児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

罰金分納率0.76%

 法定刑の見直しについて、罰金を分納(分割払い)できないかという話題があるんですが、制度してはないけれど、現場の裁量でやってるということです。
 数字としては古いと思いますが、国会では「分納率0.76%」と説明されています。

 奥村弁護士の経験では、刑事事件の弁論に、検察庁の罰金徴収の方が見えて、被告人に別件の罰金を取り立てていたのを見掛けたことがあります。

事務官 罰金あと15万円、払ってください。
被告人 ここに5万円あるから、今日はこれで勘弁してください。
事務官 のこりはどうするんですか?
被告人 ・・・来月末にはなんとかします。
事務官 本当ですか? じゃ、この後、検察庁でその5万円払ってくださいよ。
被告人 はい。
事務官 のこり来月末に払わなければ労役場ですよ。
被告人 ・・・

という借金の取り立てのようなやりとりでした。これが事実上の分納。

120 - 参 - 法務委員会 - 5号 平成03年04月02日
北村哲男君 質問を続けたいと思います。
 罰金の問題につきましては、午前中額の引き上げの問題についてはいろいろ多くの説明を受けましたが、なおそのほか罰金制度そのものについても問題が多くあります。特に諮問三十八号のなお書きの中で、罰金刑を含む財産刑をめぐる基本問題として多くの問題が挙げられておりますが、それらの問題についてどのように審議されておるのか、あるいは今後の方向について若干聞いていきたいと思います。
 まず、罰金の延納制あるいは分納制についてであります。
 イギリスやアメリカなどでは罰金刑の重要性とそれから有用性が叫ばれておるということは午前中も申しました。その重要な政策課題として、特にアメリカにおいては四つの柱が政策課題として挙げられております。一つは、罰金刑を科す基準を抜本的に考え直すこと。二つは、罰金刑のレベルを大幅に上げること。三つは、罰金刑の徴収手続を大幅に改善すること。四つは、罰金刑の支払いをできる限り有効に行えるよう手段を考えること。こういうふうなことが政策課題として挙げられているということは御存じと思います。その一、二の問題については、午前中の質疑もありますからさておきまして、三、四、特に徴収手続とそれから支払いをどういうふうにしていくかという問題、特に延納制、分納制について我が国ではこれが有効にあるいは適切に行われているかどうか、あるいは改善の余地ありとするのかという問題。それから、これらの延納制、分納制については法定化はされておらないけれども、それについてする必要があるのかどうか。それから、現実に罰金というのは納入がどの程度されておるのか納入率の問題を含めて、今後の方向性を御説明願いたいと存じます。

○政府委員(井嶋一友君) それでは、今御指摘の点につきましてお答えいたします。
 この罰金の徴収をいかに効率的に行うかということの重要性につきましては、今委員御指摘のとおりでございまして、有効に適正に、せっかく科せられた罰金でございますので、それを徴収するということについての重要性は科すると同様に重要であると思っておるわけでございます。
 そこで、刑法全面改正を検討いたしました法制審議会におきましても十分御指摘のような点、つまり徴収手続の合理化、特に分納、延納につきまして議論をいたしまして、現在は検察官の事実上の裁量ということで行っておりますものをもう少し制度化してはどうか、こういう検討をしたわけでございます。
 しかしながら、結論的に申しますと、そういった制度を制度として構築いたしますと、もう延納、分納の申し立て件数がとにかく圧倒的にふえたりいたしましてかえって徴収事務が混乱する。あるいは延納、分納を制度化いたしましたら、その場合には制度上法律で許可するという形をとらざるを得ないと思いますが、それにつきましては前提としていろいろな調査行為をしなきゃならない。そういったことが果たしてできるだろうか、あるいは妥当だろうかといったような問題、そういった問題が片方に指摘をされまして、結局現在検察官が裁量によって行っております実務の運用を是認していった方がいいといったようなお考えでこの改正草案には盛られるに至らなかった事情がございます。
 そこで、現在延納とか分納はどのようにしておるかということでございますけれども、検察官が申し立てを受けまして妥当だと認められる場合には延納、分納を認めるという形で、できるだけ摩擦を避けて財産刑の徴収を完遂したい、こういうスタンスで実務を運用いたしておりまして、それなりに機能しておると思います。数字的には後ほど審議官から御説明をいたしますが、言われているほど多くはございませんけれども、やはり分納、延納の申し立てによって当該被告人の要望を満たしたというようなケースはそれなりにあるというふうに承知をいたしております。

○説明員(東條伸一郎君) 補足的に罰金刑の執行の状況について若干数字を申し上げたいと思います。
 罰金刑は、御承知のように、非常にたくさんの
件数が言い渡されまして年間の執行件数も大変多くなっております。例えば平成元年度の件数を見ますと、全体で百二十三万四千七百九十六件徴収をいたしておりますが、そのうちの分納は九千三百五十六件ということで、率にすると〇・七六%程度でございます。延納も、今局長から御説明申し上げましたように、納付義務者の申し出がございますと、できるだけ納付義務者の資力の範囲内で納付をしてもらうという方針でやっておりますためにその取り扱いを認めておりますが、延納件数は統計上ちょっと数字が出てまいりません。個別の調査もいたしておりませんので現在数字的には把握をいたしておりません。
 それで、罰金の執行率でございますが、これは各地方検察庁においてそれぞれ執行いたしておりますが、それぞれ若干の凹凸はございますけれども、大体九十数%ぐらいの執行率であるというふうに私は承知いたしております。