」同士が電子メールや2ショット・チャット等の電気通信を利用して相互に連絡することができるようにする機能を備えていないサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当しません。
○ また、チャット等のうち公然性を有するものは、一対一の連絡ではないことから、「相互に連絡」には該当しません。
・・・・
(3)「相互に連絡することができること」の該当性(1の?の要件)
問 サイト開設者がいわゆる返信機能を提供しなくても、利用者が書き込みの中にメールアドレスを記載すれば、「相互に連絡することができる」ことになるのか。
(答)
利用者が書き込みの中に勝手にメールアドレスを記載しても、サイト開設者が「相互に連絡することができるようにする」役務を提供しているとは言えないことから、このようなサイトは「インターネット異性紹介事業」には該当しません。
問 サイト開設者がメールアドレス、電話番号等の連絡先を書き込まなければ書き込みそのものをできないようにしている掲示板等のサイトは、「相互に連絡することができる」ことになるのか。
(答)
サイト開設者において、書込者がメールアドレス、電話番号等の連絡先を書き込まなければ書き込みそのものをできないようにし、書込者の連絡先を閲覧者が知ることができ、1対1で連絡することが可能であるものについては、「相互に連絡することができるようにする」役務を提供していることになります。ただし、書込者がメールアドレス、電話番号等の連絡先を書き込まなくとも書き込みが可能であり、「相互に連絡することができるようにする」役務を提供していない場合は「インターネット異性紹介事業」には該当しません。

http://mainichi.jp/select/news/20140128k0000e040241000c.html?inb=ra
掲示板アプリ:実態は出会い系 ID書き込み欄設定を悪用
「エッチなバイトしませんか」「ギャラ1回40万。顔はぼかし入るし簡単やで」。大阪府警に児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの疑いで逮捕された無職男(41)は掲示板アプリを使ってこう書き込み、18歳未満の少女を誘い出していた。

 男は無料通信アプリなどで少女11人と連絡を取り合い、ホテルでみだらな行為をしたり、児童ポルノ動画のDVDを作っていた。

 捜査関係者によると、男は「掲示板アプリを使えば、少女と出会う成功率が高かった」と供述したという。男は同法違反などの罪で懲役7年の実刑判決が確定している。

 ◇捜査関係者「実質は脱法行為」

 少女との出会いを求める書き込みをしても、掲示板機能しかなければ、警察当局が取り締まることは難しい。
18歳未満が性犯罪に巻き込まれるのを防ぐための出会い系サイト規制法が、利用者同士がメールなどで連絡を取り合えるサービスを備えたサイトやアプリだけを規制対象にしているからだ。法施行は10年以上前の2003年。スマートフォンや無料通信アプリが普及すらしていない頃だ。

 しかし、現在のスマートフォンの掲示板アプリは、業者側が無料通信アプリのIDの活用で、実質的に出会い系サイトとして利用できる旨を宣伝しているケースが多い。アプリのインストールや利用は無料でも、業者にとっては、利用者の増加に伴って広告収入を当て込めるからだ。

 捜査関係者は「実質は出会い系サイトであり、無料通信アプリを悪用した脱法行為だ」と指摘している。

 一方、無料通信アプリの運営側も対策を講じている。LINEでは、IDの書き込みを推奨する掲示板アプリを「非公認サービス」と名付け、利用しないよう注意を呼び掛けている。18歳未満の新規のID取得も拒否しており、それ以前に18歳未満に発行したIDは、検索できないようにしているという。

 【ことば】出会い系サイト規制法

 メールなどで連絡を取り合う機能が付いた出会い系サイトやアプリが規制対象。18歳未満を性行為や売春に誘う書き込みをしたり、18歳未満の利用を禁じている。運営側に利用者の年齢確認も義務付ける。2003年9月施行。違反者には懲役や罰金が科せられる。