児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[論点]児童ポルノ対策 法改正で米と捜査協力 トーマス・シーファー(寄稿)2008.01.30 読売新聞

 単純所持規制への圧力です。まあ、時間の問題。
 なお、日本の被害児童は年齢層が少し上で、利益をシェアしている「被害児童」もいますよ。

http://tokyo.usembassy.gov/tj-main.html
シーファー大使、児童ポルノ対策で協力要請
 シーファー大使は、1月30日付の読売新聞への寄稿で、日米が協力して児童ポルノの拡大を阻止し、日本が児童ポルノの所有を違法とするよう訴えた。この違法化により日米の捜査協力が強化され、世界中の子供の保護が改善される、と述べた。 (寄稿の全文)

http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20080201-72.html
 世界が児童ポルノとの戦いに敗れようとしている。家庭用コンピューター技術が普及した今日、驚くべき数の人々がオンラインで児童ポルノを取引し、ばらまくようになった。児童ポルノの二大消費国である日米両国は、蔓延(まんえん)防止のため共同で取り組まねばならない。

 「児童ポルノ」という言葉は、この犯罪のおぞましい性質を正確に表していない。成人ポルノと違い、子供は自発的に当事者となったのではなく、報酬も得ていない。事実、大半の児童ポルノの画像や映像には、凶暴、残忍な性暴力が描かれるが、子供の多くは12歳未満なのだ。つまりこれは児童レイプなのである。

 被害者の子供は、外傷や性感染症にさらされるだけでなく、鬱(うつ)や引きこもり、怒り、その他の精神障害も経験する。こうした症状は通常、成人後も続く。性的虐待を受けたことに加え、消えない記録が残ることで、画像に現れる子供の人生は永久に変えられてしまう。一度インターネットに掲載された画像は回収不可能で、広がり続ける。画像を見られるたび、子供は何度も被害に遭う。

 児童ポルノを見ることと子供への性的虐待が大きく関係することも、我々は認識すべきだ。2007年の米政府調査によると、児童ポルノに絡み有罪となった被告の85%以上が、子供への性的虐待を認めている。児童ポルノを入手する人は、オンラインで同好者と集うことで、自分が巨大な共同体の一員であると感じる。子供について性的な空想にふけることが「正常」だと感じれば、空想に基づく行動は抑えにくくなり、実際に子供を性的に虐待する傾向が強まる。

 児童ポルノは、米国で深刻な問題となっている。しかし、米国では、児童ポルノの制作、配布、所有を禁ずる法律が施行されており、捜査員が加害者を捕らえるために不可欠な手段となっている。日本の捜査当局の有能さは全世界で称賛されているが、日本では児童ポルノの所有が違法ではないため、児童ポルノ犯罪の捜査能力は制限されている。今日、世界における児童ポルノ絡みの訴追案件の圧倒的多数は、コンピューターのハード・ドライブやディスクに保存された画像に関係する。しかし、日本では児童ポルノの所有が違法ではないため、捜査員が容疑者のコンピューターを押収して調べるために捜索令状を取ることはほぼ不可能だ。また、児童ポルノの捜査は複数国にまたがるが、日本の捜査員の参加や専門知識の提供がないため、国際捜査は著しく妨げられている。

 児童ポルノ所有を非合法化しても、プライバシーや言論の自由は侵害されない。カナダやフランス、ドイツ、イタリア、米国、英国は、プライバシーと言論の自由に高い価値を置くが、権利を侵すことなく、児童ポルノ所有の非合法化は可能だと判断した。子供を犠牲にする行為を保護する必要はない。

 主要8か国(G8)で児童ポルノ所有を非合法化していないのは、日本とロシアだけだ。日本政府は07年5月、「国際的な児童ポルノ対策の強化に関するG8司法・内務閣僚宣言」に署名した。日本の「児童買春・児童ポルノ禁止法」は06年、見直しを行うことになっている「施行から3年後」を迎えた。我々は、日本の国会が同法を改正し、児童ポルノの広告やコンピューターでのアクセス、購入、所有を違法とするよう期待する。法改正が実現すれば、日米司法当局者の捜査協力が可能となる。日米間の協力関係が強化されれば、世界中で子供の保護の現状が改善されよう。

 ◇トーマス・シーファー 駐日米大使 テキサス州下院議員、駐オーストラリア大使などを歴任。60歳。