児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

名古屋高裁金沢支部はA説、東京高裁がB説、最高裁A説という時系列で、その後、大阪高裁がA説、札幌高裁がB説(H19.3.8)を表明したところ、B説の原判決に控訴された場合の札幌高裁の姿勢はいかが。

 もうむちゃくちゃですが、札幌高裁はやっぱり、B説ですよね。

 性犯罪・福祉犯と児童ポルノ製造罪の罪数処理について
  A説 併合罪
  B説 観念的競合説

 札幌高裁h19.3.8は「姿態とらせて」を実行行為と理解して、児童淫行罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)とは観念的競合としたわけだ。東京高裁H17.12.26に追従した。
 3項製造罪犯人が、一次媒体を別の媒体にダビングする場合、それも製造行為に他ならないわけだが、そこに「姿態とらせて」がないので、3項製造罪が成立しないことになる。
 これは困るというので、最高裁h18.2.20(原審名古屋高裁金沢支部h17.6.9)は3項製造罪(姿態とらせて製造)の犯人が複製した場合にも3項製造罪(姿態とらせて製造)は成立するという。

なお,法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たると解すべきであるから,これと同旨の原判断は正当として是認できる。

 最高裁h18.2.20が「姿態とらせて」を実行行為と理解しないことは明らか。
 でも、札幌高裁h19.3.8は「姿態とらせて」を実行行為と理解した。
 そこへまた札幌高裁でダビングの事例。
 さあ、どうする?
 
 札幌行き帰りで、控訴趣意書はほぼ書けましたが、ここんとこはどう書くか?
 最高裁h18.2.20の弁護人も、東京高裁H17.12.26の弁護人も、札幌高裁h19.3.8の弁護人も、全部奥村なので、知らん振りもできないし。